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「あの人が 休むと業務 止まりがち」 AIに“IT用語かるた”を作らせてみた

IT用語は便利だが、一から覚えるのはなかなか大変だ。それならば、IT用語を五七五に置き換えれば、少しは親しみやすくなるのではないか。ChatGPTとNotebookLMで「IT用語かるた」を作ってみた。

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 筆者は以前、エンジニアとして働いていた。そのころから気を付けていたことの一つが、IT用語の使い方だ。知っている人同士で話すなら、IT用語はとても便利だ。「バックアップ」「権限」「PoC」「多要素認証」と言えば、細かな説明を省いて話を進められる。短い言葉で、そこそこ正確に意味を共有できるからだ。

 一方で、相手がその言葉になじみがない場合は話が変わる。新しいサービスの機能を説明しているはずなのに、途中で用語解説にそれる。場合によっては、「分からない言葉で人を煙に巻こうとしているのではないか」と警戒されることもある。これは時間がもったいないだけでなく、やりとりそのものにも支障が出る。だから筆者は、専門的な用語をできるだけ使わずに説明することを心掛けてきた。


専門用語のジレンマ

 とはいえ、IT用語を全てなくせばよいわけでもない。用語でしか説明しきれないこともある。そこで今回は、少し視点を変え、IT用語をもっと気軽に覚えたり、伝えたりする方法はないかと考えてみた。

AIに「IT用語かるた」を作らせる

 まず、一般的なIT用語を題材にしたIT用語かるた(問題と答えの組み合わせ)を生成AI(「ChatGPT」のPlusプラン)に作ってもらった。狙いは、用語の正確な解説を作ることではない。難しく見える言葉を、少し親しみやすく、声に出して読みやすい短い言葉に置き換えられるかを見ることだ。


かるた形式なら分かりやすいかもしれない

 今回は「かるた」として見せたいので、読み札はできるだけ五七五に近いリズムにしてもらった。厳密な俳句ではないが、短く区切って読めるだけで、単なる用語説明よりも少し覚えやすくなるのではないかと考えたからだ。

 入力したプロンプトは次の通りだ。

あなたは、企業のIT活用や情報システム運用に詳しいアシスタントです。
一般的なIT用語を題材にして、「IT用語かるた」を30個作ってください。
目的は、難しく見えがちなIT用語を、少し親しみやすく、思わず読んでしまう短い言葉に言い換えることです。
条件は次の通りです。
・社内固有情報や機密情報は使わない
・特定の企業名、製品名、サービス名は使わない
・IT担当者以外にも何となく意味が伝わる表現にする
・風刺かるたではなく、用語かるたにする
・読み札だけを読んでも、その用語の意味や使われ方が何となく分かるようにする
・問いかけだけ、駄じゃれだけ、内輪ネタだけで終わらせない
・少し砕けた表現や「あるある」は入れてよいが、誰かを責める言い方にはしない
・読み札は、できるだけ五七五のリズムに近づける
・厳密な字余り、字足らずは許容するが、声に出して読んだときに「かるた」らしく聞こえる短い表現にする
各札は、次の形式で出してください。
【用語】
【読み札】
【ひとこと解説】
扱う用語は、セキュリティ、クラウド、SaaS、IT運用、データ活用、生成AI、DXなど、企業ITに関わるものから幅広く選んでください。

プロンプトの内容

 出力された札の中から、いくつかを紹介する。

【用語】属人化

【読み札】あの人が 休むと業務 止まりがち

【ひとこと解説】特定の人しか業務や設定を分からない状態を指す。引き継ぎや手順化が不十分だと、担当者不在時に業務が止まりやすい。

【用語】DX(デジタルトランスフォーメーション)

【読み札】ハンコ消し それだけで終わらぬ 大改造

【ひとこと解説】単なるIT化ではなく、ITを使って仕事の進め方やビジネスモデルそのものを「作り変える」ことを指します。

【用語】ガバナンス

【読み札】好き勝手 させないための 手綱引き

【ひとこと解説】ITを安全・適正に使うための「統治・ルール」のこと。自由と管理のバランスが腕の見せ所です。

 まだ荒い部分はあるものの、短いリズムに落とし込むことで、用語の勘所は見えやすくなった。少なくとも、用語集を上から読むよりはとっつきやすくなった。

NotebookLMでかるたっぽく見せたかったが……

 次に、作成したIT用語かるたを「NotebookLM」に読み込ませ、フラッシュカード機能を使って表示してみた。

 NotebookLMのフラッシュカード機能は、読み込ませた資料を基に、カード形式の学習補助を生成する機能だ。Googleの公式ヘルプでは、既存のノートブックにソースをアップロードし、Studioパネルから「Flashcards」または「Quizzes」を選ぶことで、フラッシュカードやクイズを生成できると説明されている。


NotebookLMに「IT用語かるた」のドキュメント(今回はコピーしたテキスト)を読み込ませる

 フラッシュカードを使ったのは、表面に読み札、裏面に用語と解説を置ければ、かるたに近い見せ方ができるのではないかと考えたからだ。読み札を見て、何の用語かを考え、裏面で答えを確認する。構造だけ見れば、かるたのような使い方に近づけられそうに思えた。


生成された「IT用語かるた」。かるたというより単語帳のようだ

 しかし、実際に生成されたものは、期待していた「かるた」とは少し違った。読み札の五七五に近いリズムは保たれず、用語の意味を確認する単語帳のような形式になった。

 これは、NotebookLMのフラッシュカード機能が、資料の文体や表現をそのまま見せるためのものではなく、読み込ませた内容を基に、重要な用語や概念を問いと答えに再構成する機能だからだろう。

 ただ、これは失敗というより、使い道が少し違ったということだ。用語と説明を上から順に読むのではなく、一枚ずつめくって確認できるため、読み物というより確認用の小道具としては使いやすい。IT担当者以外に用語を説明する場面でも、短い問いと答えのセットで雰囲気をつかんでもらう用途なら十分に役立ちそうだ。

社内マニュアルもフラッシュカードにできないか

 IT用語かるたをフラッシュカード化してみて、もう一つ使い道がありそうだと感じた。それはマニュアルへの応用だ。

 勤怠申請や経費精算、アカウント申請、問い合わせ窓口、ファイル共有など、日々の業務で必要な情報がまとまっている。だが、必要なことが書かれていると分かっていても、長いマニュアルを最初から読むのはなかなか大変だ。特に、新しく入った人や異動してきた人にとっては、どこを見ればよいか分からないこともある。

 そこで、マニュアルの内容を短い問いと答えのカードにできれば、長大な資料を読み込まなくても、まずは要点だけをすっと確認できるのではないかと考えた。実際の資料は使えないので、架空の企業の“社内業務ガイド”を用意し、NotebookLMに読み込ませることにした。

 今回使った架空の社内業務ガイドは、次のような内容だ。

架空株式会社 社内業務ガイド 第1版

 この資料は、架空株式会社における日常的な社内手続きや情報共有の基本ルールをまとめたものです。 新しく入社した社員や、異動によって新しい業務を担当する社員が、社内の基本的な流れを把握することを目的としています。 本資料に記載されている社名、制度、運用ルール、システム名は全て架空のものです。

会議資料と議事録について

 会議資料は、原則として会議開始の前営業日17時までに共有してください。 直前に資料を共有すると、参加者が内容を確認できず、会議中に説明時間が長くなる場合があります。

 議事録には、少なくとも次の項目を記載してください。

  会議名 ・開催日時 ・参加者 ・決定事項 ・未決事項 ・担当者 ・期限 ・次回確認する内容

 議事録は、会議終了後2営業日以内に共有してください。 発言を全て書き起こす必要はありません。 重要なのは、何が決まり、誰が、いつまでに、何をするかを残すことです。

社内FAQとナレッジ共有について

 よくある質問や繰り返し発生する問い合わせは、社内FAQ「みんなの手順箱」に登録します。 同じ質問が何度も発生している場合は、個別に回答するだけでなく、FAQの更新を検討してください。

 FAQには、対象者、利用シーン、手順、注意点、更新日を記載してください。 古い情報が残っていると、誤った対応につながる場合があります。 内容が変わった場合は、担当部門が更新してください。

 個人だけが知っている業務手順は、担当者の休暇や異動、退職時に業務停滞の原因になります。 口頭で説明した内容も、後から参照できるように文書化してください。

 NotebookLMに架空の社内業務ガイドのテキストを読み込ませた上で、先ほどと同様にフラッシュカードを作成してみた。


社内業務ガイドの内容を問うフラッシュカードができた。理解度確認テストに使えそうだ

 問いを見て、答えをめくる。知らなかったことを確認する。少しあいまいだったルールを思い出す。この形式では、それくらいの使い方がちょうど良さそうだ。

 社内マニュアルは、正確であるほど長くなりやすい。例外や注意事項をきちんと書くほど、初めて読む人には重く見える。だからこそ、最初から全てを読ませるのではなく、短い問いと答えに分けておくと、入り口としては使いやすい。

 もちろん、フラッシュカードだけで社内ルールを全て理解できるわけではない。詳細な手順や例外条件は、元のマニュアルを確認する必要がある。だが、「この言葉は何を指すのか」「この手続きでは何に注意すべきか」を最初につかむ用途なら、十分に役立ちそうだ。

用語をなくすのではなく、近づきやすくする

 IT用語や社内用語を正しく使うことは大切だ。ただし、それが相手に伝わるかどうかは別の問題だ。説明する側にとっては当たり前の言葉でも、聞く側にとってはそこで一度立ち止まってしまうことがある。

 用語集やマニュアルを開く前に、まずは「聞いたことがある」「何となく分かる」を作る。IT用語や社内用語に親しんでもらう入り口として、AIとかるた、フラッシュカードを組み合わせてみるのも悪くないと感じた。

おまけ(IT用語30選)

 最後におまけとして生成AIが出力したIT用語かるたから30個を紹介する。これは厳密な用語解説ではなく、あくまで「IT用語に少し親しみやすくするための遊び」として見てほしい。短い読み札に収めるため、意味をかなり大づかみにしていたり、少しくだけた言い方にしたりしている。正確な定義を確認する場合は、社内の正式な教材や各種ガイドラインを見る必要がある。

用語 読み札 ひとこと解説
ゼロトラスト 信じない 社内であっても まず確認 「社内ネットワークなら安全」という前提に頼らず、どこからのアクセスであっても都度確認する考え方。
PoC(ポック) 試すだけ 気付けば一年 経っていた 新しい技術を本格導入する前に、有効性や実現可能性を検証すること。検証を重ねるだけで本番導入に進まない状態には注意したい。
DX(デジタルトランスフォーメーション) 判子消し それだけで終わらぬ 大改造 単なるIT化ではなく、デジタル技術を使って仕事の進め方やビジネスモデルを見直し、変革すること。
ガバナンス 好き勝手 させないための 手綱引き ITを安全かつ適正に使うための統治やルールのこと。自由と管理のバランスが問われる。
オンプレミス サーバは 目に見える場所に 置きたい派 自社内や自社が管理する場所に物理的な機器を設置し、運用する形態。クラウドとは異なり、機器を自社側で管理する。
クラウド 雲の上 どこでも仕事が できちゃうね インターネット経由でIT資源を利用する形態。場所を選ばず使いやすい一方、ネットワーク環境への依存もある。
SaaS(サース) 買わなけりゃ メンテもしない サブスク型 インターネット経由で利用するソフトウェアのこと。自社でサーバやソフトを管理せずに使える一方、継続的な利用料が発生する。
シャドーIT 内緒だよ 便利なアプリが 穴になる 会社が把握していない機器やクラウドサービスを業務に使うこと。便利な反面、情報管理やセキュリティ上のリスクになり得る。
多要素認証 パスワード プラススマホで 守り抜く パスワードに加え、スマホに届くコードや生体認証など、複数の要素で本人確認する仕組み。アカウント保護に有効な対策の一つ。
シングルサインオン(SSO) 一度だけ 入ればあちこち 行き放題 一度のログインで、連携する複数のサービスを利用できる仕組み。利用者の負担を減らし、認証管理をしやすくする。
属人化 あの人が いないと回らぬ ミステリー 特定の人にしか業務の進め方や設定内容が分からない状態。担当者不在時の停滞を防ぐには、手順の共有や標準化が欠かせない。
Excel管理 「最新版」 (2)の(最終) どこへ行く 表計算ソフトで業務データを管理すること。便利な一方、ファイルが複製され続けると、どれが最新か分からなくなることがある。
生成AI とりあえず 聞いてみるのが 新習慣 文章や画像、コードなどを生成できるAI。相談相手や下書き作成、要約など、さまざまな業務で活用が広がっている。
プロンプト 頼み方 次第で変わる AIの答え AIに出す指示文のこと。目的や条件を具体的に伝えるほど、期待に近い回答を得やすくなる。
バックアップ 取ってある? 聞かれた時が 分かれ道 データの控えを取っておくこと。障害や誤操作、サイバー攻撃などに備える基本的な対策。
問い合わせ対応(ヘルプデスク) 「動かない」 再起動だけで 直る不思議 利用者からのITに関する相談やトラブルに対応する業務。内容はPC操作からシステム障害の切り分けまで幅広い。
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