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データのサイロ化はどれだけダメなのか AIにもセキュリティにも、効率化にもなにもかもCIO Dive

技術系の担当者の半数以上は、自社内でセキュリティとその他のデータが分断されていると回答した。調査によるとデータのサイロ化は、業務効率や部門間の連携、可視性、セキュリティ、組織全体の戦略実行力に悪影響を及ぼすという。

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 セキュリティサービスを提供するIvantiが2025年5月5日の週に発表したレポートによると(注1)、データのサイロ化でITチームが目指す目標と現実の間のギャップが広がっているという。同社は1200人以上のITおよびサイバーセキュリティの担当者を対象に調査を実施した。

データのサイロ化が引き起こすさまざまな問題

 技術系の担当者の半数以上は、自社内でセキュリティとその他のデータが分断されていると回答した。調査によるとデータのサイロ化は、業務効率や部門間の連携、可視性、セキュリティ、組織全体の戦略実行力に悪影響を及ぼすという。

 データの滞りが企業全体の機能に支障をきたしている。調査回答者の5人に3人以上が、セキュリティ対応の遅れの原因としてサイロ化を挙げ、5人に2人はITの非効率性について報告した。IT担当者の約30%は、データ不足がAIツールを効果的に活用する妨げになっていると答えた。

 インテリジェンスプラットフォームを提供するCollibraのステイン・クリスチアンス氏(共同設立者兼チーフ・データシチズン)は「データの所有権に関する問題は、これまで誰も触れたくないものだったが、AIの登場によって避けて通ることのできないテーマになった」と語る。ITコンサルティング企業のSoftServeが2025年の初めに発表したレポートによると(注3)、意思決定者の約3分の2が「データの収集やアクセスについて本当に把握している人は社内に1人もいない」と回答した。

 アナリストたちは「CIO Dive」に対し「組織には包括的なデータ戦略が必要であり、リーダーはデータガバナンスや品質、パフォーマンス、来歴、多様性といった点を十分に考慮する必要がある」と述べた。確固たる基盤がなければ、企業はAIに関する取り組みの全体における重要な差別化要因を見落とすリスクを抱えることになる(注4)。

 AIプロジェクトを本格的に稼働させる圧力が高まる中(注5)、大半の企業においてデータ戦略は依然として不十分な状態だ。

 Gartnerでバイスプレジデント兼アナリストとして活躍するリタ・サラム氏は、2025年3月に開催したウェビナーで次のように語った。

 「生成AIに必要なデータへの投資は決して小さなものではない」

 経済の不確実性が高まる中(注6)、企業はコスト削減のための施策に注目し、計画に柔軟性を持たせながら、プロジェクトや投資の優先順位を見極める必要がある(注7)。Ivantiの調査によると、IT担当者の5人に2人以上が、2025年の最重要の戦略課題として「ITコストの最適化」を挙げている。

 クリスチアンス氏は「関税の可能性やその他の不確実性によるプレッシャーが存在するなかで、多くの企業が『イノベーションとガバナンスは相反するものだ』と誤った認識を持ってしまう可能性がある」と指摘した。

 「それは誤った認識だ。オーナーシップや責任がなければ、イノベーションは起こり得ない」(クリスチアンス氏)

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