検索
ニュース

【2023年版】専門家が選ぶ「中小向けVPNサービス」7選

中小企業やSOHOなど小規模事業者向けのVPNサービスとして適しているのはどれだろうか。7つのVPNサービスの比較結果を紹介する。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

 2021年8月21日、比較サイトComparitech.com(以下、Comparitech)で、中小企業やSOHOなど小規模事業者向けの7つのVPNサービスが紹介された。どのサービスもアプリケーション(アプリ)をインストールするだけで利用でき、ハードウェアの導入は必要ない。

専門家が薦める小規模事業者向けVPNサービス7選

 VPNに対するComparitechの評価基準は次の通りだ。評価基準については記事の末尾に詳細を記した。

スピードと信頼性
・強力な暗号化
・利用ログを残さない
・地域制限のあるコンテンツに簡単にアクセスできる(「Netflix」「Hulu」など)
・日本国内のサーバ拠点
・「Android」と「iOS」向けアプリが存在する
・他のVPNと比較して平均以上の速度

7位 Atlas VPN(5点満点中4点)

 日本を含む数十カ国に接続サーバを置く非常に高速なVPNで、無制限の接続と特別なセキュリティ機能を備える

 Atlas VPNはこれまでComparitechがテストしたVPNの中で最速の部類に入る。

 アカウントを契約すると、好きなだけ多くのデバイスを同時に接続できる。MultiHopサーバやマルウェアブロッカーなどの追加機能を利用できる。ユーザーが期待する基本的なセキュリティ機能が豊富に用意されている。ミリタリーグレードの暗号化、インターネットキルスイッチ、DNSリークからの保護などを備える。Atlas VPNは識別ログを一切保持しない。

 Atlas VPNは、リージョンロックされたコンテンツにアクセスする際に高い能力を発揮する。

 「Windows」「macOS」「Android」「iOS」「Linux」「Amazon Fire TV」用のアプリを提供しており、契約後、アプリをダウンロードしてインストールすれば使用できる。ルーターはサポートしていない。

長所
・ストリーミングサービスを含むコンテンツの強力なアンブロッカーとして利用できる
・サーバスピードが特に速く帯域幅に制限がない
・同時に何台でも接続できる

短所
・今回評価した他のVPNと比べてサーバネットワークが小さい
・ルーターをサポートしていない

6位 Private Internet Access(5点満点中4点)

 広範なサーバネットワークと一流のプライバシー機能、お財布に優しい料金が魅力で、日本での利用に最適

 Private Internet Access(PIA)は、プライバシー保護を最優先に考えるユーザーにとっては最良の選択だろう。世界84カ国にまたがる2万9000台以上のサーバネットワークを備え、オンライン上の行動を隠しながらコンテンツを閲覧したり、ストリーミング視聴したりできる。

 PIAは利用料金が今回評価したVPNの中では低めに設定されていながら、強力なセキュリティとプライバシー機能を備えた信頼性の高いサービスを提供する。同時接続数は無制限だ。ユーザーのオンラインプライバシーを確実に保護する。

 PIAはユーザーのプライバシーを重視し、厳密なノーログポリシーを採用する。

長所
・ワイヤーガード対応
・暗号化を微調整して高速化が可能
・同時に何台でも接続できる

短所
・ストリーミングプラットフォームのブロック解除に一貫性がない場合がある
・英語圏5カ国で通信を傍受して情報を共有する「ファイブ・アイズ」同盟の加盟国を拠点とする

5位 IPVanish(5点満点中4点)

 高速で強力なセキュリティを備えたトレントフレンドリーなVPNでKodiユーザーに人気

 IPVanishは、アカウント登録時の1回を除いて、ユーザーの詳細情報を保存しない。全てのブラウジングセッションとサーバの選択は外部から隠される。デフォルトでOpenVPNプロトコルに対応し、256bit暗号化とSHA512認証、前方秘匿性を持つDHE-RSA 2048鍵交換を使用する。

 インターネットキルスイッチが搭載されており、接続が予期せずに切断された場合、デバイスとの全てのトラフィックを一時的に遮断する。サーバはスピードとセキュリティのために最適化されていて、日本国内の20カ所を含む50カ国以上に2000台以上が設置されている。

 iOSとAndroidの両方にアプリがあり、WindowsとMacOSのデスクトップにも対応している。

 また、高速でダウンタイムが少ないため、オープンソースのホームシアターアプリ「Kodi」との相性も良い。

IPVanish.comとの平均接続速度
接続 平均速度
北米(米国) 252Mbps
欧州(英国) 228Mbps
アジア(香港) 352Mbps

・月額料金 $3.33(2年間プランで74%割引)

長所
・日本国内に20カ所の高速サーバを運営、地域制限コンテンツのブロック解除に最適
・良質なストリーム
・BitTorrentの使用が許可されており、インターネットトラフィックのログを保存しない
・同時に何台でも接続できる

短所
・中国ではIPVanishのアプリが使えない
・カスタマーサポートが少し遅いことがある

4位 CyberGhost(5点満点中4.5点)

 初心者向けで使い勝手がよく、セキュリティが強固で、ストリーミング速度もそこそこ。日本を含むほとんどのストリーミングプラットフォームに対応

 CyberGhostは使いやすく、初心者に理想的なVPNだ。世界90カ国に9000以上のサーバを置き、日本にも100以上のサーバがある。ルーマニアに拠点を置き、ユーザーのログやデータを保存することはない。ルーマニアの法律が適用されるため、いかなるユーザーデータも保持しない。

 デフォルトでOpenVPNプロトコルを利用し、256bitのAES暗号化、2048ビットのRSAキーとMD5 HMAC認証を使用する。インターネットキルスイッチがあり、接続が予期せず切断された場合、Webトラフィックが停止する。

 アプリはAndroid、Linux、iOSの他、WindowsとmacOSのデスクトップにも対応する。

Cyberghost.comとの平均接続速度
接続 平均速度
北米(米国) 392Mbps
欧州(英国) 244Mbps
アジア(香港) 253Mbps

・月額料金 $2.11(2年間プランで84%割引、3カ月無料)

長所
・日本国内のサーバが充実しているため、海外にいながらコンテンツのブロックを解除できる
・初心者に優しいUI
・必要最小限の設定項目
・高いセキュリティを備え、ユーザーの行動ログを保存しない
・45日間の返金保証

短所
・中国やアラブ首長国連邦では確実に機能しない
・上級ユーザー向けのカスタマイズ機能が少ない

3位 ExpressVPN(5点満点中4.5点)

 サーバ接続が高速であり、日本やその他の地域で制限されているほとんどのコンテンツのブロックを簡単に解除でき、幅広いオンラインセキュリティとプライバシー機能を備える

 ExpressVPNは、Comparitechが過去に調査したVPNサービスの上位にランクされてきた。信頼性が高く、高速でユーザーファーストのアプローチを採っているからだ。アプリはすっきりとシンプルでミニマルなデザインを採る。94カ国に広がる3000台以上のサーバへ即座に接続できる。日本在住者が海外旅行の際に利用しやすい(ただし具体的な台数は公開されていない)

 トラフィックのログは保存されないが、接続の日付(時間ではない)とサーバの場所の選択、使用された総帯域幅に関するメタデータを保持する。個々のIPアドレスを保存しないため、メタデータの保持は問題にならないという。

 暗号化プロトコルとして、HMAC認証と前方秘匿の両方を利用した堅固な256bitAES-CBCを採用する。インターネットキルスイッチは、接続が予期せず切断された場合、全てのWebトラフィックを一時的に停止する。アクセスのしやすさとプライバシー、優れたセキュリティ基準に関しては、料金に見合ったものだろう。

 AndroidとiOS用のアプリがあり、Linux、Windows、MacOS用のデスクトップもサポートする。

ExpressVPN.comとの平均接続速度
接続 平均速度
北米(米国) 253Mbps
欧州(英国) 193Mbps
アジア(香港) 133Mbps

・月額料金 $6.67(年間プランで49%割引)

長所
・日本を含む94カ国以上に信頼性の高いサーバを設置
・安定したダウンロードとストリーミングのための高速接続が可能
・トップクラスのセキュリティとオンラインプライバシー保護
・年中無休のライブチャット・カスタマーサポート

短所
・一度に接続できるのは5台まで
・7つのVPNサービスのうち、料金が高価

2位 Surfshark(5点満点中4.5点)

 セキュリティ重視の格安プロバイダーで、ログを残さないポリシー。良好な速度や接続の制限がなく、優れたブロック解除能力を持つ

 Surfsharkも個人を特定できる情報を保持しない。さらに高い匿名性を求める場合は、「Bitcoin」「Ethereum」「Ripple」での支払いが認められている。

 256bitの暗号化の他、DNSやIPv6、WebRTCのリークからの保護、インターネットキルスイッチがあり、国全体のインターネットブロッキングを回避できるNoBorders機能も提供する。

 Surfsharkは100カ国以上に約3200のサーバを置く。接続は高速であり、高解像度でもラグのないストリーミングに適する。Surfsharkは全てのサーバで無制限のBitTorrentを許可している。接続制限がないため、どのデバイスでも視聴できる。

 SurfsharkはiOSやAndroid、Windows、MacOS、Linux向けにアプリを提供している。インターネットルーターで使用するために手動で設定することもできる。

Surfshark.comとの平均接続速度
接続 平均速度
北米(米国) 205Mbps
欧州(英国) 193Mbps
アジア(香港) 168Mbps

・月額料金 $2.30(2年プランで2カ月無料)

長所
・接続台数に制限がない
・ログを残さない
・多くの主要ストリーミングサービスのブロックを解除
・高速接続
・高いセキュリティ

短所
・接続するサーバによっては速度が落ちる

1位 NordVPN(5点満点中4.5点)

 セキュリティとプライバシーに妥協することなく、高速でほとんどのストリーミングコンテンツのブロックを解除する。日本国内に130以上のサーバがあり、30日間の返金保証付き

 NordVPNはユーザーセッションやトラフィック、タイムスタンプに関するデータを一切保持しないゼロログポリシーを採用している。当局は過去に何度も情報提供の要請を送ってNordVPNを取り締まろうとしたが、このポリシーのため一切応じていない。NordVPNのサーバは一度、家宅捜索を受けたが、犯罪につながるデータは保存されていなかった。

 同社は59カ国で5400台以上のサーバを運用しており、多くのWeb活動に対応できる。このうち130以上のサーバが日本に設置されているため接続先を見つけることは容易だ。

 アンチDDoSやビデオストリーミングネットワーク、ダブルVPN、Tor over VPN、専用IPに最適化されたサーバがあるため、ビデオストリーミングを受けたり、強力な暗号化を適用したりすることもできる。厳格なプライバシーにも対応可能だ。

 NordVPNサーバはデフォルトで256bitのAESプロトコルでインターネットトラフィックを暗号化していて、2048bitのSSLキーを使用する。DNSリーク保護も有効だ。

 WindowsやLinux、MacOS、iOS、Androidに対応する。

NordVPN.comとの平均接続速度
接続 平均速度
北米(米国) 268Mbps
欧州(英国) 174Mbps
アジア(香港) 147Mbps

・月額料金 $3.19(61%の割引と3カ月の無料)

長所
・日本国内の130台以上を含む5400台以上のサーバを運用
・Comparitechがテストした中で最速のVPNの一つ
・地域制限の幅広いブロックを簡単に解除できる
・常に安全で暗号化された接続を提供
・6台までデバイスを同時接続可能
・24時間のチャットサポート

短所
・サーバの自動ロケーション選択では、必ずしも最適なサーバに接続できない

日本で最適なVPNを見つけるには

 ComparitechはVPNサービスを評価する際、複数の項目を調査した。

 市場には何百ものVPNサービスがあるものの、全てのサービスが優れているわけではないという。ストリーミングなどのタスクを実行するには遅過ぎるもの、オンラインプライバシーに必要なセキュリティ機能が欠けているものなどがある。今回の調査では次の項目を入念にチェックしたという。

・日本国内にサーバがあること
日本にいても海外にいても、リージョンロックされた日本のサービスやプラットフォームにアクセスできた方がいいだろう。日本国内にサーバを置くVPNを利用すれば、日本国内のサービスを利用する場合でも、追跡や監視を防ぐことができる。

・グローバルなサーバネットワーク
 国際的なサービスを利用したい場合、サーバの選択肢が豊富なVPNが役立つ。興味のあるものにいつでもアクセスできるよう、大規模なグローバルサーバネットワークを持つVPNが望ましい

・ノーログポリシー
 接続中のユーザー行動をVPNサービス事業者が追跡したり、情報を収集したりしないことが保証されているかどうかも調べた。ログを記録しないVPNは、外部の事業者にユーザーデータを渡すことがなく、一部の政府に報告することもない

・強力な暗号化
 VPNの強度は暗号化の実装に依存する。全てのVPNがプロトコルを最高水準で実装しているわけではない。ユーザーの安全を確保するために、Comparitechは信頼性の高い暗号化機能を持つ日本向けVPNのみを推奨している。

・高度なVPN機能
 大手VPNプロバイダーは、便利な機能を備えたアプリをユーザーの多いOSに提供することで、コストパフォーマンスと汎用(はんよう)性を両立させている。DNSリーク保護やインターネットキルスイッチ、難読化、スマートDNS、ダブルホップ接続、スプリットトンネリングなどの高度な機能を備えたサービスをComparitechは勧めている。

・優れたカスタマーケア
 サービス事業者にヘルプを求めることもあるだろう。いつでも連絡できるライブチャットやメールサポートがあるVPNが望ましい。

無料のVPNサービスに問題はあるのか

 VPNサービスの中には無料のものもある。しかし、サーバの場所はもちろん、暗号化基準や速度、安定性、帯域幅の上限などに制限がある。ブロックされたWebサイトやストリーミングサービスにアクセスできるとは考えない方がいい。

 無料サービスを提供する企業は、サーバスペースはもちろん、技術チームの給与や一般的な経費を支払うためにどこからか資金を手に入れる必要がある。ユーザーの閲覧履歴を積極的に追跡し、Cookieを挿入し、サードパーティーの広告主にユーザーデータを販売したとしてもおかしくない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る