Microsoft Copilot vs. ローカルAI、最強の「文章要約AI」はどっち?:844th Lap
「Microsoft 365 Copilot」のように既存アプリへの生成AIの統合が進みAI活用が広がっている一方で、セキュリティを重視する現場ではローカルAIのニーズも高まっている。そうした中、クラウド型とローカル型のAIを使ってWeb記事の要約性能を検証する猛者が現れた。
「Microsoft 365 Copilot」のように既存のアプリにAI機能が組み込まれたことで、生成AIを利用する場面はさらに広がっている。
最近では「ChatGPT」の言語モデルが最新の「GPT-5」へと進化し、大きな注目を集めた。一方で、インターネットに環境に依存せずPCで動作するローカルAIへの関心も、着実に高まっている。マシンスペックや運用スキルこそ求められるものの、特に機密性の高いデータを扱う企業や組織にとっては、セキュリティ面での安心感から魅力的な選択肢だ。
そんな中、クラウドAIサービスの「Microsoft Copilot」(Copilot)とローカルAIの性能を比較検証した猛者が現れた。検証テーマは「Web記事の要約」だ。もしローカルAIでこの機能を十分に代替できるなら、クラウド生成AIサービス依存への依存を減らす手段となる可能性もある。果たして勝負の結果は?
CopilotのWeb記事要約機能をローカルAIで再現し、置き換えられるかどうかを試してみたい。そう考えたのが、MicrosoftやWindowsに関する深い知見を持つTech系メディア「Windows Central」の編集長、リチャード・デヴァイン氏だ。彼は日々大量のWebコンテンツをチェックしており、その情報収集は日常業務を圧迫するほど膨大だという。
デヴァイン氏は2025年8月21日、Windows Centralに自身のコラム記事を掲載した。記事内ではCopilotの要約性能を高く評価しており、「特別な指示を出さなくても自然で質の高い要約を生成し、関連するフォローアップ質問まで提案してくれる点が非常に便利」と述べている。
「Microsoft Edge」でWebサイトを開き、Copilotアイコンから「このページを要約して」と入力するだけで、適度に整理された要約と関連質問が提示される。「3行で要約して」など、より具体的な指示も可能で、効率的に情報収集したいユーザーには非常に有用な機能だ。
この機能に満足しつつも、デヴァイン氏はCopilotに過度に依存せず、同様の体験をローカルAIで再現できないかと考えた。そこで彼が試みたのが、ローカルでAIモデルを動作させるツール「Ollama」と、ローカルAIモデルと連携可能なChrome用拡張機能「Page Assist」の活用だ。
彼は、Googleの「Gemma 3」やMetaの「Llama 3.2 Vision」などのオープン系LLM(大規模言語モデル)を組み合わせ、独自の要約環境を構築した。実験の結果、記事の要約自体は成功したという。特にモデルの規模が大きくなるほど精度も向上し、「gemma3:1b」と「gpt-oss:20b」では性能差が顕著だったとのこと。また、画像認識機能を備えたモデルでは、OCRや画像認識といった処理も実行できたという。
順調に見えたこの試みだが、問題も浮上した。要約機能を有効にしたままWebページを移動した際、新しいページへの切り替えをシステムが認識できず、以前のページの内容を引きずったまま要約してしまった。さらに、Copilotのように自然な対話形式ではなく、より機械的で実務的な応答となり、フォローアップ質問の提示も実現できなかった。
つまり、一応は動作するものの、完成度という点では現時点ではCopilotに大きく軍配が上がる。加えてデヴァイン氏は、「Webページの要約には結局インターネット接続が必要になるため完全ローカルな対話型AIをあえて使い続ける理由は乏しく、現状ではCopilotのようなAIサービスを活用する方が現実的だ」と語っている。
それでもなお、デヴァイン氏はローカルAIの可能性と、その学びの価値について強調する。「ローカルAIについて学ぶことは一種の教育であり、知識を深めること自体に意味がある」と述べ、OllamaやPage Assistの使い方についてさらに理解を深めていきたいと語る。
結論として彼は、「少なくとも現時点では、私の仕事にはCopilotのようなAIサービスを使い続けるつもりだ」と締めくくった。
彼の試みは目標達成には至らなかったものの、その過程と知見は非常に有意義であり、今後のローカルAI活用の可能性を示す好例といえる。将来的にこうした取り組みが進化すれば、個人あるいは社内専用のAI要約ツールが現実になる日もそう遠くはないかもしれない。Copilotの優位性が際立つ結果となった一方で、ローカルAIの成長の余地と可能性も感じさせる試みだった。
上司X: CopilotのWeb要約機能をローカルAIで実現して、Chromeに実装してみたチャレンジャーが現れた、という話だよ。
ブラックピット: 実質的にAIサービスとローカルAIとの対決ということですか。
上司X: 対決というか、まあ、そんな感じかな。
ブラックピット: 僕もときおりCopilotのWeb要約機能を使いますが、なかなか有用ですよね。
上司X: EdgeとCopilotが密接に連携しているからこそ、デヴァイン氏やキミが称賛するような十分な機能を備えているのだろうね。
ブラックピット: 僕はそこまで称賛してませんけどね。Edgeがあんまり好きじゃないですから。
上司X: お、おう。Edgeの件は置いておいてだ、デヴァイン氏が開発したAI要約機能拡張は仕組みが後付けであることと、そしてCopilotのクラウドモデルが段違いに強力なことを考えれば、やはり敗北するのは運命だったのではないかな。
ブラックピット: 運命と書いてさだめですね。でも、デヴァイン氏が自身でオチを付けているように、ネットにつないで見ているWeb記事を要約するのだから、あえてAIサービスを利用しないという選択肢もないわけで……。
上司X: 確かにその点ではキミと同意だ。でも、今後さらにAIが普及していけば、ローカルAIに頼るべき、頼るしかない環境というのは出てくると思うんだよ。そういう意味ではまだ道の途中だし、デヴァイン氏のチャレンジは決してムダなことではなかった、と思ってしまう俺だよ。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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