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週休3日の求人が過去4年間で140%増になった業界は?

ある業界では、週休3日制の求人広告が過去4年間で40%増加している。「離職率の高さ」「技能不足」「従業員の嗜好の変化」といった課題が山積みの、その業界とは。

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HR Dive

 「離職率の高さ」「技能不足」「従業員の嗜好の変化」といった課題が山積みのある業界は、人材を獲得することを目的に、週休3日制の求人広告が過去4年間で40%増加している。

 短縮勤務、シフトに関する希望の受け入れおよび交換、シフト時間の調整などのダイナミックなスケジューリングが可能な業界とは。

週休3日は従業員獲得につながるのか

 PwCと全米製造業者協会の関連団体であるManufacturing Instituteが第3四半期に実施した調査によると、「離職率の高さ」「技能不足」「従業員の嗜好の変化」といった課題が存在している。「今後1年間で現場の労働力を拡大する予定だ」と回答した62%の製造業者は、熟練した従業員の獲得、訓練、維持に向けた取り組みを強化する必要がある(注1)。

 調査対象となった108人の人事および業務リーダーのうち86%は「生産に直接的な役割を果たす時間給の熟練従業員にとって、安全性はポジティブな職場を作る上で重要な要素である」と回答している。

 PwCは「企業は物理的な安全性だけでなく、頻繁な休憩、メンタルヘルスリソース、施設内のフィットネスセンター、柔軟な勤務形態など、従業員の福利厚生を総合的に捉えることで、競合他社との差別化を図り、現場で働く従業員の経験を向上させられる」と指摘している。

 PwCは、製造業者の施策が従業員にとって前向きで有意義な体験となり、ビジネスの成果につながるようにするため、次の提案をした。

  • 従業員のニーズや嗜好を把握するための調査を定期的に実施すること
  • 従業員の経験を継続的に確認し、支援するための専任のリーダーを設置すること
  • 現場の管理職とより密接に連携して改善を促進すること
  • 柔軟なスケジューリングを提供する取り組みを導入すること
  • メンタリングに関する取り組みを強化すること

 業種を問わず、人事担当者にとってよく理解できる内容だろう。最近の調査によると、製造業者における「現場で働く従業員の経験を向上させる必要に迫られている」という課題は、多くの業種やさまざまな職種にも共通している。

 例えば、Aflacの2023年10月の報告書によると、米国の従業員の半数以上が「燃え尽き症候群に陥っている」と回答しており(注2)、ほぼ同数が「雇用主が自分たちの幸福を気にかけてくれているという確信がない」と回答している。

 PwCの報告書は、現場で働く従業員の離職率が高い理由を具体的には示していないが、調査結果は危険信号を発している。製造業者の3分の1以上が、過去6カ月間に現場で働く従業員の離職率が10%を超えるという経験をしているためだ。

 製造業者は「現場の従業員の体験を向上させるためにさまざまな取り組みを試みる意志がある」と述べている。従業員の体験は、従業員が雇用主やリーダーとの間に持つ全ての相互作用、感情、認識の総体である。調査によると、柔軟性とスケジューリングはその一例だ。安全性に次いで、これらの要素は、ポジティブな職場を作り、現場の従業員の体験を向上させるために最も重要な要素の一つである。

 状況によっては、製品やシフトによる要請がスケジューリングの柔軟性を制約することもあるが、製造業者の半数は「短縮勤務、シフトに関する希望の受け入れおよび交換、シフト時間の調整などのダイナミックなスケジューリングを従業員に提供できる」と回答している。ダイナミックなスケジューリングを提供している企業のうち、4分の3以上の企業は、現場で働く従業員に対して、週当たりの勤務日数を減らし、1日当たりの勤務時間を増やすことを認めている。また、半数以上の製造業者は、従業員によるプライベートな休暇の急な取得を認めている。

 これらの取り組みは、IndeedのHiring Labによる最近の調査結果と一致している。この調査によると、2019年以降、週休3日制を宣伝する求人広告が増加しており、特に、テレワークに対応する業種よりも対面型勤務が求められる業種で増加している(注3)。また、Indeedは、製造および生産業界において、週休3日制の求人広告が過去4年間で40%増加したことも明らかにした。これは労働組合が契約交渉の一環として要求している問題でもある。

 PwCの調査に回答した人事および業務リーダーの大多数も、新入社員に対するオンボーディングへの投資の重要性を認識しており、通常は5〜10日の期間を設けて行う。こうした取り組みが、配属初日から現場で働く従業員の成功を支援し、雇用から90日間の離職率を低下させる。

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