オラクルのガバメントクラウド、和歌山市が住民情報系システムに採用
政府は自治体ごとで異なる業務システムの標準化を進めている。2025年度末が期限だ。和歌山市は、2025年にガバメントクラウドへの移行を完了させるよう取り組みを進めている。
和歌山市は2023年から「地方公共団体情報システム標準化」の取り組みを進めており、ガバメントクラウドに適した標準準拠システムの運用方法を検討している。現在運用している基幹業務システムのうち、住民情報系システム(住民基本台帳、印鑑登録、選挙人名簿管理、就学)を「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)へ移行する。2025年1月に稼働を開始する予定だ。
和歌山市のシステム標準化に向けた今後の取り組み
和歌山市とプロジェクトを支援する紀陽情報システムは、OCIを採用するに当たって日本オラクルのモダナイズに対する支援と、コストパフォーマンスを評価した。
モダナイズに関して、紀陽情報システムは日本オラクルのコンサルティングサービス部門の支援の下、最適な設計を提案する。日本オラクルはマルチベンダー型のアプリケーションを採用する和歌山市においてもOCIはコスト効果が高く、費用を継続的に低減することが可能だと説明する。
紀陽情報システムは近畿地域で20以上の自治体に標準準拠システムを提供する予定で、他自治体においても和歌山市と同様にOCIの採用を考えている。
今後、和歌山市と紀陽情報システム、日本オラクルの3社でガバメントクラウドおよびシステム標準化に関する連携を強化していく考えだ。具体的には、以下の2つのテーマに沿った共同研究を3者で進め、その成果を地方公共団体などに発信する。ガバメントクラウドへの移行や、政府が目標とする費用削減などの効果創出に向けた取り組みを進めていく。
- 標準準拠システムの各種費用について、ガバメントクラウドを活用した費用低減策の可視化
- 標準準拠システムのモダン化の効果
日本オラクルはこれまでも紀陽情報システムと協業し、和歌山市の住民情報系アプリケーションの安定稼働を支えてきた。今後もガバメントクラウドで稼働する標準化アプリケーションを支え、日本オラクルの豊富な実績を基に和歌山市のデジタル化を支援する考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 自治体特有の“DXの障壁”とは 民間企業との比較から見える突破の糸口
自治体がDXを推進する際、民間企業に比べて特有の障壁が存在するという。その障壁とは何か。そして、克服するために必要なこととは。シー・システムの田方氏がそのヒントを語った。 - 三重県庁、自治体初の「Slack」導入の裏側 障壁となった庁内インフラをどう変えたか
県庁DXを推進する三重県庁は、メールや電話によるアナログなコミュニケーションからの脱却のために全庁への「Slack」の導入を計画した。まずは限られた部署で試験的に導入を始めたが、解決すべき自治体ならではの課題があった。 - 足立区が保育園入所業務を自動化して残業をほぼゼロにした話
東京都足立区は、保育施設入所のオンライン申請受付業務などを自動化し、残業をほぼゼロにした。しかし、その道のりではツールスキルの習得や、自治体ならではの3層ネットワークへの配慮などが課題になったという。