内製化が「爆速で進む」IT部門の業務はこれだ IDC調査
内製化に取り組むユーザー企業が増えている。IT部門が携わる業務の中で、内製化が進む分野とそうではない分野があることがIDCの調査で判明した。
ITと経営の一体化が重視される傾向が強まる中で、内製化に取り組むユーザー企業が増えている。ただし、IT人材が不足する中で、どの分野を内製し、どの分野を外製するかは悩ましいところだ。
IDC Japan(以下、IDC)が実施した、国内ITユーザー企業のIT組織の業務内製化についての調査で、IT部門が携わることの多い業務についてどの分野で内製が進み、どの分野が外製される傾向にあるかが分かった。
内製化が進む業務は? 今後の内製化計画も判明
同調査によると、特に内製化が進んでいるのが「業務プロセスの改善」「データの分析」「社内アプリケーションの開発、導入のPM、上流工程」「IT、DX戦略の策定、推進」「社内デバイスの導入、管理」だった。IT、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略に関わるタスクと、それを判断する材料を提供するデータ分析タスクで内製化が進んでいることが分かった。
逆に「社内インフラの下流工程」「ヘルプデスク/ユーザーサポートの運営」「社内インフラの維持保守、運用」「社内アプリケーションの維持保守、運用」「IT、デジタル教育実施」については、内製よりも外製が優勢だった。
同調査のレポートによると、国内企業のIT部門、DX部門の業務全般では外製よりも内製の傾向が強い(下図)。
内製傾向がより強い上位項目(図中の赤色枠)は、事業や業務に密接に関連する領域や、企業運営やDXの中核的な業務が占めている。外製傾向がより強い下位項目(図中の青色枠)は、システムの保守、運用やヘルプデスクなど比較的規定化、標準化しやすい下流工程に集中している。
なお、IDCが別のアンケート調査で、上図と同一のIT業務項目に関する内製化、外製化の予定を尋ねたところ、約半数は「現状維持する予定」と回答した。ただし、上図で内製傾向がより強い上位項目と、「社内アプリケーション開発、導入の下流工程」「データやデータベース、DWH(Data Warehouse)の管理」「情報セキュリティの対応」について内製化を試みようと考える企業が多いことが把握できた。
IDCはこの結果を受けて、「企業が迅速に市場や顧客のニーズの変化を捉え、それに呼応できるデジタル基盤を運用しようとしている姿勢の表れだ」と推測する。
IDCの鈴木 剛氏(Tech Buyer リサーチマネージャー)は、「国内企業は、現在の内製、外製の状況や将来に向けた計画にかかわらず、企業組織全体の役割やその従業員の役職、職務を明確に定義(規定化、標準化)し、新興テクノロジーなどを採用しながらその改善、向上に務め、継続的に企業に対してあるべき内製/外製の姿を追求するべきだ」とコメントした。
同調査は国内の従業員300人以上のエンドユーザー企業のIT戦略策定や予算の決裁、情報システム部門の管理に関わる300人を対象として2024年5月にアンケート調査形式で実施された。
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