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“監視”してまで出社を強制するメリット/デメリット

テレワークからオフィスに戻る動きが加速している。従業員に強制してまで出社するメリットはあるのだろうか。

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HR Dive

 採用関連サービスを提供するResume Builderが2023年8月22日(現地時間)に発表した報告書によると、約90%の企業が2024年末までにオフィスへの出社を原則とするポリシーを導入する予定だという(注1)。

 同社が調査した1000人の意思決定者の大半は「オフィスへの出社を確実にするために従業員を監視しているか、監視する予定だ」と回答し、28%は「オフィスへの出社に従わない従業員に解雇を迫る」と回答した。

対面のメリットとデメリット

 Resume Builderの最高キャリアアドバイザーであるステーシー・ホーラー氏は次のように述べた。

 「オフィスへの復帰(RTO:Return to Office)は一長一短だと理解することが重要だ。2024年にRTOを計画しているビジネスリーダーの大半は、人材の定着を考えた場合、オフィスに戻る考えを持たない従業員を無理やりオフィスに戻すことはできないと考えているようだ。2024年末はまだ先の話であり、雇用市場は常に変化している。従業員を無理やりオフィスに戻して反発を受けた大手企業の例を考えると、企業がRTO計画を実行するかは分からない」

 Resume Builderの調査によると、「対面での業務を義務付ける予定がない」と答えた回答者はわずか2%だった。現在、51%が一部または全ての従業員に対面での業務を義務付けており、39%が2024年末までに、8%が2025年以降に同様の義務を課す予定だ。

 ワークスペースに関して、「従業員のための物理的なオフィスを持つ予定がない」と回答したのはわずか4%。現在、物理的なオフィスを持つ企業は64%で、2024年末までに持つ予定の企業は20%、2025年以降に持つ予定の企業は11%だ。

 すでに従業員をオフィスに戻した企業のうち、31%は2021年に、41%は2022年に、27%は2023年にオフィスへの復帰を求めた。オフィスに戻った回答者の多くは「収益や生産性、従業員の定着率、従業員同士の関係性、企業文化をはじめとする多くの分野で改善が見られた」と述べている。

 また、従業員をオフィスに戻した企業のうち、83%は従業員が出社しているかどうかを監視しており、2024年に従業員をオフィスに戻す予定の企業のうち70%が同様の監視を行う予定だ。

 ホーラー氏は「企業はRTOの方針に反対する従業員に解雇を迫ることができる。しかし、多くの業界はいまだに売り手市場である点に注意すべきだ。従業員が抵抗している状況でRTOを強制する企業は、従業員を失い、人材採用に苦労するだろう」と指摘する。

 企業がこれらのRTO計画を進めるなかで、新しい情報を伝えたり、チームメンバーと調整したりする際に、管理職は難しい立場に置かれるかもしれない(注2)。Microsoftの2023年3月の報告書によると、従業員はオフィスに戻る時期と理由を知りたいと考えており、この点に関する合意が必要になるだろう。

 全米産業審議会の最近の調査によると、対面での業務を義務付けることは従業員の離職につながる恐れがある(注3)。人事担当者は「従業員をオフィスに戻すことに課題がある」と報告しており、対面での業務を義務付けている企業は「従業員の定着に苦労している」と述べている。

 また、対面での業務を義務付けている企業では、ここ数カ月における従業員の定着意欲が低下している(注4)。人材を引き付け、維持するために、リーダーは職場の柔軟性と対面での業務に関する文化的利点のバランスを取る必要がある。これらの状況は、2024年においても、対面での業務とテレワークを組み合わせたハイブリッドワークの人気が続くことを意味するだろう。

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