企業がさまざまな装置や設備、機器からデータを入手する方法を提供するIoTだが、この技術にはフィールドセールス管理(FSM)向けの用途がある。
FSMであれば、サービス提供企業はソフトウェアを利用して、装置や設備の保守記録のライフサイクルやカスタマーサービスに対するリクエスト、顧客の製品購入履歴を追跡したり管理できたりする。優れたFSMの有無は、企業の利益や顧客サービスなど、業務のさまざまな面に影響する。
本稿はIoTとFSMにおける用途について、以下でより詳しく解説する。
IoTとは何か?
IoTとは相互接続された物理的コンピューティングデバイス群であり、稼働時間や温度、速度をはじめ、現実世界やデジタル世界のデータなどを取得できる。この情報は集中処理がなされる施設にインターネットやプライベートネットワーク経由で送られる。
現在はIoTデバイスの小型化が進み、大きさはスマートフォンと同じかそれよりも小さいケースがほとんどだ。デバイスの小型化や低価格化、ブロードバンドの普及により、装置および設備の可視化やデータ収集を目的とするIoT利用が盛んになっている。
FSMにおけるIoTの利用
以下はIoTが企業のFSMに役立つ5つの例だ。
1.アセットトラッキングと在庫管理
企業が社用車をはじめとする乗り物などを持っている場合、IoTデバイスであれば運転手や同乗する技術者の位置などを追跡できる。自分の位置情報を顧客と共有すれば、顧客サービスの向上に役立つ可能性がある。IoTデバイスは製品の位置を従業員と共有できるため、在庫管理にも役立つ。この機能は正確な位置追跡を必要とする高価な装置において特に有用だ。
2.遠隔モニタリングと遠隔診断
IoTはリモートで装置および設備のモニタリングや診断を行い、サービス技術者の時間を節約するのに役立つ。IoTデバイスは、発電機の稼働時間や燃料の残量、エラーコードに関するデータを収集でき、サービス技術者は現地に出向くことなく装置および設備の状態を評価できる。
3.プロアクティブ・メンテナンス(積極保全)とソフトウェアアップデート
IoTは装置および設備が故障する前に技術者が潜在的な問題に対処し、時間とコストを節約するのに役立つ。自動化ツールやエレベーターなどの設備および装置は、セキュリティパッチやバグ修正、その他の改善を含む定期的なソフトウェアアップデートを必要とする。IoTはサービス提供企業がそのソフトウェアのモニタリングや管理を行うのに役立つ。
4.データ分析とデータインサイト
IoTはサービス提供企業にリアルタイムデータを提供し、エネルギー消費などをはじめとする設備および装置のさまざまな稼働状況に関連する履歴データを収集する。サービス提供企業はこのデータを活用し、設備や装置の性能や傾向、改善すべき部分に関するインサイトを得られる。
5.顧客体験の向上
IoTは顧客の設備および装置における性能などの可視性を向上させるなど、さまざまな形で企業の顧客サービスの改善に役立つ。発電機の稼働時間や燃料の残量に関する情報を病院のIT部門に提供することなども可能だ。
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