NRIが「Box」の新プランを採用、国内初の導入
野村総合研究所は、Boxの「Enterprise Advanced」プランを国内で初めて導入したという。生成AIやメタデータ機能を活用した業務の効率化とDXの推進を図る。
Box Japanは、野村総合研究所(以下、NRI)が国内で初めて「Enterprise Advanced」プランを導入したと発表した。NRIは「Box AI Studio」のAIエージェント機能や「Box Apps」のメタデータ管理機能を活用し、高度なコンテンツ管理と業務フローの自動化に取り組む。
個人業務の効率化から全社の生産性向上へ NRIの狙いとは
「Enterprise Advanced」は2025年1月に提供が開始された新プランで、生成AIやメタデータ管理などの機能を備え、組織全体の業務効率化を支援する。NRIはこれまで、生成AIを使ったドキュメント要約やメモ作成などを個人業務で進めてきたが、今回の導入は業務全体への統合による生産性向上を目的とする。
NRIは企業理念に「Dream up the future.未来創発」を掲げ、急速に変化する社会の中で顧客のDXを支援するコンサルティングサービスを提供している。その一環として、自社のDXにも積極的に取り組んでおり、2019年に「Box」を導入した。社内外のコンテンツ管理と安全なアクセス環境の整備を進めてきた。さらに2024年3月には、「Box AI for DocumentsやBox AI for Notes」の活用も始めた。
NRIはEnterprise Advancedを導入し、次のようなAI活用を進めている。
広報資料作成を支援するAIエージェントの開発
Box AI Studioで、サステナビリティに関する報告書の原案作成やガイドラインの準拠確認を担うAIエージェントを構築。機密情報の安全性を確保しながらも、高品質な資料を効率的に作成する。
契約情報の自動入力と進捗可視化
「Box AI for Metadata」により契約書情報の自動抽出、登録を行い、入力作業の負担とミスを軽減。メタデータを活用して、Box Appsで契約の進捗(しんちょく)状況を可視化する。将来的にはリスクの早期発見などのインサイト獲得も期待されている。
ヘルプデスク対応の自動化
ITヘルプデスク向けに、必要な資料を集約したハブを構築。カスタマイズしたAIエージェントにより、従来は人が対応していた問い合わせの多くを自動で解決できる体制を整えた。
NRIの村田龍俊氏(IT戦略部長)は、Enterprise Advancedの導入の狙いと今後の展望について、次のようにコメントする。
「私たちはAIを単なる自動化ツールではなく、『やらなくてよい業務』を見極め、人が本来注力すべき価値ある仕事に集中できるための手段と捉えています。情報資産を一元管理し、AIとデータ、ワークフローの連携により、組織全体の生産性向上と新たなビジネス価値の創出を目指しています」
NRIは今後も自社のDXを推進し、変化の激しい社会に柔軟に対応する基盤づくりを進めていく考えだ。Box Japanもまた、企業全体のコンテンツ管理と業務自動化を支援する姿勢を強めていく意向だ。
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