2026年はAIエージェントの年になるか 「M365 Copilot」のアップデート予告

MicrosoftはMicrosoft 365 Copilotの大幅な拡張を発表し、主要アプリに統合されたエージェント機能やモバイルアプリの強化により、日常業務にAIを組み込む取り組みを加速させている。

[後藤大地，有限会社オングス]

　Microsoftは2025年11月18日（現地時間）、イベント「Microsoft Ignite 2025」において「Microsoft 365 Copilot」に関する最新の取り組みを発表した。「Microsoft Word」をはじめとする主要なMicrosoft 365アプリケーションに組み込まれたエージェント機能や、Copilotアプリの強化を通じて、日常業務におけるAI活用を広げる方針を示した。

Officeアプリのエージェント機能の深化、モバイルでのCopilot活用を強化

　Word、「Microsoft Excel」「Microsoft PowerPoint」ではCopilotのチャットから専用のエージェントを呼び出し、文書や表計算、プレゼンテーションを反復的に仕上げる機能を導入する。利用者がCopilotと対話しつつ内容を修正し、途中経過を反映させながら成果物を完成させるといった運用が想定される。

　Officeアプリ内には「Agent Mode」を用意し、利用者はアプリの画面内でエージェントと対話しつつ文書作成や編集を段階的に進められるようになる。WordではAgent Modeが一般提供（GA）に移行し、Excelでは推論モデルをOpenAIやAnthropicのモデルから選択できる機能を導入する。PowerPointへの同機能は一部利用者を対象に提供する。従来の補助的な文章生成にとどまらず、構成や内容の見直しまで支援する点が特徴とされる。

　スマートフォンのMicrosoft 365 Copilotアプリも強化される。音声による操作に対応し、当日の業務の優先事項確認や、参加できなかった会議内容の把握などを端末でできる。「Microsoft Outlook」では移動中でも音声操作によるメール整理や予定管理を可能（この機能はパブリックプレビュー中）とし、モバイル環境での利便性向上を示した。他にもプロンプトを使ったワンタップでのメールの要約や返信、ミーティングのスケジュール設定などを実現し、モバイルでの操作を迅速化した。

　これらの機能を支えるAIのインテリジェンス層として、業務用知的レイヤー「Work IQ」を紹介した。Work IQは、メールやファイル、会議、チャットといった業務データや、利用者ごとの作業スタイルを基にCopilotの応答を調整し、よりパーソナライズされた体験を提供する。

　Microsoftは今回の発表を通じて、Copilotを特別なツールとしてではなく、WordやExcelと並ぶ日常的な作業環境の一部として提供する姿勢を示した。既存のMicrosoft 365アプリケーションに密接に統合されたエージェント機能およびCopilotアプリの拡張が、今後の業務支援の中心になることが期待されている。