53%が「老朽化してから検討する」 IT導入失敗の原因は情報収集方法がマズイから?:7つのITトピックス 2026
IT現場において製品やサービスの導入を選定する人にとって、情報収集は重要な業務だ。どのように情報を集め、どのポイントを重要視するかの傾向を読者調査の結果を基に確認する。
IT製品を選ぶ際に、自社に最適な製品を見極めるのは簡単ではない。他社の担当者がどのように情報を集め、何を信頼しているかは、IT製品やサービスの購買担当者にとって関心の高いポイントだろう。
キーマンズネットがIT現場の第一線で働く読者を対象に実施した「IT情報の収集方法」に関するアンケートによれば(実施期間:2025年11月26日〜12月24日、有効回答数:408件)、多くの現場担当者が直面している現実と、成功する選定に共通する「あるパターン」が浮かび上がってきた。本稿では、現場の声から見えた「信頼できる情報の見極め方」と「決裁を通すための戦略」について深掘りする。
トレンドはメディア、裏取りは公式サイト 情報収集の王道プロセス
アンケートでIT製品やサービスの情報収集手段について尋ねたところ、「メーカー・ベンダーの公式サイト」が58.8%、小差で「技術系メディアの記事」(56.9%)、「ウェビナー」(52.7%)が続いた。
その他「同業者や社外の知人との情報交換」(17.2%)、「自社で過去に利用した製品やサービスの経験」(13.2%)、「YouTubeなどの解説動画」(10.0%)といった、個人の体験に基づく情報の割合は低い結果となった。口コミや動画は一次的な理解には有効だが、稟議(りんぎ)や合意形成の場で根拠として提示しにくいことが主な理由だろう。
最も信頼できる情報源を尋ねると、メディアを挙げたのは21.1%にとどまり、公式Webサイトの29.7%が上回った。担当者はまず、技術系メディアやウェビナーで市場動向や技術トレンド、選択肢の全体像を把握する。この段階では網羅性や比較可能性が重視されるため、情報を網羅的に扱うメディアの役割が大きくなる。
だが、具体的な製品を検討する評価フェーズに入ると、重視されるのは正確性と責任の所在だ。最終的な裏取りとして公式Webサイトにアクセスし、スペックや価格、導入事例、サポート体制などの一次情報を確認する。メディアはきっかけを提供するものであり、ベンダーの公式Webサイトは確証を得るチャネルだと言える。
53%が「老朽化してから検討する」後手後手の情報収集の現状
今回の調査で特に注意して見るべきは、IT製品・サービス検討のきっかけに関するものだ。過半数の53.4%が「既存システムの老朽化・サポート終了」を理由に挙げており、多くの企業が必要に迫られて初めて情報収集を始めていることが分かった。これは、受動的な検討が常態化し、計画的なIT戦略が後手に回っていることを示している。
一方で、最終的な意思決定者の60.0%はCIOや社長といった経営層が占める。システムが限界に達してから急いで情報をそろえ、経営層を説得するのは容易ではない。検討時間が不足すれば、コストや導入手間の面で妥協せざるを得ず、最適な投資判断が遅れるリスクが高まる。
この状況を改善するには、平時から情報をストックしておくことだ。障害やサポート終了を契機に動くのではなく、日頃からメディアやウェビナーで技術トレンドや選択肢を把握し、次に必要となる技術に対してアンテナを張っておくことが重要だ。また、決裁権を持つ経営層が誰で、どのような情報に影響を受けるかを把握し、事前にインプットしておくことが説得力のある選定につながる。こうした準備が、時間的制約や情報不足による妥協を避け、最適なIT投資を実現する最短ルートとなるだろう。
「機能・性能」だけで選ぶIT導入の危うさ
次に、製品選定の決め手となる要素を見ていくと、当然ながら「機能・性能」を重視する声が40.4%と最も多い。だが、約6割の担当者はそれ以外の要素を重視しており、「価格」(19.9%)や「サポート体制」(13.0%)となった。この結果から読み取れるのは、単に製品のスペックだけで選ぶわけではなく、導入後の運用リスクなど総合的な点を重視している点だ。
特にサポート体制や信頼性を重視する層は、トラブル発生時のリスクヘッジを重視している。このことを示す結果として、比較・レビューサイトで参考にされる情報も「実際のユーザーコメント」(51.2%)や「同業種の事例」(44.1%)が上位を占めた。機能の優劣は公式Webサイトやカタログなどで確認できるが、「トラブル時の対応」や「実際の使い勝手に潜む課題」といった現場感は、ユーザーの生の声にしかない。
アンケートから見えてくるものは、公式情報とユーザー体験を組み合わせることで導入リスクを最小化しようという考えだ。企業購買ではスペックだけでなく、運用面やサポート品質を含めた全体最適で製品を評価する傾向が強く、ベンダーにとっては性能訴求に加え、ユーザー事例やサポート情報の充実が競争力のカギとなる。
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