検索
連載

管理職は「実際よりも仕事ができる」と考えがち “勘違い上司”の実態が明らかに

ある調査によると、管理職は実際の実力よりも「自分は仕事ができている」と考える傾向にあるという。管理職と部下の間にいったい何が起きているのだろうか。

Share
Tweet
LINE
Hatena
HR Dive

 ある調査によると、管理職は実際の実力よりも「自分は仕事ができている」と考える傾向にあるという。さらに、管理職の半数以上が「単に仕事をこなすだけでなく、従業員の成長を真剣に気にかけている」と答えたが、そう信じている従業員は3分の1強だった。

 管理職と部下の間にいったい何が起きているのだろうか。

自己評価の高い「勘違い上司」の実態と対策

 身元調査プラットフォームであるCheckrが2023年11月に実施した調査によると(注1)、従業員の約40%は「管理職はメンタルヘルスに対して『あまり良くない、または非常に良くない』仕事をしている」と考えている。一方で、管理職の約60%近くは「『良い、または非常に良い』仕事をしている」と考えている。

 信頼の問題もある。2023年12月13日の報告書によると、「メンタルヘルスプログラムへの投資を増やす」と答えた管理職の割合は59%だが、「2024年に実際にそうなる」と考えた従業員は40%に過ぎない。

 また、管理職が直属の部下とのつながりをどのように認識しているかについても、食い違いがある。70%以上の管理職は「従業員と良好な関係を築き、オープンなコミュニケーションを行っている」と回答したが、これに同意する従業員は58%だ。

 さらに、管理職の半数以上が「単に仕事をこなすだけでなく、従業員の成長を真剣に気にかけている」と答えたが、そう信じている従業員は3分の1強だった。

 Checkrは、レポートの中で次のように述べている。

 「テレワーク、オフィスへの復帰を求める方針、メンタルヘルスへのサポート、キャリア開発などのトレンドは2024年も継続する。全てに共通する重要な要素は、管理職と従業員の協力関係の重要性である」

 また、人事領域の研究者は、次のように述べた。

 「サポートの充実した職場環境の構築を促進するために、管理職は透明性のあるコミュニケーションチャネルを構築し、スキル向上の機会を奨励しながらチームの全体的な幸福を優先すべきだ。従業員は継続的な学習、適応能力、管理職とのオープンなコミュニケーションに積極的に取り組むことができる」

 またCheckrは、従業員と管理職は幾つかの共通の問題を持っていることを発見した。それは、パンデミック後に急速に変化する職場への対処により発生する燃え尽き症候群の問題である。

 管理職と従業員のほぼ3分の2(60%)が「従業員は働き過ぎで大きなストレスを感じている」という意見に同意している。両グループの4分の3以上(管理職の78%、従業員の82%)は「2024年に向けてワークライフバランスの改善と線引きが非常に重要である」と回答した。

 さらに、従業員は管理職との人間的なつながりを望んでいることが追加の調査によって示された。従業員インサイトに関するビジネスを営むPerceptyxの2023年の報告書によると、従業員は「最高の上司はプロフェッショナルで信頼でき(注2)、思いやりがある人」と答えている。

 一方、最悪の上司は「無礼で無能であり、非協力的で、不公平」と評価された。どちらのグループも、Checkrの調査結果を裏付けている。管理職の32%、従業員の40%が同僚への対応を重視しているためだ。

 他の研究でも、管理職が従業員の幸福やメンタルヘルスに大きな影響を与えることが確認された(注3)。しかし、管理職が効果的なリーダーとなり、直属の部下に良い影響を与えるためのスキルは自然には身に付かないだろう。特に新任の管理職の場合は難しい。

 これを改善するために、研究者たちは管理職への研修とコーチングの重要性を繰り返し強調している。学習と開発に関する2023年の報告書によると、研修プログラムは役割に合致するものであり(注4)、部門の事業目標と調和し、説明責任を育むものでなければならない。同報告書では「管理職の研修プログラムは柔軟性を確保するためにカスタマイズされるべきであり、新任の管理職が現場でスキルを実践する機会を提供すべきである」ことが示された。

© Industry Dive. All rights reserved.

ページトップに戻る