“脱”VMware、一番人気の移行先は? 読者のホンネを聞いた
VMwareのライセンス変更によって、多くの企業のIT予算に影響が出ている。VMware製品群を利用しているユーザーが具体的にどういった製品に乗り換えるのか、調査結果を基に紹介する。
Broadcomは2023年11月にVMwareの買収を完了し、事業ポートフォリオを大幅に変更した。2024年2月4日に従来ライセンスでのVMware製品の販売を終了し、新たなポートフォリオへの移行を促している。
VMwareのライセンス変更によって、多くの企業のIT予算に影響が出ている。そこでキーマンズネット編集部とITmedia エンタープライズ編集部は共同で「『VMware製品のライセンス変更』に関するアンケート」(調査期間:2024年6月26日〜7月6日、オンライン調査、回答数:425件)を実施した。
第1回は、VMware製品群を利用している企業に対し「今後のIT基盤をどうする予定なのか」を聞いた。第2回の本稿は、VMware製品群を利用しているユーザーが具体的にどういった製品に乗り換えるのか、フリーコメントを基に紹介する。一番人気のソリューションが一目で分かる。
脱VMware、一番人気の移行先は?
現在何らかのVMware製品群を「利用している」としたグループ(202件)のうち約7割が何らかの影響があると回答した。
VMware製品群のユーザーに対しフリーコメントで今後の対応を聞いたところ、他ソリューションへの移行に関する多くのコメントが寄せられた(回答数:175)。
一番人気はHyper-V
特に多く寄せられたのは「『Hyper-V』クラスタリング構成へ移行」「2024年9月までにHyper-Vへ乗り換える予定」などHyper-Vに関するコメントだ。Hyper-Vは、「Microsoft Windows Server」のStandardエディションでは稼働できる仮想マシンの上限が2台なのに対し、Datacenterエディションでは無制限で仮想マシンを稼働できる。エディションの変更で対応する企業も多いかもしれない。
MicrosoftにはHyper-Vの他、「Microsoft Azure」(以下、Azure)でVMware製品を稼働する「Azure VMware Solution」といった選択肢もある。コメントでも「Azureへの移行を実施中」「Azureへ移行済」といった声が寄せられていた。Microsoft以外のハイパースケーラーとしては、AWS(Amazon Web Services)のVMwareサービスとの意見もあった。中には「これを機にクラウドにシフトする」といったコメントもあり、インフラ基盤ごと入れ替えるといった大きな決断をした企業も存在するようだ。
HCI、特にNutanixが多数
また、VMware以外のハイパーコンバージドインフラ(HCI)に移行するとの声もある。「他社HCIの比率を高める」「乗り換えに向けて運用を含めて環境を見直している。これを機にHCIに乗り換える」といったコメントが寄せられ、具体的なメーカーは「サーバの更新時期に合わせてNutanixのHCIへ移行する予定」や「Nutanixなどの他社製品への乗り換えを検討」「Nutanix、S2D ReadyNodeを検討」など、Nutanixが多く挙げられた。
複数製品を比較中
まだ複数製品を比較検討中の声としては、「Azure、Hyper-V、KVM(カーネルベースの仮想マシン)、Nutanixなど比較検討」といった多様な製品が横並びしている状況や、「使い始めたところなので現状はこのまま使う。サーバ更新時に検討する」「クラウドへの(移行を)検討をしている」などのコメントが寄せられた。また、「コストを鑑みて、Hyper-Vか、『Nutanix AHV』か、KVMに乗り換える。コストが許せば、VMware継続」「費用の安いアプリへの乗り換えを検討中」など、コスト優先のコメントも見られた。
複数製品を併用
単一のソリューションではなく、複数の製品で対応する企業も存在する。「小規模(なシステム)はHyper-V、中規模以上(のシステム)はNutanixに移行」や、「基本的には、Azure環境に移行する予定。どうしてもAzureに持っていけないものは、Hyper-Vの仮想環境に移行と思われる」「オンプレにできるものはオンプレ化を検討。できないものは、KVMやHyper-Vなどへのシフトを検討している」などのコメントが寄せられた。
「知らなかった……」悲痛な声
中には、そもそも乗り換え先を検討できていないという悲痛な声も寄せられた。「乗り換えの発想がないため、そのまま高いライセンス料を支払って使い続ける」や、「価格が変わるのか」と、アンケートを通して価格改定を知る人も存在した。また、「これからは極力Broadcom製品は使わない」「Broadcom製品はできるだけ使わない」など、具体的な対応策ではないがBroadcomの製品は使わないという強い意志を感じる人もいた。
ポジティブな声も
脱VMwareのコメントがあふれる一方、ライセンス変更によってポジティブな影響を受けた企業も存在する。VMware Workstationのライセンス料は無償化されたため、「VMware Workstationは逆に無償化されたので良かった。他のBroadcom製品は極力使わない方針」「VMware Workstationしか使ってないのであまり影響がない」といったコメントが寄せられた。
最後にフリーコメントの結果をワードクラウドで整理した。Hyper-Vが一番大きくなっていることからも、特に検討されているのが分かる。
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