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売上高が前年比47%増のBroadcom VM戦略に苦戦しつつも成長した理由は?

半導体メーカーであるBroadcomのホック・タン氏(CEO)は「急成長しているハードウェア事業に、ハイパースケーラー4社を顧客として追加した」と述べた。同社の事業の急成長の背景を探ろう。

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CIO Dive

 Broadcomのホック・タン氏(CEO)が2025年3月6日(現地時間、以下同)に語ったところによると、同社のインフラソフトウェアの売上高が前年比47%増の67億ドルに成長したという。これは、企業顧客が「VMware」のプライベートクラウドバンドルの導入を決め、永久ライセンスからサブスクリプション型の料金プランに切り替えたためだ。

 BroadcomによるVMwareの買収は、出だしに苦戦を強いられたにもかかわらず、売上高が好調な理由はなんだろうか。

Broadcomの成長の背景

 2025年の第1四半期の決算説明会で(注1)、タン氏は「仮想化ソフトウェア『VMware vSphere』(以下、vSphere)の顧客の60%がサブスクリプション型の料金プランに移行し、1万社の大口顧客のうち70%が『VMware Cloud Foundation』(以下、VCF)のフルスタックのプライベートクラウドバンドルを購入した」と述べた。前四半期にVCFを採用していたのは大口顧客の半数に満たない4500社だった(注2)。

 ハードウェアに関する領域では、タン氏は具体的な社名こそ挙げなかったが、ハイパースケーラー3社によるAIに関連した需要が増加しており、2027年の会計年度までに年間600億ドルから900億ドルの売上高を見込んでいることが再確認された。さらに同社は、前述の3社と同じものを作り、独自のフロンティアモデルを実行しようとしている4社の小規模なハイパースケーラーパートナーのためにデータセンターハードウェアを設計しているという。

 BroadcomによるVMwareの買収は、出だしに苦戦を強いられた。しかし、Broadcomは2025年2月2日までの3カ月で、インフラソフトウェアの売上高を前四半期比15%増まで成長させた。このセグメントの売上高は、同社の四半期の総売上高の45%を締めており、1年前の38%から成長している。

 「今四半期が、VMwareを含む形で年間比較できる最初の四半期である」(タン氏)

 VMwareの顧客は、2023年11月の合併直後に発表されたライセンス変更によってコストが急増することに対して懸念を表明した(注3)。BroadcomはVMwareの広範な製品群を、vSphereやVCFを含む4つのソフトウェアパッケージに統合した。

 VMwareのような規模のベンダーの変更は、企業にとって大変な困難となる。通信企業のAT&Tは契約違反を理由にBroadcomを訴えたが、この訴訟は2024年11月に和解に至っている(注4)。

 2024年、VMwareとの統合が最終段階に近づくと、Broadcomは、ハイパースケーラーによるデータセンター機器への大規模な投資によって急成長しているAI事業に焦点を合わせるようになった。

 調査企業であるSynergy Research Groupの市場分析によると、2024年におけるデータセンターに関連するハードウェアおよびソフトウェアへの世界的な支出は過去最高の2820億ドルに達したという(注5)。これには、パブリッククラウドに対する支出が48%増加したことが関係している。

 Broadcomも恩恵を受けた企業の一つだ。同社は四半期のAI関連の売上高が前年比77%増の40億ドル超になったと報告した。

 「ハイパースケーラーに提供するAIに関連したネットワーキングソリューションが好調で、38億ドルというAI関連の売上高の予測を上回った。私たちのパートナーであるハイパースケーラーは、高性能なアクセラレータを必要としており、大規模なクラスタを持つAIデータセンターを擁する次世代のフロンティアモデルに積極的に投資を続けている」(タン氏)

 AIに関連するコストとデータセキュリティに対する懸念がプライベートクラウドの導入に対する関心につながり(注6)、企業向け事業でもBroadcomの業績が向上した。

 2024年の夏、Broadcomは、企業がオンプレミスで生成AIの処理能力を展開できるように、NvidiaのGPUを使用して「VMware Private AI Foundation」を強化した(注7)。タン氏によると、現在このプラットフォームを活用している顧客は39社に上るという。

 「大企業がAIを導入する際には、オンプレミスのデータセンターでAIのワークロードを実行する必要がある。VCFがCPUを使用してこれらの従来のデータセンターを仮想化するのと同じように、VCFはGPUも共通プラットフォームで仮想化し、企業が自社のデータに基づいてAIモデルをインポートしてオンプレミスで実行できるようにする」(タン氏)

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