「Denodo Platform 9.3」リリース AI意識アップデートと新機能「DeepQuery」
Denodoが「Platform 9.3」を発表した。新機能「DeepQuery」やアクセス制御、自動メタデータ生成などを強化し、AI活用基盤を拡充する。
Denodo Technologies(以下Denodo)は2025年9月19日(現地時間)、最新バージョンとなる「Denodo Platform 9.3」を発表した。本リリースでは新機能「Denodo DeepQuery」を含む複数の強化が行われ、AI活用における基盤の整備を進展させている。
AIを意識したアップデート 「Denodo Platform 9.3」をリリース
DeepQueryは、複雑で分析的な質問にも答えるディープサーチ機能だ。自由形式の質問に応じてコンテキストを考慮したクエリを実行し、従来であれば熟練アナリストが数日かけて導くインサイトを数分で得られるとしている。「GitHub」を通じてオープンソースとして提供され、開発者コミュニティーにおける活用が期待されている。
Denodo Platform 9.3の機能強化の柱は運用型AIを支える基盤の拡充にある。現在のAIワークロードは、リアルタイムで応答するチャットbotや自律的に行動するAIエージェントなど、ライブデータに依存するユースケースが主流となっている。そのため、分散環境下の膨大なデータソースに双方向で即時にアクセスしつつ、セキュリティやコンプライアンスを維持することが求められている。
MITの調査によれば、AIプロジェクトの95%は投資対効果を達成していないとされ、その要因として適切なデータ基盤の欠如が指摘されている。こうした課題に対応するため、Denodoは次の強化機能を導入した。
- マテリアライズドビューの俊敏性向上: スキーマの変化に適応する仕組みが加わり、AIアプリケーションに必要なデータを柔軟に提供できるようになる。データレイクハウスの更新が効率化され、常にAI活用に適した状態を維持できる
- 動的アクセス制御: データ利用中であってもアクセスポリシーをオンデマンドで参照可能となり、変化の多い運用環境に即したセキュリティ対応を実現する
- ビジネスコンテキストの自動生成: Denodo Assistantがメタデータタグや属性を生成し、ベクトルデータベースにおけるメタデータ埋め込みも自動更新できるようになった。これにより、進化するビジネス環境に迅速に対応できる
- Databricks Unityを介したIcebergテーブルへの書き戻し: 「Databricks」中心のデータアーキテクチャを採用する企業は動的な環境におけるパフォーマンスを最適化し、AIアプリケーション構築を加速できる
Denodo最高技術責任者(CTO)のアルベルト・パン氏は「企業は従来の境界を超える動的な環境に適応する必要がある。Denodo Platformはそうした状況においても迅速に対応可能な手段を提供する」と述べている。
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