昇進するのは「難解なコードを書ける俺」より、普通のコードを書く人だった?:873rd Lap
「難解なコードを書ける人ほど優秀」という見方は、実は誤解かもしれない。開発現場で本当に重宝され、着実にキャリアを築くエンジニアに共通する考え方とは。
「エンジニアの評価は、難しいコードが書けるかどうかで決まる」。ソフトウェア開発の現場では、しばしばそう語られる。システムを理解し扱える人間が限られていれば、容易に代替されない。そんな含みを持った、半ば冗談めいた話だ。
だが今、この常識に疑問を投げかける声が広がっている。あるソフトウェアエンジニアは「シンプルなコードこそが成果を生み、結果的に評価につながる」と主張する。なぜ、そのように言い切れるのか。
「GitHub」でAI関連プロダクトの開発に携わるソフトウェアエンジニア、ショーン・グーデケ氏は、「複雑なコードを書けるエンジニアほど評価される」という見方に対し、「本当に評価されるのは、シンプルで分かりやすいコードを書けるエンジニアだ」と主張する。
グーデケ氏は2026年3月26日、自身のブログに「Engineers do get promoted for writing simple code」(エンジニアは、シンプルなコードを書いたからといって昇進するわけではない)と題したブログ記事を公開した。この内容はインターネット掲示板でも議論を呼び、複数のエンジニア向けメディアでも取り上げられている。
同氏はまず、複雑なコードは高度なスキルの証に見えるという認識自体は否定していない。特に技術的なバックグラウンドが薄いマネジャーにとっては、コードの難易度を正確に判断することが難しく、複雑そうに見える仕事がそのまま高難度の仕事として評価されてしまうケースもあるという。
だが、それはあくまで一時的な印象にすぎず、長期的な評価にはつながらない。最終的にエンジニアの評価を左右するのはコードの見た目ではなく、「どれだけ成果を出したか」だとグーデケ氏は指摘する。非エンジニアのマネジャーにとって重要なのは、あくまで成果だ。
記事では、シンプルなコードを書くエンジニアと、複雑なコードを書くエンジニアの違いが対比的に説明されている。シンプルな設計を重視するエンジニアは、実装が速く、バグも少ない傾向にあり、その結果としてタスクの完了数や成功プロジェクトを積み上げていく。一方で、複雑な設計にこだわるエンジニアは、開発に時間がかかり、トラブルも増えやすい。こうした差が最終的に成果の差となり、評価に反映されるという。
さらにグーデケ氏は、複雑なコードを書くエンジニアがときに使う「ごまかし」にも言及している。例えば、保守作業を他人に任せたり、「自分は難しい仕事ばかり担当している」と主張したりする戦略だ。だが、こうしたやり方は長続きしない。周囲のエンジニアの不満が蓄積したり、マネジャーが実態を把握したりすることで、評価は次第に下がっていく。
また、シンプルなコードを書く能力そのものが高度なスキルである点も強調されている。不要な複雑さを排除し、分かりやすい形に落とし込むには、システム全体に対する深い理解が不可欠だからだ。シンプルなコードには「理解しやすい」「バグが少ない」「修正しやすい」「変更に強い」といった利点があり、プロダクト開発をスムーズに進められる。
最後にグーデケ氏は実践的なアドバイスとして、「自分の仕事を少しだけ難しそうに説明する」ことの有効性にも触れている。あまりに簡単そうに見えてしまうと、正当な評価や報酬を得られない可能性があるためだ。
そして結論として、不必要に複雑な実装を選ぶのは賢明ではないと述べ、「ソフトウェア開発はただでさえ難しいのだから」と締めくくる。
上司X: 複雑なコードより、シンプルで分かりやすいコードを書くエンジニアこそ評価される、と主張するエンジニアのブログが話題、という話だよ。
ブラックピット: 自身もGitHubのエンジニアなんですね。本職が言うのであれば真実に近いのかもしれません。
上司X: シンプルなコードを書いて、サクサク仕事を進めれば確かに速く成果を出せるのかもしれない。
ブラックピット: まあ、結果が出れば、自然と高く評価されるというものです。
上司X: うむ。でも複雑な仕事は「やった感」が出ることも否めない。本人にとっては。
ブラックピット: 簡単にこなすことで「簡単だったんだな」と見られてしまい、その価値が見えにくいこともあるかもしれません。
上司X: そうかもしれないな。評価されたい若手はわりと過剰に複雑な仕事をアピールしがちかもしれない。
ブラックピット: 逆にベテランエンジニアほどシンプルな仕事をするってことでしょうかね。まあ、どういう仕事をしたとしても、アピール力が小さいと評価されにくそうな気もしますけどね。僕は常々全力でアピールしてますよ?
上司X: アピールしてたの? あまり感じなかったが?(笑)。それはともかくだ。評価を左右するのは成果そのものだけでなくて、その価値をどう説明するかという「見せ方」も重要な気がするな。キミもアピールの仕方をもっと改善しないと俺に伝わらないかもよ?
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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