預貸金残高をExcelで管理していた山形銀行、BIツール導入で“不要な手作業”をまとめて廃止
山形銀行は、BIツール「MotionBoard」と分析基盤「Dr.Sum」を導入し、預貸金管理や顧客情報整備などの定型業務を効率化した。報告作業の削減と業務品質の向上を実現している。
山形銀行が、BIツール「MotionBoard」とデータ分析基盤「Dr.Sum」を導入した。同行は、預貸金残高の記録や予測、顧客情報のメンテナンスや引き継ぎを、各営業店が「Microsoft Excel」(以下Excel)でやっていた。データの収集や転記は手作業で、本部や他営業店への報告、共有にも時間がかかっていたという。
各営業店が手作業で独自形式のシートを作成 BIツールでどう変わった?
山形銀行ではこれまで、営業店ごとに、顧客からの預金や貸付金の残高や着地予測をExcelで管理していた。行内に分散するデータは担当行員が手作業で収集、加工する必要があり、業務の負担が大きい問題があった。顧客情報のメンテナンスや引き継ぎ作業は営業店間で頻繁にやりとりが発生し、本部への報告作業にも多くの時間がかかっていた。
こうした課題を解決するため、同行は2023年4月にDX推進プロジェクトを立ち上げ、データ活用による業務効率化と営業力の強化を始めた。その結果、直感的な操作でデータ可視化と入力が可能なMotionBoardと、必要な情報を一元的に集約できるDr.Sumの採用を決めたという。
2024年6月に試行運用を開始し、同年10月に本格導入した結果、営業店と本部の間で案件情報の最新状況をリアルタイムに共有できるようになり、年4回実施されていた本部への報告作業は不要になった。
預貸金残高管理と着地予測のためのデータ取得やExcelへの転記作業もなくなり、貸出予定や回収予定額も自動で反映されるようになった。預かり資産に関する顧客情報の整備では営業店間での個別連絡が不要となり、本部側における業務効率や業務品質の向上にもつながった。
同行は「AIアシスタント for MotionBoard」で30種類以上のダッシュボードを内製し、必要な情報を効率的に収集して紙ベースの報告を廃止する取り組みを進めている。
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