ブーイングの嵐…… 急に「ChatGPT」がやる気をなくしたのは、なぜ?:740th Lap
「ChatGPT」の最新バージョンに対して「質問に答えようとしない」などの苦情が寄せられているという。なぜ、急にやる気をなくしてしまったのか……。
2023年の流行語に「生成AI」が選ばれた。多くのユーザーが「ChatGPT」をはじめとする生成AIに触れ、回答精度の高さを実感したことだろう。
一大ブームとなった生成AIだが、最近、ChatGPTの反応が悪く「やる気をなくした」と不満の声が寄せられているという。それは、なぜか?
OpenAIの最上位言語モデル「GPT-4」で構築されたChatGPTの最新バージョンが提供され(本稿公開時点)、その精度は高く評価されている。
ところが、ChatGPTの最新バージョンに対して「質問に答えようとしない」「質問に興味を示さない」と苦情が寄せられているという。ニュースサイト「The Independent」は2023年12月9日(現地時間)に公開した記事でこの件を取り上げ、「lazy」(怠惰)と評した。
The Independentの記事によれば、あるユーザーが特定のソースコードに関してChatGPTに回答を求めたところ、完全なソースコードではなく一部分しか提供されず「残りは自分で入力してください」と返ってきたという。また「そのタスクは自分でできますよね?」といった「生意気」と捉えかねない反応を示すこともあったという。
さらには、回答を拒否したり会話を中断したりと「怠惰」と判断されても仕方のない態度を取るケースが幾つか報告された。この件はRedditのスレッドやOpenAIの開発フォーラムなどでも報告されていて、「これはOpenAIがワザとやってるのでは?」と邪推するユーザーもいる。
OpenAIはこの件を聞いてはいるが「回答精度を調整していはいない」と強く否定している。そして「フィードバックは全て確認した。GPT-4モデルの動作は予測できないことがある」と「X」(旧Twitter)に投稿した。2023年11月11日以降、GPT-4はアップデートされていないことにも触れた。
OpenAIは「同じデータセットだったとしても言語モデルのトレーニングによってはパフォーマンスに影響が出る場合がある」と主張した。トレーニングや改修によってパフォーマンスが低下する可能性についても触れ、「今後は回答が的確かどうかも含めて、ユーザーの反応を見ながらデータに基づいて判断していく」とコメントした。
ユーザーの求めた回答に至らなかったために、AIの反応を「怠惰」と評するのは簡単なことかもしれない。しかし、相手がAIなだけにその背後に潜む影響は計り知れない。そもそもOpenAIも、このような問題が発生することを予想だにしていなかっただろう。
今後も生成AIはさらなる成長を遂げるだろう。だが、完璧ではないことは人と同じだ。望む回答が得られなかったとしても、それを否定するのは家臣による傲りではないだろうか。生成AIとうまく付き合っていきたいものだ。
上司X: ChatGPTが「怠けている!」と糾弾された、という話だよ。
ブラックピット: とは言いますが、ちょっと手を抜いた回答をしただけじゃないですか。
上司X: だから、それが「怠けている」ということなんじゃないか。
ブラックピット: んー、なんでしょうねえ。質問者にとって満足な回答じゃなければ「怠惰」と受け取られるんですか? それって、ちょっと横柄な気がしますけどね。
上司X: 確かにな。AIを持ち上げすぎなんだろうな。完璧ってのは思い込みに過ぎなくて、そのギャップで「怠惰」っていう評価になってしまう。
ブラックピット: 8ビットPC時代からある「人工無脳」だって、すごくテキトーな回答しかしてませんでしたけど、それがしっくりくる感じもありましたよ。
上司X: イライザのことかな。……ってキミよくそんなこと知ってるな。
ブラックピット: いえ、僕は「Emmy」のことを言ってますけど、何か? 楽しかったなあ、あの頃は。今のわれわれの会話こそが「怠惰」そのものでしょうけどね。
上司X: Emmy! まさかの工画堂スタジオ発の人工無脳が出てくるとは……とあまりにマニアック過ぎる話は、さすがの生成AIでも対応できないのでは。EmmyについてChatGPTに尋ねてみたが、ゼロ回答だったな。これこそ「怠惰だ」とキミは言いたいんだろうな。人間の記憶知とAIの知識は違うということだ。過信することなくAIと付き合っていくべきだろうな。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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