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「データ分析基盤の構築予定はありません」  なぜ? 未着手企業の生の声【調査】データウェアハウス(DWH)の導入状況に関するアンケート(2024年)/後半

キーマンズネットは「DWHの導入状況」に関するアンケートを実施した。前編となる本稿では企業におけるデータ活用の推進状況とDWHの利用実態を紹介する。データ活用は進んでいるものの、基盤が未整備というちぐはぐな状況が発生している。

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 データの蓄積や加工、保管などの統合管理を可能にするデータウェアハウス(DWH)。前編では、大企業を中心に半数がデータ活用を進めている一方、DWHを構築しているのは31.4%とやや遅れている現状を紹介した。後編となる本編でも引き続き「DWHの導入状況に関するアンケート/2024年(実施期間:2024年10月31日〜11月15日、回答件数:122件)」を基に、DWH構築が促進されない理由や、その背景について現状課題を考察する。

本稿で紹介する調査項目

  • 「DWHを構築する予定はない」とした企業の“やらない理由”2選
  • 「データ活用に取り組む計画はない」とした企業のボトルネック4選

DWHを「構築する予定はない」2つの理由

 前編で全体の41.9%を占めた「DWHを構築する予定はない」とした方を対象に、その理由をフリーコメントで聞いたところ大きく以下の2種類に整理できた。

 1つ目は、DWHへの投資の優先順位が低いという理由だ。「規模が小さく余裕が無い」「そこまでの規模はない」などデータの活用範囲をそこまで広く設定しておらず、取り扱うデータ量も大きくないため、コストや使用頻度、重要性を鑑みて「投資の優先順位が低い」と判断するケースもあるようだ。また「運用管理などのコスト増」を懸念し、投資を見送る意見もあった。

 2つ目は使いこなせないという理由だ。「活用できるか分からない」「おそらく使いこなせない」といった懸念があり、まだ構築段階にないと判断するケースがあるようだ。中には「社内で有用性がまだ十分に認知されていない」と、DWH構築の有用性がなかなか認知されないことに問題提起をする方もいた。

企業におけるデータ活用を阻む4つの障壁

 データ活用施策の促進時にも同様の課題に直面することが少なくない。全体の27.9%が「データ活用に取り組む計画はない」としており、該当者を中心に「データ基盤、DWHを構築するに当たって障壁となること」や「自社でデータ基盤を構築できていない原因、理由」をフリーコメントで聞いたところ、大きく4つの課題が見えてきた。

 1つ目は、前項でもあったコスト面での課題だ。「システムへの予算は保守管理にしか回せない」など、必要性は感じていてもなかなか予算を充てられないと嘆く方もいた。また、予算編成の前段階として「データ自体の整理ができていないことが課題」に見られるように、現状データの取得や管理といったデータ整理ができていないために、データ活用の具体施策が描けないとの意見もあった。これが2つ目の課題だ。

 そして現状を引き起こす要因の一つに挙げられたのが、3つ目の「IT人材不足」という課題だ。「専任者がいない、ITスキルがない」「データの内容、システム仕様が理解できていない」「運用できる人材がいない」など、データ活用を推進するための現状整理と戦略提案ができる「専門知識をもった従業員が少ない」ことも関係し、データ活用基盤や体制整備が進まないとの声が多く挙がった。

 最後に、これら全てに関連する課題として4つ目に挙がったのは、データ活用の目的や必要性の理解が進んでいないという点だ。「経営幹部の理解不足」や「経営層のITリテラシーの低さ」のように、そもそもの起点であるデータ活用の目的が不明確であったり、「データ構築の必要性がまだ十分に理解されていない」や「重要性の認識不足」に見られるように、データ活用の必要性が組織に十分浸透していないことで、施策を打っても成果につながらずデータ活用を業務プロセに反映することが難しいとの意見が多く寄せられた。

 以上、ここまで見てきたように企業がデータ活用を促進していく上で重要なのは「どのような課題解決のためにデータを活用するのか」その目的や背景を明確にし、現場レベルで浸透させることだろう。そして予算編成や体制構築など目的を果たすための運用設計を実施し、改善フローをしっかり回すことも必要だ。前編で触れたように、既に半数の企業でデータ活用が進められており、激化するビジネス環境において今後もDX推進は避けては通れない経営アジェンダであることは間違いない。いまだ十分な議論ができていない企業においては、今こそDXに本腰を入れるべきではないだろうか。

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