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VDIの弱点を克服した“エンタープライズブラウザ”って何?

新たなセキュリティソリューションの1つに、エンタープライズブラウザがある。VDIやセキュアブラウザなどのソリューションの代替えとなるもので、エンドポイントからの情報漏えいを防ぐ。VDIの利便性の低さを克服するソリューションだというが、一体どのようなものなのか。

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 冬らしい過ごし方って何だろう。妻の答えは、スキーだったようだ。子供たちのウェアを張り切ってフリマサービスで調達し、仕事や子供の都合をうまく調整しながらスキーツアーを複数企画してくれた。私は運転手に徹しているものの、子供たちの笑顔が増えるのは何よりだ。

 先日は、ゲレンデで長女のそりにお付き合いし続けなければならず、緩斜面を抱っこしながら何度も上り下りさせられる羽目に。

 筋トレになったという意味では感謝しかないが、結局一度も板をはかずに終わってしまうと、片道数時間を運転してきた身としては少し寂しい。いずれにせよ、季節に合った遊び方は楽しいものだ。

VDIの弱点を克服した“エンタープライズブラウザ”って何?

 新たなセキュリティソリューションの一つに、エンタープライズブラウザがある。VDIやセキュアブラウザなどのソリューションの代替えとなるもので、エンドポイントからの情報漏えいを防ぐ。「ブラウザ」と名の付く通り、「Google Chrome」や「Microsoft Edge」などの「Chromium」ベースのWebブラウザを通じて、業務アプリケーションを利用するのが一般的になっている。VDIの利便性の低さを克服するソリューションだというが、一体どのようなものなのか。

 さらに近年では、SaaSを中心にブラウザで利用できる業務アプリケーションが増えていることから、ブラウザを基盤としてエンドポイントを一括管理するソリューションが登場するのも自然な流れだろう。

 もともとVDI(Virtual Desktop Infrastructure)とは、サーバの仮想環境で稼働するデスクトップやアプリケーションを画面情報として転送する仕組みとして普及してきた。端末の種類を問わず、ユーザーごとに独自のコンピューティング環境を提供できる点が特徴で、実際のデータが端末側に残らないため、情報漏えいリスクを大幅に低減できるメリットがある。

 さらに、VDIは利用者の利便性よりも、管理者が統制しやすいことに大きな強みだ。エンドポイントを一元的に管理し、セキュリティを強化する上で、これまで重要な役割を果たしてきた。

 ただし、かなり高額なソリューションであることはご存じの通りだろう。多数のデスクトップ環境を仮想サーバで用意する必要があるため、大規模なサーバインフラを確保しなければならない。ランサムウェア対策などセキュリティへの投資が受け入れられやすい現状であっても、容易に予算が確保できるとは限らない。

 しかも、ログインまでに時間を要する上、通信状況によってはパフォーマンスの低下が発生することもある。稼働させるアプリケーションとの互換性を含め、VDIが原因で生産性を下げてしまうケースもある。現場にフラストレーションを蓄積させるようなソリューションは避けたいところだろう。

 そこで登場したのが、エンタープライズブラウザだ。主流となっている「Chromium」ベースのブラウザを利用してセキュリティ機能を提供するソリューションで、企業向けにセキュリティ機能が実装されたブラウザを利用するソリューションと、Google Chromeなどの汎用的なブラウザそのものを利用するソリューションがある。

 企業向けのセキュリティ機能が実装されたブラウザを利用するソリューションでは、クライアントアプリケーションとしてエンタープライズブラウザをインストールして利用する。そのため、VDIやセキュアブラウザと同様に、専用アプリケーションがクライアント環境に必要となる。ただし、Chromiumベースのブラウザであるため、Google Chromeに近い操作性を備えており、ユーザー体験を損なわない点が特徴だ。

 汎用的なブラウザを利用するソリューションでは、ブラウザに展開するPACファイルを使って、通信を強制的にベンダー提供のクラウド上のブラウザ環境に誘導する仕組みとなっている。そのクラウド上のブラウザが、通常のブラウザ同様の処理を実行し、最終的にレンダリング情報をエンドポイント側の汎用ブラウザに返すという構成だ。

 前者のアプローチでは、クライアント側に専用のブラウザを導入する必要があるため、一定の管理負担が発生する。しかし、クラウド上の管理コンソールを通じて全てのブラウザ設定を一元管理できるため、管理者の負担は最小限に抑えられる。

 また、VDIのようにエンドユーザー側の負担が生じることはなく、ログインの待機時間やパフォーマンスの低下といった課題も発生しにくい。そのため、生産性を大幅に損なうことがない点が、大きなメリットとなる。

 一方、後者のアプローチでは、PACファイルで設定するだけで、ユーザーは普段使用しているブラウザをそのまま業務に利用できる。そのため、専用のクライアントアプリケーションを導入する必要がなく、管理者の負担はさらに軽減される。

 ただし、クラウドのブラウザで処理した結果をクライアント側のブラウザに返す仕組みであるため、レスポンスの遅延が気になるケースも考えられる。また、レンダリングに関する課題が発生し、画面の表示が崩れる可能性も指摘されている。

 どちらのパターンでも一長一短あると言えるのかもしれない。

 いずれにせよ、エンタープライズブラウザを導入することで、アクセス管理やデータ保護といった企業に求められるセキュリティ対策を強化できる。専用のブラウザを用いる方式であれ、汎用ブラウザを活用する方式であれ、安全な業務環境の構築に大いに貢献するだろう。

 今後、エンタープライズブラウザは企業の標準的な業務環境として定着していく可能性が高い。

高騰するのはセキュリティ投資とレジャー関連費用、我が家ではやむを得ない

 物価高騰のなか、観光地であるがゆえの値段設定であることはよく理解しているのだが、さすがに高い。ピザ1枚が3000円弱、コーラが450円ぐらいだったと記憶している。

 3人の子供と妻、そして私含めてゲレンデで飯を食うと、一万円札がすぐに手のひらからこぼれ落ちていく。リフト券もえらく高かった。

 企業において高騰しているセキュリティ投資、外部脅威の高まる今はやむを得ない出費だと考えられるが、我が家はスキー関連の出費に関しては現時点でやむを得ないと判断している。

 春節(旧正月)の時期に差し掛かった中国からも、たくさんの人が訪日することだろう。スキー場にも多くの外国人観光客の方が多かったが、需要の高まりとともに再び混み合い、結果として値段が高騰することになるのだろうか。しばらくは散財が続きそうだ。


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