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Microsoft自身はCopilotをどう使っている? 財務チームが考えたユースケースとはCFO Dive

MicrosoftはCopilotで約5000人いる財務部門全体のワークフローを強化しているという。一体、何に使っているのか。

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CFO Dive

 Microsoftのコリー・フルンシリク氏(モダンファイナンスリーダー)は「『Microsoft Copilot』で約5000人いる財務部門全体のワークフローを強化している」と述べた。

 フルンシリク氏はインタビューで「社内の財務専門家たちはこのツールを活用して日常的な業務を迅速にこなし、データに基づいたインサイトを提供している」と語った。

本人たちはCopilotを何に使っているのか?

 「財務部門はMicrosoft社内におけるCopilotのトップユーザーとなった。私たちは素晴らしいユースケースを生み出し、独自のプロンプトライブラリやビデオ、デモも作成した」

 Microsoftの財務部門はDXの推進の一環としてCopilotの導入を最優先事項に定めている。フルンシリク氏は2018年にモダンファイナンスリーダーに就任し、推進の指揮を執っている。

 Microsoftは他の大手テクノロジー企業とAI市場での主導権を争っている。2023年以降、Microsoftは複数のCopilotをリリースしており、これらの会話型チャットbotは同社のアプリケーションやサービス全体に組み込まれ、ユーザーのタスク対応を支援している。

 2023年2月、Microsoftは、「Excel」や「Outlook」「Teams」などの「Microsoft 365」アプリの機能である「Copilot for Finance」を発表した(注1)。これは財務プロセスをより合理的かつシームレスにすることを目的としている。広報担当者によると、このツールは現在も「パブリックプレビュー」モードだという。

 Microsoftは営業やカスタマーサービスなどの専門家向けに(注2)、同様のバーチャルアシスタントをリリースした。

財務分野の主なユースケース

 フルンシリク氏によると、Microsoftの社内におけるCopilot for Financeの最も重要なユースケースの一つはExcelのデータ照合だという。

 Microsoftにおいてグローバルの財務および金融サービスを担当するチームは売掛金を照合する機能を活用し、複数のソース間のデータを比較する時間を短縮した。1つのアカウント当たり平均20分を節約したという結果が『CFO Dive』に共有されている。Microsoftにおいて財務の計画および分析を担当するチームは、毎週1時間から2時間かけていたデータ照合業務にかかる時間を10分に短縮できた。

 フルンシリク氏によると、Microsoftの財務チームは現在差異分析機能をテストしており、今のところ有望な結果が得られているという。差異分析とは、予測または計画された財務数値と実際の結果を比較する方法である。

 フルンシリク氏は「Copilot for Financeの活用により、従来の手作業による方法よりも迅速に洞察を得られる」と述べた。

 2024年9月16日にMicrosoftは「Copilot Pages」と呼ばれる新機能を含むCopilotの「次の波」と呼ぶものを発表した(注3)。

 Microsoftにおいて「AI at work」を担当するコーポレートバイスプレジデントであるジャレッド・スパタロ氏は、この発表をブログで伝え、次のように述べた。

 「この18カ月で、世界中の人々は日常的にCopilotを使用するようになった。Copilotは、タスクの迅速な完了や目的のある会議の開催、効果的な連携、ビジネスプロセスの効率化を支援している」

 この投稿で引用された他のユースケースでは、バーチャルヘルスケアプロバイダー「Teladoc」のカスタマーサービス担当者が、Copilotを活用して顧客からの一般的な質問に対する回答を作成し、週の業務時間を最大で5時間節約できたという。

 Salesforceのマーク・ベニオフ氏(CEO)は2024年8月の決算説明会で「Microsoft Copilotを購入した多くの顧客が、求めていた正確さや応答性を得られずに失望している」と述べた。これを受けて、Microsoftによる今回の発表がなされた。

Microsoftによる反発

 スパタロ氏は、電子メールで次のように述べた。

 「顧客により状況は異なるが、全体としてMicrosoft 365のCopilotを使用している顧客からは全く異なるフィードバックを得ている。前四半期だけでも顧客数が60%以上増加し、日常の利用者も倍増している。これらは市場におけるCopilotの価値を示す明確な指標である」

 フルンシリク氏によると、Copilotが生み出す結果の質はユーザーのプロンプトに大きく関係しているという。

 「上級のユーザーになるためには、学習曲線を乗り越える必要がある。より多くのコンテキストを提供することで、最適な応答を得るために必要な基盤を構築できる」(フルンシリク氏)

 Microsoftは「Copilot Lab」と名付けたWebページを公開し(注4)、トレーニングビデオやプロンプトのサンプルをはじめとして、ユーザーがこのテクノロジーを使いこなすのに役立つリソースを提供している。

 一方、フルンシリク氏によると、Microsoftの財務部門は独自の財務プロンプトライブラリを開発中だという。

 フルンシリク氏は「約300件ほどの財務プロンプトを集めてきたが、それらは基本的なプロンプトでは対応が難しい高度な作業に挑戦する際に役立っている」と述べ、このライブラリは現在、社内専用で非公開であることも付け加えた。

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