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【悲報】セキュリティ製品の運用を統合しても担当者の負荷が減らなかったワケ

ある企業は、全社的なネットワーク公開のタイミングで、既存のUTMの入れ替えを検討した。エンドポイント対策を含めたさまざまなセキュリティ機能を一つのコンソールで管理できるソリューションを新規導入したが、担当者の負荷は変わらなかったという。その悲劇はなぜ起こったか。

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 アウトドアメーカーの決算状況の悪化が報じられ、キャンプグッズが中古市場にあふれているらしい。コロナ禍の落ち着きとともに、キャンパーたちの熱も覚めてきているのだとか。

 そんな状況で久しぶりにキャンプに出向いた。決算悪化の報道はどこへやら、キャンプ場は大盛況。人気のあるエリアなのか、まだまだ多くのキャンパーが休日を楽しんでいた。

 “にわか”キャンパーである私、久しぶりに張り切ってカレーを作り、あまり飲まない酒も堪能。興奮する子供たちの歓声が夜遅くまで響き渡り、友人たちとの貴重な時間を過ごすことができた。

 ああ、キャンプは素晴らしい。

セキュリティ担当者がぼやいた、運用を統合しても負担が減らないワケ

 キャンプはにわかでも、IT業界ではそれなりにキャリアを積んできた。そんなIT界隈での仕事を生業(なりわい)としている私が最近感じるのは、ネットワークやセキュリティ関連のネタがよく話題になっていることだ。

 ある企業は、全社的なネットワーク公開のタイミングで、既存のUTMの入れ替えを検討した。エンドポイント対策を含めたさまざまなセキュリティ機能を一つのコンソールで管理できるソリューションを新規導入したが、担当者の負荷は変わらなかったという。その悲劇はなぜ起こったか。

 クラウドが普及する今、ネットワーク帯域がフル活用されており、古い環境では無線LANのアクセスに関する課題が顕在化しているらしい。

 ネットワークの刷新タイミングを迎える企業では、業務基盤のクラウド移行がかなり進んだことで、セキュリティも意識したネットワーク更改に取り組んでいる。UTM(統合脅威管理)をはじめとしたゲートウェイやSD-WAN含めたSASE環境への取り組みなど、ネットワークセキュリティ関連の取材がひっきりなしに続いている。

 無線LANにおいても、変調方式や最大帯域幅の拡張によって、最大速度が30Gbpsを超えるWi-Fi 7など次世代規格の話題も出てきている。次世代規格を見据え、インフラ担当者はセキュリティ対策も含めていろいろなアプローチを模索していることがうかがえる。

 ただ、さまざまなネットワークおよびセキュリティソリューションの取材をしていても、差別化につながるような要素が見受けづらい。最終的にはコンソリゼーションされた環境で管理負担をいかに減らせるのかが鍵となっており、「一貫性のある」「統合された」といった文言をよく見かける。もちろん、脅威インテリジェンスの品質やEDR(Endpoint Detection and Response)との連携など、詳細に見れば差別化要素も見え隠れするが、いずれにせよ少数精鋭で運営するIT部門が抱える管理の手間をどの程度軽減できるのかが大きな焦点だ。

 先日取材した企業は、全社的なネットワーク公開のタイミングで既存のUTMの入れ替えをした。既存のUTMは、アプライアンスとしての性能が十分でなかったために全てのセキュリティ機能をオンにできず、本来の効果を発揮できていなかったという。移行先として、振る舞い検知のためのEDRとUTMの機能を統合運用できるソリューションに決めた。「コンソールがバラバラだと運用が大変で、有事の調査にも多くの時間がかかっていた。運用を統合したことで、障害対応のリードタイムも短縮できるはず」と期待を寄せていた。

 それでも、EDRから寄せられる日々の検知情報が膨大なので、過検知含めた確認作業の負荷と統合したことでの負担軽減が相殺されてしまったと本音をもらす。巧妙化し続けるマルウェアに対処するには、それなりの手間暇をかける必要があることをあらためて実感した。

いやしと疲れ、同時に味わうキャンプもまたよし

 さて、キャンプ場で充実した夜を過ごしたものの、翌日の早朝にはキャンプ場を出発せねばならない事情があった。子供が所属するサッカーの練習だ。

 基本的にはボランティアとして参加してくれている監督やコーチのスケジュールを考慮して活動しているサッカーチームだけに、練習や試合は仕事が休める土日のみ。6月には大きな大会を控えており、その試合に向けてチーム一丸となって練習に取り組んでいるタイミングなのだ。長男もキャンプとサッカー練習をうまく両立させたいとのこと。

 前日の夜に小物を全てしまい込み、翌朝は周囲に迷惑が掛からないようひそやかにテントをたたみ、起床してきた友人たちに別れを告げ、慌てて自宅へ戻らざるを得なかった。

 癒されに来たのか疲れに来たのか、結局のところよく分からない。それでも、自宅で煙の臭いが充満するキャンプ道具を片付けていると、いつの間にか次のキャンプに思いをはせる自分に気付く。

 あらためて思う、キャンプは素晴らしい。


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