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約3割が「AI投資急ぎ過ぎた」と後悔 原因は“上からの圧”CIO Dive

G2によると「AIへの投資を急ぎ過ぎた」とする企業が増加しているという。試験導入から本格運用に移行するのが難しい一方で、経営層は急ぎ足になっている現状が分かった。

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CIO Dive

 IT系レビューサイトを運営するG2が2025年5月14日(現地時間)に発表したレポートによると(注1)、企業は最新のAIに対応するために調達プロセスを見直しているようだ。G2は、2025年4月に1169人のビジネス意思決定者を対象に調査を実施した。

AI導入を急ぎ過ぎたと考えるリーダーの増加

 大半の企業はAIを搭載したソフトウェアを評価する際に、他のテクノロジーと比較してより厳しい要件を追加している。調査対象者の大半は「調査プロセスを変更した」と回答しており、約30%は「Google検索よりも大規模言語モデル(LLM)を使用する頻度が高くなっている」と述べた。

 AIは購買の優先順位にも変化をもたらしている。回答者の3分の2以上が「AI機能に対して追加料金を支払ってもいい」と答えたが、それはベンダーが価値や生産性向上を実証できた場合に限られる。エンタープライズバイヤーの約半数は、より優れたAI機能を求めてソフトウェアプロバイダーを乗り換えている。

 生成AIやAIエージェントの導入で(注2)、調達からガバナンス(注3)、サイバーセキュリティに至るまで企業のプロセスは急速に変化している(注4)。

 AIは大きな話題を呼び(注5)、企業は実験段階から実用的な導入へと進めるための取り組みに注力してきた(注6)。しかし、試験導入から本格的な運用に移行するのは容易ではない。

 業務効率化プラットフォームを提供するAsanaの最新の調査によると、一部の企業は導入を急ぎ過ぎたことを認めているようで、約30%のリーダーが「AIに対する投資を急ぎ過ぎた」と回答した(注7)。この割合は2024年から7ポイント増加している。

 CIO(最高情報責任者)やテクノロジーリーダーたちも、過去のプロジェクトで明らかになった問題に対処しないまま試験導入を進めることに懸念を持ちつつも、プロジェクトをより迅速に進めるよう圧力を受けていると認めた(注8)。

 経営陣や取締役会のレベルではAIに対する期待が高まっており(注9)(注10)、また、ベンダーもテクノロジーリーダーたちに対してAIツールの購入を促すように圧力をかけている(注11)。例えば、Salesforceは自社のAIプラットフォームである「Agentforce」を売り込むために最大で2000人の営業担当者を雇用する計画を立てていた(注12)。

 調査企業であるGartnerのイロナ・ハンセン氏(バイスプレジデント・アナリスト)は、「CIO Dive」に対して次のように語った。

 「ベンダーに押し切られないでほしい。AI導入のプレッシャーを回避する必要がある。顧客だと認識されると、ベンダーは容赦のない営業を仕掛けてくるだろう」

 企業は、十分なデータリテラシーの構築やAIツールに対する厳格な評価基準の策定をはじめとする強固な基盤を整えることで(注13)、AI導入に対して慎重かつ着実なアプローチを取れる。

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