IT業界未経験の記者が「ITパスポート」試験を受けてみた 勉強方法から受験の注意点まで
IT関連資格の入門として定着している「ITパスポート」。長く支持されてきた一方で、その価値についてはさまざまな見方があります。筆者が1カ月で合格を目指した際の学習方法や、受験申込から試験当日までの流れなどを、感想とともにまとめます。
ITパスポート試験は、IT関連資格を初めて取得する際に、まず候補に挙がる資格です。本記事では、ITパスポートに合格した筆者の感想や、おすすめの参考書と学習方法、受験までの過程で気を付けるべきことなどをまとめました。これからITに関わる中で、何か資格をとってみたいと考えている人の参考になれば幸いです。
ITパスポート試験ってどんなもの?
ITパスポート試験(iパス)は経済産業省の機関であるIPA(情報処理推進機構)が開催する国家資格試験です。公式サイトでは「ITを利活用する全ての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験」と説明されており、IPAが担う試験の入門として位置付けられています。
筆者は、2026年2月にITパスポート試験を受験しました。以前から記者をしていましたが、IT分野に最近携わり始めたということもあり、IT分野の資格は持っていなかったため、まずは入門ということで、受験を決めた経緯があります。
ITパスポートのシラバス
ITパスポートのシラバス(情報処理技術者試験における知識の細目)は、大きく「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」に分かれています。試験はコンピュータを利用した「CBT方式」で、120分で100問。PCで4択式の問題を解く仕組みです。合格基準は、「総合1000点中600点以上(6割)」かつ「各分野1000点換算でそれぞれ300点以上(3割)」です。
試験申し込みについて
試験日の申し込みは、3カ月先の開催日まで選択可能です。しかし、3カ月先まで実施予定が立っている会場は少なく、ほとんどの会場では1カ月〜2カ月先までの予定しか決定していませんでした。急な予定が入った場合は試験日時や会場の変更もでき、現在予約している試験予定日の3日前まで、Webサイトから変更可能です。
試験の申し込みがなかなか難題で、土曜日と日曜日は特に予約が埋まりやすく、とりわけ月末は予約率が高くなります。地域によっては予約がまったく取れないなんてこともあります。筆者は甘く見ていたため1週間前に予約をしようとして泣きを見ましたが、他の人の予約変更などによる空席の出現もあるため、定期的に空き状況を確認すると意外となんとかなるかもしれません。
試験時間はいつがいいの?
会場によって異なりますが、9時、13時、18時といったように、1日3回実施する会場が多い印象です。一般的に朝に脳が働くといわれているものの、こればっかりは受験者の好みでしょう。IT業界では普段の始業時間が遅めで夜型になっている人も多いため、無理に早起きするくらいなら昼開始の試験がおすすめです。
2026年度に受ける人への注意
ITパスワード試験は2027年1月以降に、受験システム更新のため試験実施の休止期間があります。当初は2026年4月27日以降の約1カ月間で更新される予定でしたが、延期されたため、記事執筆時点では2027年1月以降以外の明確な休止詳細は決定していません。この時期に受験予定の方は注意が必要です。
当日の持ち物
試験当日に必ず必要になる持ち物は、印刷した「確認表」と、有効期限内の「顔写真付き本人確認書類」に「カバン」です。確認表に関してはスマホなどで「利用者ID」「受験番号」「確認コード」を提示することで代替することも可能ですが、印刷して持参したほうが焦らずに済みます。「カバン」については、後述する机上に置けるもの以外の物品(スマートフォン、貴重品など)を収納するために必要で、試験中は足元に置いておきます。会場によってはロッカーに入れるよう指示される場合もあります。
試験中に机上に置けるものは、「ハンカチ」「ポケットティッシュ」「目薬」「水」「確認票」と、会場で配布される「受験者注意説明書」「メモ用紙」「シャープペンシル」です。「水」は条件があり、ラベルを剥がした無色透明のペットボトルで、容量は1000ml以下、1人1本です。お茶やコーヒーなど、水以外の飲料は不可なので注意が必要です。
勉強時間とおすすめの参考書
試験勉強に費やした時間は、試験前1カ月の間、1日1時間ほどでした。筆者は趣味でPCに触れていたこともあり、ところどころ試験に関する知識があったため、一概には言えませんが、参考書を1周、不安があれば2週する時間を確保できると合格にグッと近づくと思います。
使用した参考書は、「【令和8年度】いちばんやさしい ITパスポート絶対合格の教科書+出る順問題集」(SBクリエイティブ)でした。筆者はセール中だった電子書籍版を使いましたが、参考書は紙の利点も多いため、受験者の使いやすいものを購入すると良いでしょう。
参考書を1周した後は、webサイト「ITパスポート試験ドットコム」の「過去問道場」を使用しました。ITパスワード過去問題2600問からランダムに出題されるweb問題集で、分野別の正答率を提示してくれるため、自分の苦手分野を理解できます。何より無料です。
参考書を一通り覚えた後は過去問道場で問題を解き、点数が低めな分野を覚えなおす方法がおすすめです。
勉強において特に覚えにくいなと思った内容は、アルファベットの略語です。「SCM」「VRIO」「RAD」など何のこっちゃとなりました。略語に関しては、英語に抵抗のない場合は略前の英語本来の要素で覚えるのが安心です。例えば、頻出とされる「RFI」(情報提供依頼書)と「RFP」(提案依頼書)の違いはそのまま文字だけ覚えるとふとした時に忘れがちですが、「I=Information」だけでも覚えておくと問題文に情報の要素があるかどうかで判別できます。
なお、各所で言われていることですが、プログラミング問題は捨ててもいいと思います。すでに学習している人や、これから業務で使用する人はともかく、短期間の勉強で試験を受ける場合は覚えきることはまず無理でした。多くの参考書でも優先度は高くない扱いのため、書籍に掲載すらされていません。他のカテゴリーを学習した方が効果がありそうです。
実際の試験環境の体験をすることも大切です。ITパスワードの過去の試験は、公式サイトで配布されている「疑似体験用ソフトウェア」で受験できます。このソフトは実際の動作の確認ができるため、本番で操作方法などに混乱しないためにも必ずダウンロードして確認しておきましょう。
疑似体験用のソフトウェアで実際のテストに即して解答することで、時間配分の練習にもなります。ただし、このソフトウェアではテキストや過去問に掲載されている問題も多いので、この時取れた点数ほどは実際の試験では取れないと思った方が良いです。
一応、過去問はITパスポート試験が開始した2009年分(当時は筆記)から前年度の問題まで、各100問をダウンロードすることができますが、これに関しても全部解く必要はなさそうでした。
テスト本番
テスト本番は会場にもよりますが、私の受験した会場では50人ほどが集まっていました。この手の試験に共通していますが、解き終わった人から退出できるため、思いのほか人の出入りが激しいです。他の人が解き終わってくると思わず「そんなに簡単だったのかな?」「自分のペースのままで大丈夫だろうか」と考えてしまいますが、試験勉強をしっかりしていれば、本来の力を出すことで合格点は取れるはず。大事なのは自分のペースを守ることなので、他の人のことは気にしないことが一番です。
また、本番の試験ソフトでは、分からないところにチェックマークを付けられます。計算問題や自信がない問題には取りあえずチェックしておき、後で見直しをしやすくするためにも使えます。全く分からない問題でも、落ち着いて推理したり、他の問題から推測したりすることで、後から見るとするりと解ける場合もあります。
テストの結果はいつ分かる
なんとITパスポートは、試験が終わったその場で得点が分かります。記述問題のないCBT方式だからこその仕組みでした。結果は公式サイトマイページ「試験結果レポート」からダウンロードできます。ただし、正式に合格証明されるのは翌月なので、会社などに提出する予定の人は注意が必要です。
ITパスポートのメリットは?役に立ったのか?
ITパスポート試験は情報系資格としては基礎のものとなるため、転職に有利になるというよりも、学習状況の目安として会社から取得を推奨、または義務付けられることが多い資格です。ただ、この資格をきっかけに、さらに高度な情報系の資格やAI関連資格を取得するための基礎勉強となる点では、学ぶ価値のある資格だと感じました。
インターネットではITパスポートで検索するとサジェストに「役に立たない」など出てくるため、正直受けるまでは「本当に取る意味があるのか?」と思う時もありました。しかし、自分の時間を使って勉強した結果が実ることはなんだかんだで嬉しいものがあります。ここからステップアップしていくための資格として手始めにITパスポートを取る意義は、勉強の基礎作りとしてもモチベーションとしても十分にあると言えるでしょう。
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