Zoom、Teams、Cisco Webex……主要な情報共有ツール10選と最新トレンド【2025年版】
本記事では、主要なUCプラットフォームとベンダーの特徴をまとめた。各プラットフォームが提供する機能も紹介しているので、最適なUCプロバイダーを選ぶ参考にしてほしい。
企業向けのユニファイドコミュニケーション(ビジネス上のさまざまな通信ツールを統合および管理する技術。以下「UC」)の市場は進化し続けている。その進化がクラウドを活用したアーキテクチャの発展なのか、新たなコミュニケーションやコラボレーション機能の追加なのかにかかわらず、利用可能な選択肢を把握し、最適なUCプラットフォームを理解することが重要だ。
Zoom、Teams、Cisco Webex……注目の情報共有ツール10選【2025年版】
Informa TechTargetの編集者は、主要なUCプラットフォームとベンダーを調査および特定し、企業が十分な情報をもとに意思決定できるよう、それぞれの主要な特徴をまとめた。これらの分析に基づき、アルファベット順で上位10社のプラットフォームを紹介する。
1.8x8 Xシリーズ
「experience communications as a service(エクスペリエンス・コミュニケーション・アズ・ア・サービス)」と呼ばれるこの完全クラウド型システムは、UCとコンタクトセンターサービスを単一のプラットフォームで提供する。「Experience Communications Platform」は、大規模なテレワークフォースを抱える企業、特にコールセンターやコンタクトセンター業務を行う企業に最適だ。8x8 Engageは、AIとオムニチャネル対応によってUCプラットフォームの機能を拡張し、従来のコンタクトセンターの枠を超えた顧客体験の向上を目的として設計されている。
ビジネス電話を活用しているユーザー向けのUC固有の機能には、無制限の通話やテキストメッセージ、FAX、ボイスメール、通話録音、転送、保留、電話帳案内、通話分析などがある。月額または年額のサブスクリプションでサービスを購入でき、UCサービスには2つのプランがある。
1.X2には、米国およびカナダ、その他12カ国への無制限の通話、500人まで参加可能なビデオ会議、チームチャット、「Microsoft Teams」(以下、Teams)との統合が含まれる。
2.X4には、X2の全ての機能に加え、48カ国への無制限の通話、受付機能、高度な分析機能、通話相手に聞こえない方法で管理者がオペレーターにアドバイスできる機能(ウィスパー機能)、割り込み機能が含まれる。
2.Alcatel-Lucent Enterprise OmniPCX
「OmniPCX Enterprise Communication Server」は、大規模企業向けに設計されている。Alcatel-Lucent Enterprise (ALE)は、UCプラットフォームの管理とサポートを簡素化するために、真のエンドツーエンドのUC製品を提供する数少ないベンダーの1つだ。
OmniPCXは拡張性に優れている。ユーザーは、複数の拠点をサポートするために、集中管理インタフェースを構築できる。モジュール設計により企業は必要なコンポーネントを選択してUCの要件を満たすことが可能であり、セッション開始プロトコル(SIP)のエンドポイント(注7)、ビデオ会議、ソフトフォンアプリケーションに加え、UCプラットフォームを外部組織やサードパーティーサービスに接続するメディアゲートウェイなどを利用できる。
UCサービスは、仮想マシン(VM)として導入することも、専用のハードウェアアプライアンスを使用して展開することも可能である。各UCサーバは最大1万5000の内線をサポートでき、必要に応じてALEは複数のサーバをクラスタ化し、100万以上の内線に対応できる。OmniPCXには、ビジネスフォンやモバイルヘッドセット、ソフトフォンの間でそれぞれ固有の公衆電話交換回線網(PSTN)番号を持つことができるなどのモビリティ機能も備わっている(注8)。また、ALEのコミュニケーションプラットフォーム「Rainbow」を活用したハイブリッドクラウド接続にも対応している。
3.Avaya Aura
Avayaは、オンプレミス型のプラットフォーム「Aura」を通じてエンド・ツー・エンドのUC機能を提供している。現在このプラットフォームは、コミュニケーションとコラボレーションを支援する同社の製品群の一部として、コンタクトセンター・アズ・ア・サービス(CCaaS)やその他のコラボレーションツールと統合されている。また、同社は、ハイブリッドクラウド環境へ移行する企業向けに、Avaya Cloud Office by RingCentralなどのクラウド技術と自社の電話プラットフォームを統合している。
プラットフォーム「Aura」には複数のコミュニケーションコンポーネントが含まれており、あらゆる規模の企業で活用できる。Auraは拡張性に優れ、モジュール設計を取り入れており、音声通話やビデオ、ライブチャット、ファイル共有、モビリティ機能などを備えている。このプラットフォームの基盤となるのがAura Communication Managerであり、リアルタイムの音声およびビデオ、メッセージ、モビリティを含む700以上のUCサービスを提供している。
Aura Communication Managerは、全てのSIPエンドポイントの登録と管理、通話ルーティング、通話キュー管理、音声およびビデオ通話の優先制御などを担っている。また、Avaya Auraには、組み込み型の会議機能およびコンタクトセンタープラットフォームが用意されており、コールセンターを運営する企業や、高度な会議機能を必要とする企業にとって優れた選択肢となる。
Auraのその他のコンポーネントには、VoIPルーティング、SIPトランキング、ユーザーおよびグループプロファイルの管理を支援するセッションマネジャー、外部SIPトランクの管理および制御を行うセッションボーダーコントローラー(SBC)、従業員の所在地やステータスを識別するためのプレゼンスサーバ、サードパーティーとの統合のために高度なAPIやWebサービスを提供するアプリケーション・イネーブルメント・サービス(AES)サーバが含まれる。同社はZoomと提携し、AuraとZoom Workplaceのコラボレーションツールを提供しており、それにはAI Companionも含まれている。
4.Cisco Webex
「Cisco Unified Communications Manager」(CUCM)は、エンドツーエンドのUCプラットフォームだ。コミュニケーションおよびコラボレーションを支援するCiscoの製品群「Webex」と強固に統合されており、ハイブリッド環境またはフルパブリッククラウド環境での導入が可能だ(注11)。Webex Suiteは、通話およびビデオ会議、メッセージ、ファイル共有をサポートし、AI機能も提供している。
CUCMは、数百人規模の企業から最大10万人のユーザーを抱える企業まで対応可能な柔軟な設計となっている。企業はサードパーティー製のSIPフォンを選択することもできるが、多くの場合、CiscoのIP電話が導入されており、なかにはビデオ会議機能を内蔵したモデルもある。
Cisco Unified CallManagerは、このプラットフォームの基盤となるシステムであり、IP電話の登録や通話制御、通話ルーティング、セッション管理などの基本機能を提供する。その他の機能については、追加のプラットフォームサーバが必要となり、音声メッセージやインスタントメッセージ(IM)、企業向けビデオ会議などが利用できる。
CUCMは、拡張されたエクステンションモビリティ機能により、モバイルワークフォースに対応している。また、Ciscoのホスト型コラボレーションプラットフォームやWebex Callingと統合することで、支社やテレワーク環境にも適応可能である。Webex Suiteは、Google WorkspaceおよびMicrosoft 365、Salesforceとの連携もサポートしている。
5.Microsoft Teams
Teamsは、チームチャット、ファイル共有、ビデオ会議、PSTN(公衆交換電話網)接続によるVoIP通話を含む、ユニファイドコミュニケーション(UC)サービスを幅広く提供している。「Microsoft 365」を契約している企業であれば、既にTeamsのライセンスを保有している可能性が高い。
Teamsは、「Microsoft Outlook」「Microsoft OneDrive」「Microsoft Excel」「Microsoft PowerPoint」「Microsoft SharePoint」「OneNote」といった他のMicrosoft 365アプリケーションとネイティブに連携する。MicrosoftのCopilot AI機能は、業務の自動化やコラボレーションの効率化を支援するために設計されている。
PSTN音声ライセンス(Microsoft 365 Business Voiceと呼ばれる)を追加することで、クラウド管理型のエンタープライズグレードの音声および音声会議プラットフォームとして活用でき、組織のUCニーズに対して低コストな選択肢となる。
6.Mitel MiVoiceおよびMiCollab
Mitel Networksは、大企業から中小企業まで幅広く対応するエンタープライズ向けユニファイドコミュニケーション(UC)分野において、強力なプレイヤーとしての地位を確立している。「MiVoice」製品群は、組織の規模、地理的拠点、ユーザー数に応じて、オンプレミス型またはクラウド型の複数の展開オプションを提供している。同社は、Atos SEからUnify(旧OpenScape Voice)を買収したことで、UCおよびコンタクトセンター機能を強化した。MiVoiceは音声および通信サービスを提供し、「MiCollab」はチームメッセージング、ビデオ会議、コラボレーションツールを提供する。
MiVoiceは完全なSIPベースのシステムであり、Mitel製電話機のほか、複数のサードパーティー製SIP電話機にも対応している。小規模企業や5人程度の従業員しかいない支店向けには、オンプレミス型アプライアンス「MiVoice Connect」がエントリーモデルとして用意されている。大規模企業向けには、Mitelのフラグシップ製品である「MiVoice MX-ONE」プラットフォームがあり、複数拠点・地域にまたがる導入が可能で、500人から10万人以上のユーザーをサポートできる。
導入方法については、企業側が自由に選択できる。大規模なMiVoiceプラットフォームは、Mitel製の専用アプライアンスとして導入することも可能であり、あるいは、UC用OSおよびサービスを、オンプレミスやパブリック/プライベートIaaSクラウド上のx86ベアメタルサーバまたは仮想マシン(VM)上にインストールすることもできる。複数のサーバ環境を構築する場合は、アプライアンス、ベアメタル、仮想サーバを組み合わせることも可能である。
MitelのUCプラットフォームは、企業向けに求められる全ての基本機能を備えたエンタープライズグレードのVoIPを提供しており、ボイスメール、ハントグループ、高度な通話ルーティング、ビデオ会議、チームチャット、ファイル共有、コンタクトセンター機能の拡張、Mitel製モバイルアプリによるモビリティ対応などが含まれている。
Mitelは、CloudLinkテクノロジーを通じて、現在「RingEX」として知られるRingCentralのMobile Voice Phone(MVP)システムに対応しているが、この提携は現在では独占的なものではない。同社は最近、Zoomとその「Zoom Workplace」(ミーティング、電話、AI Companionなど)との戦略的パートナーシップを発表し、UCaaS(ユニファイドコミュニケーション・アズ・ア・サービス)提供範囲の拡大を図っている。
7.Mitel OpenScape Enterprise
「OpenScape Enterprise」は、オンプレミス、クラウド、ハイブリッド環境に対応する多様なエンタープライズ向け通信機能を提供するプラットフォームだ。主な構成要素には、OpenScape Voice、メディアサーバ、UC(ユニファイドコミュニケーション)、モビリティおよびビデオ会議、メッセージング用のXpressions、コンタクトセンター、SIPトランキング用のSBC(セッションボーダーコントローラー)などが含まれる。
OpenScapeは完全にSIPに準拠しており、企業向けのSIP対応電話機の大半が利用可能だ。OpenScape Voiceプラットフォームは、高い冗長性とスケーラビリティを備えており、Mitelによれば、複数拠点にまたがる展開で最大50万ユーザーのサポートが可能であるという。OpenScape Voiceは、Linuxベースの仮想マシン(VM)として提供され、ハイパーバイザー環境にインストールする必要がある。Mitelはアプライアンスを提供しておらず、ベアメタル環境へのインストールもサポートしていない。
OpenScape UCを使えば、従業員はデスクトップクライアント、Webクライアント、ボイスポータル、モバイルクライアントを通じて、社内外のユーザーと接続できる。Mitelのモバイルクライアントなどの高度なUCアプリケーションは、OpenScape UC上で動作し、モビリティ機能を提供する。モバイルクライアントを利用することで、ユーザーはビデオ通話、プレゼンス情報へのアクセス、会議通話の実施、優先デバイスの設定などが可能となる。
他の多くのエンタープライズグレードのUCプラットフォームと同様に、MitelのOpenScape Voiceもコールセンター機能を必要とする企業向けに、コンタクトセンター機能を提供している。OpenScape Contact Centerは、中規模から大規模なコンタクトセンター向けに設計されており、マルチサーバ構成では最大7500人、単一サーバ構成では最大1500人のアクティブエージェントをサポートする。
8.NEC Univerge 3C
NECの「Univerge UC」プラットフォームは、中小企業から大企業までを対象として設計されている。「Univerge 3C」は単一のアプリケーションであり、企業向けのVoIP、ボイスメール、ユニファイドメッセージング、チームチャット、ファイル共有、ビデオ会議などの機能を提供する。
多くのUC製品とは異なり、Univerge 3Cプラットフォームは「Windows Server」上で動作する。他社の多くの製品がクラウド環境やLinuxベースのOSを使用するのに対し、Univerge 3Cは「Microsoft Exchange」および「Active Directory」と完全に統合されており、互換性、操作性、生産性の向上を実現している。
Univerge 3Cは、オンプレミス型の専用ハードウェアアプライアンスとして導入することも、マネージドクラウドやハイブリッドクラウドとして導入することも可能である。オンプレミスまたはハイブリッド環境で運用する場合、Hyper-VやVMwareのハイパーバイザー上で利用できる。NECによれば、各物理または仮想サーバは最大1,500台のデバイスをサポートし、ネットワーク内に最大20台のサーバを展開することで、合計最大30,000台のデバイスをサポート可能であり、グローバル規模の大企業にも対応できる性能を備えている。
Univerge 3Cは、デスクトップおよびモバイルデバイス向けにも多くの機能を提供している。UCクライアントはスマートフォン、PC、タブレットなど、さまざまなデバイスに対応しており、全てのデバイスに共通のユーザーインタフェースを提供することで、統一された利用体験を実現している。UCクライアントアプリケーションの機能には、VoIP、チームチャット、ビデオ会議、リアルタイムプレゼンス、Outlookとの多様な連携機能などが含まれている。
9.RingCentral RingEX
RingCentralのユニファイドコミュニケーション(UC)プラットフォームは、メッセージング、ビデオ会議、電話機能を提供する。「RingSense」というAI機能により、同社のクラウドベースの通信製品全体にインテリジェンス機能が付加されている。SaaS型のRingEXビジネスフォンシステム(旧称:RingCentral MVP)は、3つのサービスプランが用意されており、月額または年額での課金となる。
- Core(コア): ユーザーごとに、米国およびカナダへの無制限通話、ビジネス用またはフリーダイヤルの電話番号、テキストメッセージ、100分のフリーダイヤル受信、ビジュアルボイスメール、マルチレベルIVR(音声応答)、共有回線機能が利用可能。
- Advanced(アドバンスト): Coreの全ての機能に加えて、フリーダイヤル分数が1,000分に拡大される。さらに、内線通話、受付・管理コンソール、自動通話録音、高度な通話ルーティング、ホットデスキングなどのビジネス機能が追加される。
- Ultra(ウルトラ): Advancedの全ての機能に加え、デバイス分析とアラート、ビジネス分析、無制限のファイルストレージ、毎月最大10,000分のフリーダイヤル受信が可能となる。
全てのプランには、オプション機能として、「RingCentral Webinar」、会議室機器ライセンス、国際電話番号、プッシュ・トゥ・トークなどの追加が可能である。また、「Business Phone」は、「RingCentral Contact Center」や「RingCX」といった他のRingCentralサービスとも統合できる。同社はAvayaおよびMitelと提携し、クラウドサービスとの統合を実現している。
10.Zoom Workplace
Zoomのユニファイドコミュニケーション(UC)プラットフォームは、ビデオ会議、電話(テレフォニー)、チャット、コラボレーションツールで構成されている。PSTN通話機能と統合されたSaaS型サービス「Zoom Phone」は、3つの料金プランで提供されている。
- United States and Canada Metered(米国・カナダ従量制プラン): 米国、カナダ、国際通話の従量課金、テキストメッセージ送信、米国およびカナダの電話番号へのアクセス、対応デスクフォンやスマートフォン/タブレットアプリを含む複数デバイスでの利用が可能なプランである。
- United States and Canada Unlimited(米国・カナダ無制限プラン): 従量制プランのすべての機能に加え、米国およびカナダへの無制限通話と、国際通話の従量課金が含まれる。オプションとして、19か国への無制限通話も追加可能である。
- Global Select(グローバルセレクト):最上位プランであり、無制限プランの全ての機能に加え、米国・カナダ以外に居住するユーザー向けにPSTN番号を割り当てるオプションが用意されている。
Zoom Workplaceは、「Salesforce」「Slack」「Microsoft 365」など、主要なビジネスアプリケーションとのサードパーティー連携にも対応している。フリーダイヤル番号の提供も可能である。また、Zoomのオムニチャネル型コンタクトセンターサービスは、インバウンドおよびアウトバウンドのコールセンター機能を必要とする企業に適している。Zoom Workplaceは、ハイブリッド環境でのチームコラボレーションを支援するAI機能やその他の高度なツールも提供している。
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