投資増が見込まれる生成AIを、それでも使わない2つの“明確な理由”【読者調査】:7つのトピックス 2025
2025年に注目すべきトピックスとして「生成AI/データ分析」についての読者調査を実施した。生成AIのニーズと市場は拡大する一方で、それでも生成AIを使わないもしくは使う予定がないとする企業も一定数存在する。その背景には明確な2つの理由が存在していることが分かった。
「キーマンズネット」編集部は2025年に注目すべきトピックスとして「セキュリティ」「生成AI/データ分析」「コミュニケーション/コラボレーション」「IT人材」「VMware移行問題」「PC事情(AI PC/Windows 11)」「レガシーモダナイズ」の7つのトピックスを抽出し、読者調査を実施した(実施期間:2024年10月25日〜12月6日、有効回答数427件)。企業における2024年のIT投資意向と併せて調査結果を全8回でお届けする。
第2回のテーマは「生成AI/データ分析」だ。生成AIのニーズと市場は確実に拡大している一方で、それでも生成AIを使わないもしくは使う予定がないとする企業も一定数存在する。
調査の結果、その背景には明確な2つの理由が存在していることが分かった。
投資増が見込まれる生成AIを、それでも使わない“明確な理由”
ビジネスパーソンにとってデータ分析や生成AIは“重要課題”として認識されているのだろうか。「お勤め先のあなたの部署における重要課題をお答えください」という設問に「データ分析」と回答したのは25.1%、「生成AIの活用」は27.2%だった。
これは23項目ある中の8位前後で、平均よりは上だが「人材育成」の43.3%や「業務の省力化」の37.9%に比べて特段高いわけではない。
一方で2025年の投資予定先としての優先度は高そうだ。「生成AI」を選んだ人が21.1%、「データ活用/分析」が15.2%、「AI/機械学習」が11.0%となった。特に生成AIは「セキュリティ対策」の32.8%に次いで2番目に多く挙げられている。
投資予定額の増減を見ても生成AIへの期待はうかがえる。「『生成AI』分野への予算が2024年に比べて増額する見込みだ」と回答した人は21.8%に上った。20%を上回った項目は生成AIのみであり、「セキュリティ対策」の15.2%も超えている。
生成AIサービスの2大巨塔
2024年末時点での生成AIサービスの利用状況は「利用している」と答えた人が27.4%、「試験利用中」が22.5%、「利用を予定または検討している」が20.1%だった。利用しているツールとしては「ChatGPT」の無料プランが43.8%、ChatGPTの有料プランが28.4%の他、「Microsoft 365 Copilot」が49.2%と目立っている。少ないながらもコード生成の「GitHub Copilot」(3.7%)や「自社開発の生成AIサービス」を上げる人もいた。
一方で利用の予定がないとする人は27.4%に上った。利用しない理由としては「利用したい業務がないから」が52.1%と過半数を占めた。以降は「具体的な活用イメージがわかないから」(40.2%)、「スキルを持った人材がいないから」(33.3%)、「予算がない、コストを捻出できないから」(30.8%)が続いた。
この傾向は自由記述でも見られた。具体的な回答例は以下の通りだ。
- 有効利用できる案がない
- 利用場面が想像できない
- 費用対効果が認められる業務がないため
- 業務内容と合致しない
- 有効に利用できる業務がない
- 必要性を感じない
「必要がない」「業務に適合しない」という回答が多く、生成AIの活用アイデアがない場合や業務を洗い出した結果フィットするものがなかった場合、費用対効果を考えると導入するべき業務がない場合などが挙げられている。
他には「会社が方針を固めていない」などポリシーやガバナンスの問題、セキュリティ面の懸念、予算不足や人材不足などを理由とする人もいた。
「上層部は技術を理解していないが、中途半端な知識で話す」
生成AI活用が進まないボトルネックになっている要素は何か。238件の自由回答の結果を見てみると、とびぬけて多いのが「情報漏えいの懸念」(35件ほど)だった。生成AIサービスの中には「入力された情報をAIモデルの学習には使わない」とするものも多いが、ユーザー側はここを最も気にしているようだ。もう一つの要点は上でも見たユースケースがないもしくは見つけられないという問題(30件ほど)だった。
その他、比較的多かった意見としては「生成AIの出力の正確性に疑問がある」「ノウハウを持った人材の不足」「経営層の理解不足」(それぞれ11件ほど)などがある。
「上層部は(技術について)理解できていないが言葉は知っており、中途半端な知識で話をする」という声もあった。
生成AIにも得意なタスクと苦手なタスクがあり、業務によっては最適な選択肢にならないことも十分ある。必ずしも生成AIを適用することが正しいとは言えないが、事例を学ぶことで活用アイデアは取得できる。
2025年に予算増を見込むなら、これらのボトルネックを意識して効果を最大化する方策を模索するのもいいだろう。
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