JCB、1000人規模で「Copilot for Microsoft 365」活用へ 実証実験で分かった効果と狙い
ユーザー企業で生成AIの利用が進んでいる。ジェイシービーもその一社であり、Microsoftの生成AI機能「Copilot」を本格的に社内で活用しようと動いている。
「Microsoft 365」ユーザー向けに提供されている生成AI機能「Copilot for Microsoft 365」。「Word」や「Excel」「PowerPoint」などでの作業効率化を支援する生成AIとしてリリースされた。クレジットカード会社のジェーシービーは2024年6月から本格的に社内でCopilot for Microsoft 365の活用を始めるという。
月間7500時間の削減が可能、実証実験から次のステップへ
ジェーシービーは、従業員のパフォーマンス向上を目指して、会議や資料の作成、各種手続きなど、日常業務の効率化に取り組んでいる。その手段として、生成AIの活用にも注目していた。同社内ではグループウェアや日常業務にはMicrosoft 365や「Microsoft Office」製品を使用していたため、多くの従業員がすぐに利用できるという観点で、数ある生成AIツールの中からCopilot for Microsoft 365を選んだ。
2024年1月に、同社はCopilot for Microsoft 365の社内実証実験を開始した。一部の従業員を対象に、会議の要約やメール、資料のドラフト作成、情報検索を中心に幅広く検証を進めていった。
これらのシーンで利用するだけでも月間7500時間以上(従業員1人当たり月間約5時間以上)の労働時間削減効果があること、また、従業員の生産性向上に貢献できることが検証実験から分かった。さらに、ロールプレイやアイデア創出など、企画や創造性の高い業務でも有効活用でき、働き方を変える可能性も確認できた。
これまで利用を一部の従業員に限定していたが、2024年6月には1000人規模に拡大し、Copilot for Microsoft 365の社内活用を本格化する考えだ。今後は従業員のプロンプトスキル向上のために学習の提供や、固有業務での活用も考え、効果の最大化を目指す。削減した時間は企画または創造的な業務に充てる。
また、Copilot for Microsoft 365により会議や資料作成、メールなど、日常業務のやり方そのものを変えようと、従業員への利用支援やノウハウ提供も積極的に行う予定だ。さらに、顧客サービスにも生成AIを組み込み、業務効率化や自動化、顧客体験価値の向上にも目を向けている。そのためには、生成AI処理と社内システムとの連携が必要になるため、「Microsoft Azure OpenAI Service」も活用する予定だという。
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