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「ChatGPT」の独走は終わった 企業が選ぶ生成AIは3強時代へ生成AIの活用に関する調査(2026年前半)/前編

国内企業の生成AI利用率は約7割に達し、市場は「ChatGPT」「Microsoft 365 Copilot」「Gemini」が競り合う3強時代に突入した。本稿では、最新の利用動向を分析し、「クリエイティブな実務」へとシフトする活用シーンの変化や、導入企業の約8割が肯定的な評価を示す実態についても解説する。

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 今やビジネスとプライベートの垣根を越え、欠かせない存在となりつつある生成AI。2026年4月にFortune Business Insightsが発表した「日本の生成型AI市場規模、シェアおよび業界分析(2026〜 2034年)」(※)によると日本市場規模は2025年に59億米ドルと評価され、2026年には94億3000万ドルへ拡大、さらに2034年には578億9000万ドルに達すると予測されている。

 そこで今回キーマンズネットでも「生成AIの活用意向と課題」(実施期間:2026年4月2日〜30日、回答件数:364件)」と題したアンケートを実施した。前編である本稿では、ビジネスシーンにおける生成AIの利用実態を紹介する。

注目必至! 「利用」「検討」が”急増”している2つの生成AIサービス

 はじめに、生成AIサービスもしくは生成AIを取り入れた製品の利用状況を調査したところ「利用している」(55.8%)は過半数となり、「試験利用中」(14.3%)を合わせると、全体の約7割で利用されていることが分かった(図1)。


図1 生成AIサービスやそれらを取り入れたサービスの利用状況(従業員規模別)

 過去比較では2024年6月時が26.5%、2025年2月時が38.4%、2025年8月時が52.5%と増加傾向にある。従業員規模別で見ると、100人以下の中小企業帯で36.3%へと3.0ポイントの微増にとどまり、10001人以上の超大企業帯で72.1%から79.7%の7.6ポイントの上昇にとどまる。一方で、101人〜1000人、1001人〜10000人の中堅・大企業帯においては10ポイント近く増加しており、直近ではこの規模帯を中心に利用が進んでいるようだ。

 勤務先で利用している生成AIサービスを尋ねたところ、過去調査同様「ChatGPT」(66.1%)が最多で、「Microsoft 365 Copilot」(65.4%)、「Gemini」(55.1%)が続く(図2)。前回までは利用率の差がそれぞれ10ポイント近く離れていたが、今回は3サービスが肉薄してきている様子が見て取れる。特に501人以上の中堅及び大規模企業群ではMicrosoft 365 Copilotが1位となり、「Microsoft 365」の企業導入率の高さもあってか規模が大きくなるほどMicrosoft 365 Copilotの利用率も高い。ただし前回からの増加幅だけで見ると「Gemini」(+9.2ポイント)、「Claude」(+8.7ポイント)の2サービスが大きく伸ばしており、「Google Workspace」とのシームレスな連携やコストパフォーマンスに優れるGeminiや、長文処理や自然な翻訳に強みのあるClaudeのシェア巻き上げに注目が集まる。


図2 現在利用している生成AIサービス(※生成AIを「利用している」「試験利用中」「会社では認められていないが、個人的に利用している」と回答した方対象)

 ちなみに、現在検討中のサービスも「ChatGPT」(63.9%)がトップに立ち、次点には「Gemini」(47.2%)が上がり、「Microsoft 365 Copilot」(38.9%)、「Claude」(16.7%)、「Claude Code」(11.1%)と続く(図3)。こうした結果からもGeminiやClaudeが急速に市場に受け入れられている現状が見て取れるだろう。


図3 現在利用を検討している生成AIサービス(※生成AIを「利用を検討している」と回答した方対象)

変わりゆく生成AIサービスのリアル……利用の「用途」や「部署」に変化あり

 次に、生成AIサービスがどのような業務で利用されているかを調査したところ「ドキュメント作成」(78.7%)、「調査、情報収集」(74.3%)、「ドキュメントの要約」(72.3%)、「文章の添削、校正」(60.2%)、「アイデア出し」56.2%が上位に続いた(図4)。

 前回調査比で大きく増加していたのは「画像の生成」(+10.4ポイント)や「ドキュメント作成」(+9.1ポイント)、「ソースコードの生成」(+7.3ポイント)や「社内外の問い合わせ」(5.4ポイント)で、反対に減少していたのは「ドキュメントの要約」(-4.5ポイント)や「調査、情報収集」(-1.8ポイント)であった。要約や調査といった”受動的”な利用から、ドキュメント作成やコード、画像の生成など、よりクリエイティブで実務に直結する”能動的”なアウトプット作業へと活用シーンがシフトしている。


図4 生成AIサービスの利用用途(※生成AIを「利用している」「個人的に利用している」と回答した方対象)

 続いて、生成AIサービスの利用部署を聞いたところ「情報システム部門」(64.0%)、「営業・販売部門」(46.8%)、「営業企画部門」(43.8%)と続いた(図5)。次点には僅差で「人事・総務部門」(40.4%)や「マーケティング部門」(39.9%)、「製造・生産部門」(37.4%)や「経営企画部門」(36.9%)と続き、過去調査と比べ複数部署で広く利用される傾向が見られた。これまで特定部門で先行利用されることが多かった生成AIサービスだが、複数部署やグループでの成功事例が横展開されたことで「自部署でも使える」という認識が広まりつつあるのだろう。


図5 生成AIサービスの利用部署(※生成AIを「利用している」と回答した方対象)

8割が「生成AIは活用できる」と回答も……不満の声から”2つ”の課題が見えてきた

 最後に全体に対し、業務利用における生成AIの評価を聞いたところ「十分に活用できるレベルである」(21.4%)と「課題はあるが活用できるレベルである」(59.9%)を合わせると、81.3%が“活用できる”と評価(図6)した。前年も上半期に61.6%、下半期に78.7%と増加傾向であったことから、業務利用率の増加と共に評価も高まっている様子が見受けられる。従業員規模別でも100人以下の中小企業から10001人以上の超大企業まで、全規模帯で”活用できる”が半数以上を占めている。


図6 生成AIは業務やビジネスで活用できるレベルか(※調査時期別)

 そんな中、生成AIの業務利用に対して「未熟であるが、活用できなくはない」や「未熟であり、活用できるレベルではない」とした人にはどのような理由があるのだろうか。フリーコメントで聞いたところ「プロンプトが正確に伝えられず、やり取りの行数が無駄に増えてしまい、それ以上会話ができなくなる」や「ITリテラシーと教育が不十分」、「必要な開発時の問題は過去に全く例がなくAIに学習データが不足している」「業務に則った利用となるとカスタマイズが必要だと思う」というコメントが寄せられた。

 必ずしも生成AI自体を“使えない”と評価しているのではなく、利用者側の“リテラシー”や“社内データの整備状況”が未熟で十分に活用できていない、とする意見が多いようだ。こうした課題に向き合い企業がより生成AIを活用していくためには、例えばプロンプトのテンプレート化やRAG構築による社内ナレッジ連携に取り組むのはもちろん、生成AI利用を前提として業務フロー自体を見直すことも有効になるだろう。

 以上、前編では企業における生成AI利用の実際を紹介した。後編では活用事例やトラブル事例を中心に利用者の声から、生成AIの業務利用における課題やトレンドについて見ていく。

(※)「日本の生成型AI市場規模、シェアおよび業界分析(2026〜2034年)」(Fortune Business Insights)

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