提供終了で「WSUS難民」多発か? Windows管理の実態を緊急調査:WSUS終了で困惑する企業
Microsoft はWindows Updateを管理する「WSUS」を廃止すると発表した。これによって影響を受ける企業はどの程度か。キーマンズネットが実施した独自調査の結果から、Windowsアップデート管理の実態を見ていく。
Microsoftは20年以上にわたって「Windows Server Update Service」(WSUS)を提供してきた。Windows更新プログラムを集中管理し、効率的にアップデートファイルを配布でき、さらに無償で利用できるのもメリットだ。
2024年9月20日、突如MicrosoftはWSUSの廃止を発表した。同社はWindows管理をクラウド化するというビジョンを打ち出し、WSUSへの新機能追加や機能リクエストの受付を終了すると宣告した。脆弱(ぜいじゃく)性が発見されても対処されず、更新管理をWSUSに頼っている企業は他製品への移行など、何らかの対応が求められる。
そこでWSUSの利用状況と影響範囲を探るために、キーマンズネットは読者企業を対象にアンケートを実施した(実施期間:2024年10月7日〜11月8日、有効回答件数:290件)。本稿ではまず、企業におけるWindows Updateの管理現状について紹介しよう。
「WSUSを利用」は61.1%、企業規模別Windows管理の実態
まず、WSUSの終了によって影響を受ける企業の割合を探るために、Windowsのアップデートファイルの展開や適用状況の管理方法を尋ねたところ、「WSUSのみ利用(オンプレミスで運用)」が38.3%となり、全体の4割弱を占めた。
この割合を従業員数規模別にまとめたものが、図1だ。企業規模によって利用の偏りが見られた。
100人以下の企業では26.5%、501〜1000人では59.5%となり、企業規模で利用傾向が分かれた。101〜500人や1001〜5000人、5001人以上の企業ではいずれも30%台後半だった。
「WSUSのみ利用(クラウドで運用)」を見ると、全体では10.0%だが、従業員数1001〜5000人の企業では18.2%、5001人以上の企業では20.0%となり、中堅企業、大企業ではクラウドの割合が増えている。「WSUSと他ツール、サービスを併用」(12.8%)でも同じ傾向が見られた。
「WSUSのみ利用(オンプレミスで運用)」「WSUSのみ利用(クラウドで運用)」「WSUSと他ツール、サービスを併用」の回答割合を合計すると、61.1%の企業がWSUSの終了によって影響を受けるものと予想できる。
続いて「WSUSと他ツール、サービスを併用」と回答した人に対して、併用しているツールやサービスを尋ねたところ、回答割合順に「SKYSEA Client View」(32.4%)、「LANSCOPE エンドポイントマネージャー」(24.3%)となった。それ後は「Microsoft Intune」(10.8%)、「Microsoft Update Catalog」(10.8%)と続いた。
急がれる対応、だが公開情報がまだ不十分
WSUSの廃止で注意しなければならないのは、「廃止=今すぐ利用できなくなる」ではないことだ。Microsoftは積極的な開発を中止するものの、即座にサポートを終了するわけではない。既存の機能は利用でき、WSUSチャンネルを用いた更新プログラムも公開が続く。ここで公開されたコンテンツのサポートも継続される予定だ。「Microsoft Configuration Manager」の機能やサポートにも影響しない。さらに2024年11月4日に公開された「Windows Server 2025」でも引き続きWSUSを利用できる。
懸念されるのは、本稿公開時点ではまだMicrosoftからの情報提供が不十分ということだ。ユーザーが判断に迷っているのもこのためだろう。
次回はWSUSの利用を継続するのか、それとも移行するのか、調査結果を報告する。
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