脱Excelの移行先はどこ? 1位はまさかの“あのMS製品”:Excelの利用状況(2023年)/後編
長年のExcel運用に課題を感じ、脱Excelに踏み出す企業も多い。その場合、どのツールが移行先として選ばれているのだろうか。キーマンズネットの読者調査結果を基に、企業の脱Excel意向や移行を阻む実態について紹介する。
多くの企業で利用され、高い満足度を誇る「Microsoft Excel」(以下、Excel)だが、業務によってはExcelの利用を続けることによる非効率性も問題視されている。そこで、キーマンズネットの「『Microsoft Excel』の利用状況に関する読者調査」(実施期間:2023年8月3日〜8月21日、回答件数:357件)の結果を基に、Excelからの移行状況について実態を探る。
脱Excelの移行先はどこ?
はじめに、Excelを使用していた業務を他ツールに置き換えた経験の有無を聞いたところ「置き換えたことがある」(31.7%)と「今後置き換える予定」(7%)を合わせると38.7%となった(図1)。「置き換えたが、機能せずExcelに戻った」(4.4%)も合わせると4割を超える。
従業員規模別や業種別で見ても大差なく、どのような企業でも一定の割合で直面する課題のようだ。
では、肝心の“脱Excel”の移行先はどのツールなのだろうか。業種別に整理した次の図を見てほしい。
移行先のツールとしては「Microsoft Access」(35.7%)が最多で、次いで「Googleスプレッドシート」(25.6%)や「BIツール」(20.2%)が上位に挙がった。前編でExcelに対する不満として挙がった「処理動作の重さ」や「運用の属人化」について課題のある組織では、Accessによるデータベース構築で効率化を図るケースが多いのだろう。
また、Excelの用途として挙がったデータ分析や帳票作成、進捗管理といった業務を、BIツールや帳票作成ツール、プロジェクト管理ツールといった専用ツールに移行することでExcelの課題解消を模索する企業も少なくない。BIツールは「IT製品関連業」「製造業」、帳票作成ツールは「流通・サービス業」、プロジェクト管理ツールは「IT製品関連業」での導入が多い。
長年の運用が脱Excelを阻む実態
他のツールに「置き換えたことはない」と回答した人に理由を聞いたところ「現状で満足している」(45.8%)や「何に置き換えるべきか分からない」(38.4%)に票が集まった(図3)。前編で紹介したように利用率も満足度も高いサービスであるため、現状から変えるほどの理由がないというのが大半の見方だ。
ただし中堅・大企業においては「マクロの移行ができない」(19.7%)や「既存のExcelデータの整理ができない」(16.7%)と回答する人の割合が高く、業務に合わせる形で長年Excelを利用してきたことによる弊害が表れているようにも見える。専用ツールに置き換えたほうが効率的な業務であっても移行に踏み切れないジレンマがあるのだとすれば、今後、企業として見過ごせない課題にもなりかねない。これまで当たり前のように行われてきたExcel運用に改善余地がないか目を光らせ、実態に即した最適な環境を構築していくことが重要だ。
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