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「アッオー!」で思いだす? 懐かしのメッセンジャー「ICQ」終了のウラ側:781st Lap

メッセンジャーサービスの草分け的存在「ICQ」のサービス終了が発表された。「LINE」などで容易にメッセージが送れる時代になり自然な流れではあるのだが、ICQ終了の背景にはそれ以外の理由もあった。

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 「アッオー!」の通知音を耳にすれば思い出すかもしれない。メッセンジャーアプリの草分け的存在といえば「ICQ」だ。ICQを使って仕事やプライベートでメッセージを送り合っていた人もいることだろう。

 そんなICQのサービス終了が発表された。提供終了に悲しむ人もいれば、「まだあったの?」と思う人もいるかもしれない。「LINE」などで気軽にメッセージが送れるようになった今、自然な流れといえばそうなのだが……。なぜICQは衰退し、突然の終了を迎えたのか?

 2024年6月26日をもってICQが終了する件について、Tech系メディア「Tom's Hardware」が2024年5月26日に記事(現地時間)を掲載して大きな話題となっている。

 ICQが全盛を極めたのは2000年前後。今から20年以上も昔のことだ。イスラエル企業のMirabilisが「I Seek You」をもじってICQと名付け、1996年11月にリリースした。徐々に人気が広がっていったが、1998年にMirabilisはAOLに買収され、以降はAOLがサービスを提供していた。同時期にAOLが提供していたメッセンジャー「AOL Instant Messenger」(AIM)とも互換性がある。

 メッセージのやりとり以外にもP2P(Peer to Peer)でファイルの送受信ができたり、スキンを変更して自分好みにカスタマイズができたりと便利な機能がユーザーからの支持を得て、AOLによる買収後にICQの人気はさらに高まっていった。

 Tom's Hardwareの記事によれば、最大ピーク時にはICQの登録ユーザー数は900万人を超え、アクティブユーザー数は250万人に上ったという。2000年辺りから徐々に家庭のインターネット接続環境が常時接続が当たり前となり、ICQを常時起動することが普通になってきた頃だ。

 その後2000年代半ばに至るまでに「MSN Messenger」や「Yahoo!メッセンジャー」などさまざまなメッセンジャーサービスやアプリが登場し、ICQ離れが目立ち始めた。単独のメッセンジャーサービスであるICQに対して、MSNやYahoo!、AOLなどはメールや検索などなど各種ネットサービスの一つとしてメッセンジャーサービスを提供していた。多様なサービスが統合された環境を望むユーザーはICQから徐々に離れていった。

 そして2010年、AOLはICQをロシアのネットサービス企業Mail.Ru(現、VK)に売却した。ユーザー離れが続いていたICQだが、当時はなぜかロシア国内での人気が高く、多くのロシア人ユーザーが利用していたための判断だと思われる。

 Mail.RuはかつてのMSNやYahoo!JAPANのように、ネットサービスの一つとしてICQを提供していた。だが、モバイル対応に出遅れたことやクロスプラットフォーム対応に失敗したこと、ロシアの社会情勢が変化したことなどから、ICQが再び世界的なメッセンジャーサービスに返り咲くことはなかった。ICQのクライアントアプリも2021年を境にアップデートされていない。

 そして冒頭で触れたように、2024年6月26日にICQのサービス終了が決定した。登場から28年。Tom's Hardwareの記事で「90年代からのICQの遺産は、ソーシャルメディア以前の時代にユーザーに大きな影響を与え、尊敬に値する」と評価されている通り、ICQほど長く提供され、多くのユーザーに支持されたメッセンジャーサービスは他にはないだろう。

 ちなみにICQの公式「X」(旧Twitter)は、終了発表日に『ターミネーター2』のラストシーン(溶鉱炉にT-800)が沈んでいくGIF動画と、シュワちゃんが「I'll be Back」とつぶやくGIF動画を連続投稿している。復活をほのめかす演出なのだろうか。

 利用期間が短くても、かつてICQがつないだ人間関係が現在も残っているという人も少なからずいることだろう。ICQ自体がこの世から消え去っても、その思い出は今後もユーザーの記憶に残り続けていくはずだ。


上司X

上司X: ICQが誕生から28年目にしてとうとうサービス終了する、という話だよ。いやあ、残念。


ブラックピット

ブラックピット: まさかICQが生き残っていたとは。


上司X

上司X: 終了より「まだあったの?」ことの方が驚きかもな。


ブラックピット

ブラックピット: というか、僕は世代じゃないんで存在は知っていても使ったことはないですよ。


上司X

上司X: そうなの? キミもよく古いことを知ってるもんだ。それはともかく、俺はも昔はICQを使ってたけど。


ブラックピット

ブラックピット: いつの間にか使わなくなって、今回の終了の話題で思い出した、ってとこですか。


上司X

上司X: そうそう、そんな感じ。でも、自分がどんなメッセンジャーを使ってきたかをあんまり覚えてないもんだな。「Skype」なんかも一時期大流行した気がするが……。


ブラックピット

ブラックピット:色んな いろいろメッセンジャーが流行った頃に比べると、スマホやSNSが登場していろいろ変化してますからねえ。これから先もきっとすっかり忘れてしまうサービスがあると思いますけどね。


上司X

上司X: 悲しいことだけど、いつの間にか消えていくサービスやアプリっていうのはたくさんあるものだ。でもICQはなくなるときにこうして大きな話題になった。それぐらい影響の大きい存在だったんだろう。俺も今回の一件で、あの「アッオー!」の通知音とともにICQのことを改めて記憶に刻んておくことにするよ。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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