製鉄会社のNucor(ニューコア)は2025年5月14日(現地時間、以下同)、同社のITシステムの一部がサイバー攻撃を受けたと発表した。
Nucorは日本製鉄が2025年6月18日にパートナーシップ(実質的な買収)を成立させたUnited States Steel(USスチール)よりもシェアが高く、粗鋼生産量では米国でトップの企業だ。
米国最大手の製鉄会社 サイバー攻撃を受ける
Nucorは証券取引委員会(SEC)に提出した書類の中で(注1)、影響を受けた可能性のあるシステムをオフラインにして、その他の封じ込め対策も講じたとしている。予防措置として、同社は規制当局へのインシデントを報告した2025年5月13日の時点で、米国、メキシコ、カナダの工場で生産を停止した。
Nucorは連邦法執行機関に通知した後、外部のサイバーセキュリティ専門家と協力して調査に取り組んでいる。現状では攻撃者が誰なのか、特定の脆弱(ぜいじゃく)性が利用されたのかどうかは、公表されていない。
Nucorは「今回のインシデントの発生時期や重要性について引き続き監視していく」と述べた。現在、影響を受けた業務の再開作業が進められているものの、全面的な復旧のスケジュールは明らかになっていない。
同社の従業員は3万2700人で、2025年第1四半期(2025年4月期)の連結売上高は78億3000万ドルだった。同社によると米国内での粗鋼生産量のシェアは約25%だ。
出典:Steelmaker Nucor discloses cyberattack on IT network(Cybersecurity Dive)
注1:NUCOR CORPORATION(SEC)
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