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Javaユーザー企業の「Xデー」は2026年? 高額な追加費用を回避するためにすべきことCIO Dive

多くの企業でアプリケーション開発に利用されているJava。だが、Javaアプリの延命を続ける企業の2割が、Oracleが実施するライセンス監査を受けることになりそうだ。

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CIO Dive

 Javaはさまざまな目的に活用できるプログラミング言語で、20回以上のアップデートを経て進化している。Oracleは、Javaの知的財産を保有するSun Microsystemsを2010年に買収し、最近ではライセンスにも変更を加えた。

チェックしておきたいライセンス契約のポイントとは?

 長い歴史を有するプログラミング言語であるJavaはWebからクラウドまでさまざまなビジネスアプリケーションに深く浸透している。

 2025年に30周年を迎えるJavaが、新しいプログラミング言語が登場する中で、企業向けアプリケーションにおける“支配力”を今でも発揮しているのはなぜか。

 Javaに関連するカスタマイズサービスを提供するAzulのスコット・セラーズCEOは、次のように語る。

 「企業にとって、Javaはモルタルとレンガで構築した壁のようなものだ。どこにでも存在する。Javaを使っていない企業もあるが、一定の規模のある企業でJavaを使用していない組織を見付けるのは難しいだろう」

 Azulが2025年1月に発表したレポートは(注1)、Javaの普及度に言及している。Azulが調査企業であるDimensional Researchに依頼して、2000人以上の開発者を調査したところ、Javaを使用していない開発者はほとんどいないことが分かった。

 約7割の回答者は、「自社のアプリケーションの半数以上にJavaが使われている」と報告した。約5割の回答者は、「AIアプリケーションを構築するために現在もJavaを使っている」と回答した。

 開発言語に関する高度な意思決定はIT幹部の管轄だ。日々のプログラミングにおいて決定するのは開発者だが、予算を配分して必要なツールを開発者に提供するのは技術リーダーだ。

 OracleがSun Microsystemsが買収した後、Java利用企業には2つの選択肢が提示されている。サポートが提供されているバージョンのJavaのツールキットとサービスをOracleからライセンスを購入するか、オープンソースライセンスでJavaアプリケーションを展開するかの2つだ。

 2019年にOracleがサブスクリプション型のサポートモデルに移行させ、2021年と2023年に追加の変更を実施した結果、JAVAに2つの選択肢が存在する重要性はさらに大きくなった。

 調査企業であるGartnerは、2025年1月のレポートで次のように述べた。「Oracleが顧客に対して、サブスクリプションへの登録を奨励し始めてから、多くの顧客はJavaをサードパーティ製の無料の代替品に置き換えた」

 Oracleは、ユーザー数をベースにした料金体系から従業員数をベースにした料金体系にサブスクリプションモデルを変更した。新しい料金体系では、実際にJAVAアプリケーションを利用する人数ではなく、企業の従業員規模によって利用料が決まる。この変更によって、顧客は最新のバージョンのJavaを無料で使用できるようになったが、以前のバージョンに対するサポート料を支払う必要がある。Gartnerによると、この変更はユーザーを混乱させたようだ。

 Gartnerは、OracleのJavaアプリケーションを使用する企業の20%以上が2026年にOracleのライセンス監査を受けることになるだろうと予想している。Oracleは、調達およびベンダー管理の分野を担当するリーダーに対して、ライセンス契約の見直しを推奨している。

コスト最適化のための険しい道

 ソフトウェア資産管理ソリューションを提供するFlexeraの調査によると、ベンダーは、顧客が契約に基づいてサービスを適切に活用しているかどうかを調べるために監査を実施している。その結果、契約違反などにより顧客が高額な追加費用を支払わなければならないケースが増加している(注2)。CIO(最高情報責任者)はコンプライアンス違反を回避するために、IT資産管理チームを組織し、クラウド支出を最適化するFinOpsの手法を活用して、自社の業務環境への監視を強化している(注3)。

 一部の企業は、Oracleのサービスを解約して、オープンソースの代替品を使うようになった。Azulの調査によると、Oracleのライセンスを使用しているJavaのユーザーは、過去6年間で70%から30%に減少したという。これに対するコメントの要請にOracleは応じなかった。

 セラーズ氏によると、Oracleの監査によってコストが発生する状況を回避するために、既存のライセンスを解約した企業は、システムに存在するOracleのJavaの不正なコピーを見付けるために、ウイルススキャンに相当する作業を実施しているようだ。

 Azulの調査では、約9割の回答者が「オープンソースの代替品への移行を検討している」と答えている。2023年にAzulが同様の調査を行った際、同じように述べた回答者の割合は7割だった。

 ただし、調査企業であるForresterのアンドリュー・コーンウォール氏(シニアアナリスト)によると、オープンソースへの移行は容易ではなく、最善の解決策とは限らないという。

 「仮に、社内の全員がJavaのライセンスを既に利用しており、ライセンス料を支払っているのであれば、Oracleの新しいライセンス体系は大きな問題ではなく、むしろ節約につながる可能性もある」

 これらの変更は、大規模であるにもかかわらず、少数のユーザーグループしか持たない企業に悪影響を与えた。コーンウォール氏は「企業にとって、ユーザーの数を把握する作業は決して容易なものではない」と付け加えた。

 最新のバーションとともに使われ続けているレガシーコードの存在や新たなリリースの頻度が(注4)、企業全体におけるJavaの環境の管理をより複雑で困難なものにしている。

JAVAの今後はどうなる?

 Oracleは、長期サポート付きの最新バージョンである「Java 21」を2023年9月にリリースした。長期サポート付きの次のバージョンである「Java 25」がリリースされる時期は2025年9月だ。同社のJavaに関するサポートロードマップによると、その間に長期サポートのない3つのバージョンがリリースされるようだ。

 Azulのレポートによると、4社に1社は「Java 8」のアプリケーションを使用しており、3社に1社以上が「Java 17」を使用している。調査によると、サポートが提供されている最新のバージョンを使用している組織は3社に1社未満だった。

 プログラミング言語の異なるバージョンは相互運用性を考慮して設計されている。互換性は、Javaが30年にわたって持続してきた特徴の一つだ。

 「プログラミング言語としてのJavaの開発者は、古いバージョンとの互換性の大分部を維持しながら、Javaを優れた開発体験を提供する現代型のプログラミング言語に変えた。これは顕著な技術的成果だ。現在の言語に『Java』という名称が用いられていなければ、Java 23は話題の新言語として多くのファンに推されていただろう」(コーンウォール氏)

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