海外とズレている日本の「データ観」 AI時代に生き残るための戦略とは
ガートナージャパンが、データ・アナリティクス(D&A)およびAIがビジネスに与える影響について、日本と海外の認識の違いを示す調査結果を発表した。日本と海外のCDAOがD&AおよびAIのビジネスインパクトをどのように捉えているか比較した。
ガートナージャパン(以下、Gartner)は2025年5月21日、データ・アナリティクス(D&A)およびAIがビジネスに与える影響について、日本と海外の認識の違いを示す調査結果を発表した。Gartnerが実施した「最高データ/アナリティクス責任者(CDAO)サーベイ」に基づくもので、日本と海外のCDAOがD&AおよびAIのビジネスインパクトをどのように捉えているか比較した。
海外と異なるAI観、日本企業は成果に直結する影響を重視
日本のCDAOはD&AとAIの影響をより大きく見ている傾向が強く、「収益創出」に影響があると回答した日本の割合は63%で、海外の39%を大きく上回った。「顧客体験」(日本60%、海外38%)や「競争優位/差別化」(日本57%、海外37%)など、他の項目でも日本が高い傾向を示しており、全体的に日本の方が影響を肯定的に捉えていることが分かる。
一方、海外では「従業員の生産性」(39%)や「顧客体験」(38%)、「コスト最適化」および「競争優位/差別化」(各37%)など、比較的間接的な成果に注目する傾向が見られた。これは日本が直接的な業績への影響に注目しているのに対し、海外はプロセスや効率面での改善に価値を感じていることを示唆している。
阻害要因に関する設問では、海外のCDAOが挙げた主な課題は「ビジネス成果の測定が困難」(31%)、「資金不足」「D&Aに対する理解不足」「データドリブン文化の欠如」(各28%)であった。これに対し、日本では「企業文化がデータ・ドリブンではない」が64%と圧倒的に多く、「人材不足」(45%)、「文化が変化を受け入れない」(43%)も主要な課題として挙げられている。
GartnerはCDAOにはAIと共生する未来を見据えたリーダーシップが求められているとし、2027年までにAIによる組織の成功に不可欠な戦略的パートナーとしての地位を確立していないCDAOの75%はCレベルの地位を失うことになると予測している。CDAOには、成果の創出や仕事の進め方の変革を通じて、組織の期待に応える役割が求められている。
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