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ERP導入後にプロジェクトリーダーが実行すべき10のステップ

ERP導入後にもプロジェクトリーダーにはさまざまな課題が待ち受けている。これを乗り切るために役立つ10のステップとは。

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 ERP導入などの大型プロジェクトでは「先を見据えて動くこと」が重要だ。プロジェクトリーダーは導入後のプロセスに関して事前に予測し、手を打っておく必要がある。

 “ロールアウトの成功”という点で言えば、新たなERPシステムの稼働開始という節目への到達は必須要素だが、重要な作業は稼働開始後も続く。プロジェクトリーダーが導入プロセスの期間中に最善を尽くしても、中には稼働開始後まで対応を先送りにしなければならない問題もある。さらに、タスクによっては稼働開始後でなければ取り組めないものもある。プロジェクトリーダーは、導入後のタスクを完遂できるかどうかが「ERPシステム採用の成功」に関わると肝に銘じておく必要がある。

 本稿ではERP導入を成功に導くために、プロジェクトリーダーがERP導入後に取り組むべきタスク、ならびに稼働開始前にできる準備について10のステップに分けて解説する。

リーダーが知るべき10のステップ ERPは導入して終わりじゃない

 以下がリーダーに求められる10のステップだ。

1.ERP研修を本格的に実施する

 ERP導入に際しての研修は、稼働開始の直後から本格化するのが一般的だ。研修を担当するチームはこの限られた期間に、新システムの使用に必要な知識を全ての従業員と社外ユーザーに習得させる必要がある。

 研修をスムーズなものにするためにも、プロジェクトリーダーは従業員から送られてくる質問をまとめたFAQを立ち上げて、定期的に更新すべきだ。FAQでは明確な回答を提示できるように気を付けよう。

2.プロセスドキュメンテーションを完成させる

 ERP導入では「手作業で行っていたプロセスの自動化」や「ERPの機能性に合わせた既存プロセスの変更」などが付き物だ。

 ERPの設定担当チームは設定作業のさなかにプロセスドキュメンテーションの大部分を最新に保つ作業に従事することになる。導入後にはドキュメントの最終チェックを実施し、必要に応じてドキュメントの使い方に関する説明を分かりやすく改善する作業に取り組むべきだ。

3.未解決問題に優先的に取り組む

 最終テスト段階やシステムの稼働開始前には、往々にして一部の問題が未解決のままになりがちだ。棚上げにされていたタスクが稼働開始後に忘れられないように注意を払うのもプロジェクトリーダーの務めだ。

 プロジェクトマネジャーは稼働開始後すぐに主要なステークホルダーとミーティングを実施し、未解決の問題を見直してその解決に優先的に取り組むべきだ。

4.ユーザーの質問に答える

 研修がどれだけ順調に進んでも、ERPシステムの稼働開始後にはユーザーからの質問が発生する。導入プロジェクトチームは誰に聞けば答えを得られるのかをユーザーにきちんと伝えておかなければならない。

 導入したERPに社外ユーザーもアクセスする場合は、社内ユーザーとは別の窓口を用意する必要もあるだろう。

5.プロジェクトの最新情報を周知するミーティングを設定する

 ERPシステムが実際に稼働するようになると、主要ステークホルダーは継続的に最新情報を求めてくる。例えば、先送りにされた問題に関する情報や新たな問題が見つかったという報告などだ。さらにはシステムの使用状況に関する統計データを求めてくるケースもある。

 導入プロジェクトチームは「プロジェクトが完了した」と関係者全員が納得するまで、最新情報の提供とダッシュボードの作成を続ける必要がある。

6.データ移行を実行する

 導入プロジェクトチームがプロジェクト期間中に過去の全データを移行できるとは限らない。データが古く、優先順位が低い場合には移行を見送ることもあるからだ。また、ERPを導入する会社側が過去のデータは別のシステムに保存し、移行しないという決定を下すケースもある。

 過去のデータが新しいERPに保存される場合は、導入プロジェクトチームは稼働開始後にデータ移行作業に対処する必要がある。

7.データをクリーニングする

 導入プロジェクトチームは稼働開始後、移行したデータの一部に問題があればすぐに解決しなければならない。

 データ移行のスケジュールがタイトだったせいで、これらの問題を解決できなかったケースは多い。また、データ移行中に下された決断を後になって覆さなければならないケースもある。例えば、データ移行中に同じベンダーの記録が重複して作成されていたら、重複分は削除する必要がある。

 また、データ移行プロセスでは見落とされていたエラーが見つかることもある。例えばデータ変換スクリプトによって予想外の形でデータが改変されてしまうことも考えられる。

8.チームを去るメンバーに必要な手続きを促す

 稼働開始を迎えると、チームメンバーは他のプロジェクトに異動する。プロジェクトリーダーはチームを解散する前に、メンバーが必要なタスクを全て完了させているかどうかを確認しなければならない。

 これらのタスクの例として「ERP導入ドキュメントの最終版の作成」「未処理の経費精算書や勤務時間記録の手続き」などが挙げられる。さらに、場合によっては別のチームメンバーが今後担当する分野について研修を行う場合もあるだろう。

9.プロジェクトの正式終了手続き

 ERP導入が完了しても、場合によってはプロジェクトを正式に終了させるために必要なタスクが残っていることもある。

 これらのタスクの例としては「必要なドキュメントの最終版の作成」「ソフトウェア開発コードが適切に保存できる体制の確保」「支払い手続きの完了」「稼働開始時に未処理だった全タスクの完了確認」などがある。もしプロジェクトが次の段階に進むとしても、まずは前段階の作業を終えることに注力しよう。

10.次の段階に向けて計画を立てる

 ERPシステムが稼働開始しても、企業によっては追加作業が必要な場合もある。例えば「新機能の実装」「新旧の問題点への対処」「サードパーティーツールの統合」といった作業だ。

 これらのタスクに取り掛かる前に、導入プロジェクトチームは新たな計画サイクルに着手すべきだ。それにより、必要な作業を確認し、承認を取得してチームを再構築できる。また、主要なステークホルダーに対しては対処が必要になる各項目や作業にかかる期間について情報を提供する必要がある。

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