質問:データがなくはないはずですが、使えるか分かりません。どうしたらいいですか?:データ活用あるあるから学ぶ問題解消法
データ活用は社内に眠るデータを価値ある資産に転換する活動だ。しかし実現に向けてはさまざまな課題が降りかかる。本連載ではクラウド型データ活用プラットフォーム「Domo」を提供するドーモに、企業の“データ活用あるある”とその解決策を聞く。
データ活用は社内に眠るデータを価値ある資産に転換する活動だ。しかし実現に向けてはさまざまな課題が降りかかる。本連載ではクラウド型データ活用プラットフォーム「Domo」を提供するドーモに、企業の“データ活用あるある”とその解決策を聞く。
データ活用のためのデータとは たぶんあるとは思うけど……
お悩み データがなくはないはずですが、使えるか分かりません。どうしたらいいですか?
日々さまざまなデータに接しているはずなのに、データ活用といわれると、使えるデータがどこにあるのか分からない。そもそもデータが存在しているのかどうかも怪しい。データが使える状態になっているかどうかについては完全にお手上げだ。このような状況からデータ活用を成功させるためには何から着手すべきなのか。ドーモの新井祐一氏(シニアソリューションコンサルタント)が企業の悩みに答える。
新井 まずは自社のデータの状態を理解しましょう。多くの場合、問題となるのはシステム化されていないところに眠っているデータです。お金の流れに関するデータはシステム化されていることが多いですが、個人や各部門がExcelなどで独自に管理しているデータもありますよね。これらのデータはフォーマットがバラバラで、分散して存在しているのです。
データがない(ように見える)理由 実は整理されていないだけ
新井 データのフォーマットがバラバラでが分散している状態は「データが汚い」と言われます。データが存在していないのではなく、データが集計できる状態になっていないだけなのです。
データをCSVの形式で出力できるとしても「値が入っているかどうか分からない」「データが本当に正しいのか分からない」「データがどこにあるか分からず、集められない」という企業が多いと感じますね。
善意がデータを集計しにくい状態にするケースもあります。CVS形式の元データを他部門に共有する際に、良かれと思ってデータを見やすく整理して共有することがあるんです。整理済みのデータを受け取った部門はまた別の形にデータを整理して他部門に展開します。結果的にデータの粒度やフォーマットが部門ごとにバラバラになり、全社的な集計ができなくなります。
DX基盤がない状態でデータを生み出していたため、後からDXやデータ活用をしようとしたときに大変な思いをするのです。
解決策は「小さく始めること」 データ整理の動きが社内に広がっていく
新井 データ活用を進めるために必要なデータを網羅しようとすると、データの整理だけで数年かかります。風呂敷を広げ過ぎず、テーマを決めて小さく始めることが重要。その際、現場の業務に影響が出ない形で始められると理想です。
担当者がデータを「Microsoft Excel」に手打ちする業務自体を変えようとするとややこしくなります。そうではなく、手打ちの際の「株式会社」と「(株)」の表記を統一したり、スペースの使用に関するルールを定めたりして、最小の変更でデータを集める仕組みを考えるのがコツです。全社プロジェクトとしてデータ整理を進める際も、優先順位を決めて、整理に着手しやすいところから取り組みましょう。
組織のトップが声をかけて、ボトムである各部門が主体的に取り組みやすい範囲で整理に着手し、成功事例を作るといいと思います。成功事例を社内にアピールすることで、データ整理の動きが徐々に広がっていくはずです。
ビジネスの要件が変わらなければ必要なデータも変わりません。システム移行の際に多少のカスタマイズでデータ移行に対応できるような基盤選びも重要ですね。
データ整理の成功事例
新井 B2BおよびB2Cでビジネスを展開している製造業のデータ整理に成功した事例を紹介しましょう。その企業では営業本部のトップが声をかけて計画立案と予算確保のバックアップ体制を作り、DX部門が営業担当者のニーズを細かくヒアリングしてプロジェクトを進めました。
それまで営業担当者は、顧客に対する提案の進捗などの情報を名刺管理サービスに登録していました。営業担当者としては、記入した情報に入っているキーワードに基づいて感情分析を実施し、顧客に送付するメッセージを変えたかったようです。
そこでDX部門がダッシュボードとキーワードリストを構築し、顧客とのやりとりを記録した情報にどのようなキーワードがどのくらい入っているかを可視化・分析できるようにしました。現在は、訪問した際に伝えるメッセージを顧客ごとに変えて、受注率の向上を図っているとのことです。
このようにプロジェクトを主導する部門が声かけと支援をし、ボトムが主体となって取り組める形でデータ整理を進めると成功の可能性が高くなります。
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