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企業のAIエージェント活用はどこまで進んでいるのか 参入障壁は確実に低くCIO Dive

Microsoftをはじめとするベンダーは、タスク特化型のエージェントを構築し、顧客がよく知るプラットフォームやワークフローへの統合に注力している。米国企業の中でもAIエージェントの活用事例が現れ始めている。

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 Microsoftは2025年3月5日(現地時間)、セールスに特化した2つのAIエージェントをポートフォリオに追加すると発表した。

セールスに特化した2つのAIエージェント

 Microsoftによると「Sales Agent」と「Sales Chat」は「Dynamics 365」および「Salesforce」に接続され、従業員による取引の追跡および拡大、クロージングをサポートする。Sales Agentはリードを自動で調査し、企業のCRMや「Microsoft 365」、インターネットのデータを使用して顧客にアプローチするための製品だ。そしてSales Chatは、自然言語のプロンプトを通じて、営業担当者が顧客との対話に備えるのを支援する。

 顧客は「Microsoft 365 Copilot」および「Copilot Chat」を通じて、2025年5月から両方のツールをパブリックプレビューの形で利用できる。エージェントを微調整して、より正確で実用的な回答を得ることも可能だ。

 ベンダーが参入障壁を下げ、既存のサービスやプラットフォームに統合することで、企業内におけるAIエージェントの活用が進んでいる。

 業務プロセスを効率化するサービスを提供するServiceNowは2025年2月に、エージェント間のワークフロー管理を容易にする拡張機能を発表した(注1)。導入を促進するために事前に構築済みの数千のエージェントを追加する計画だ。長年にわたり企業の自動化を推進してきた同社は「会計事務所EYや自動車メーカーのRolls-Royceを含む約1000社の顧客がAIエージェントをすでに使用している」と述べた。

 データプラットフォームを提供するSnowflakeはここ数カ月で、データの統合および取得、処理の簡素化を目的としたAIエージェントの提供を開始した(注2)。SalesforceおよびGoogle(注3)(注4)、SAP(注5)、AWSも自社のAIエージェントポートフォリオを迅速に拡大し(注6)、各顧客に特化したサービスを提供している。

 企業は最新のAIに関心を示している。AI製品を提供するTray.aiが米国企業の技術専門家を対象に実施した調査によると、5社に2社以上が100以上のAIエージェントのプロトタイプを構築する予定だという(注7)。1000人を超える回答者の大多数は、AIエージェントが2025年の末までに業務の核となり、プロセスの4分の1以上を動かすようになると期待している。

 Microsoftによると、企業は「Copilot Studio」を活用して、過去3カ月間で40万以上のカスタムエージェントを構築したという。企業顧客の業種は多岐にわたり、使用例もさまざまだ。

 クルーズ運行事業を営むCarnivalの子会社であるHolland America Lineは、顧客によるクルーズ体験の選択および購入を支援するセールスエージェントを作成した。プロフェッショナルサービスを提供するAccentureは、期限切れの支払いを自動的に検出し、回収を迅速化するエージェントを開発した。そして、通信企業のVodafoneは、提案依頼のプロセスを合理化し、営業チームの収益機会を増やすエージェントを構築した。

 Microsoftによると、化粧品メーカーのThe Estee Lauder Companiesも自社で開発した「ConsumerIQ」というエージェントを使用しているという。これにより従業員はアーカイブと自社のデータを分析し、製品のマーケティングや新製品の開発に生かせるようになった。

 AIエージェントの導入に熱意を持っているにもかかわらず、一部の組織の取り組みは遅れている。Tray.aiの調査によると、回答者の約90%は「AI技術を導入するためには、自社のテクノロジースタックをアップグレードする必要がある」と述べた。

 アナリストたちは、リーダーがガバナンスを強化する前にAIが実装された場合、セキュリティと労働力に関連するリスクが高まると警告している(注8)。

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