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「まだAS/400を使っているのか」で片付けない 古いシステムを見るときの判断軸

AS/400に関するSNS投稿が一部で話題になった。今もこうした画面が現場で使われていることに驚く声がある一方で、懐かしむ反応や、使われ続ける理由を補足する声も見られた。本稿では、この投稿をきっかけに「古いシステムとの付き合い方」を改めて考えてみる。

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 AS/400に関するSNSでの投稿が一部で話題になった。そこでは「令和の時代にまだAS/400を使っているのか」という驚きや「懐かしい」といった反応が見られた。この反応は筆者としてはやや意外だった。黒背景に単色文字、いかにも昔ながらの端末画面に見えれば、「古い」「使いにくそう」「早く入れ替えるべきでは」といったネガティブな意見が多いと考えていたからだ。

なぜ、“いかにも古いシステム”が今も使われ続けるのか


「古い=悪」ではないが……

 AS/400系のように古くから続くシステムが今も現場に残っている理由は、単なる惰性ではない。技術者がしばしば「枯れた技術」と呼ぶように、長く使われてきたことで挙動や注意点が把握され、安定して運用しやすいという強みがあるからだ。

 もちろん、社内ポータルや営業支援のように、見た目の新しさや操作性が重視される領域もある。だが、特に基幹業務では、「新しいこと」よりも、「止まらないこと」「現場が迷わず扱えること」「運用が荒れにくいこと」の方が重い意味を持つ。

 別の視点では、古く見える画面の方が現場に合っていることもある。入力項目や手順が業務に合わせて長年調整されてきた結果、担当者が迷いにくく、処理の流れが安定しているケースだ。特に、日々決まった手順を繰り返す業務では、担当者が画面遷移や入力順を身体で覚えているようなこともある。見た目の洗練度では新しいシステムに劣って見えても、同じ作業を正確に回すという点では強みを持つ。

「古い」ではなく「見えにくい」が問題

 ただし、古い仕組みが残っていることをそのまま肯定すべきではない。古い仕組みは、長く動いてきた結果として、システムの中身や運用の前提が見えにくくなりやすいからだ。

 例えば、開発言語やバッチ処理、帳票、外部連携の全体像を把握している人が限られている。障害対応や改修時の影響範囲の見極めが、特定のベテラン頼みになっている。こうした状態では、人の異動や退職、制度改正、外部サービス連携の見直しといった局面で一気に“弱さ”が表面化する。

 つまり、問題は「古いから駄目」という単純な話ではない。何がどこで動いていて、誰がどの業務をどう支えているのかが見えにくいこと、そしてその状態が長く放置されていることが本当のリスクだ。止まると何が困るのか、運用や改修の知識が特定の人に偏っていないか、今の制度やセキュリティ要件に無理なく追随できるかどうか。こうした観点で見れば、「古いから駄目」「新しいから安心」という単純な話ではないことが分かる。

 古い仕組みには、現場を支えてきた理由がある。一方で、長く使われてきたからこその見えにくいリスクもある。必要なのは、見た目の印象で片付けることではなく、どの業務がどの画面や処理に依存しているのか、誰が運用や改修を支えているのかを確かめながら、その両方を踏まえて現実的に評価することだ。

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