プレスリリースから見る2026年前半のAIトレンド 急伸したのは「○○AI」
リリース配信サービス大手の「PR TIMES」が、企業告知のトレンドワードランキングを公表した。2025年比で驚異的な伸びをみせる「AI」関連キーワードの中でも用途によって増加率が分かれており、企業の注力するジャンルが見えた形だ。
2026年前半の企業活動を映すキーワードとして、AI関連用語が存在感を高めている。プレスリリース配信サービス「PR TIMES」が公表したトレンドワードランキングでは、AI関連ワードが上位を占め、企業の取り組みがAI活用へ大きくシフトしている現状が見えた。
以降で解説するランキングは、企業がプレスリリース登録時に設定できる関連キーワードを基に集計したものだ。2026年1月1日〜5月31日に発表された記事を対象とし、期間中の登録キーワード総数は30万9141種に上った。
ランキングでは単純な件数だけでなく、前年同期との比較や月別推移、各キーワードに関連する発表内容も分析され、企業動向や市場の変化を読み解く材料になるだろう。
2025年比で「AI」関連語が急上昇 中でも際立ったのはあのAIジャンル
前年同期比で件数を伸ばしたキーワードを増加件数順に並べた急上昇ランキングでは、AI関連語が上位を占めた。「AI」は前年同期比4659件増、1.64倍となり、増加件数では全キーワード中で最大となった。2位には「AIエージェント」、3位には「AI活用」が入り、AIが引き続き企業発表の中心にある状況が示された。「フィジカルAI」は前年同期比46.38倍で、371件、10位の「AX」(AIトランスフォーメーション)は10.89倍と急伸し、11位の「LLMO」、20位の「GEO」(生成エンジン最適化)など、生成AIの普及を背景に新しい関連語も増えている。
AI以外でも、企業の人事や組織づくりを示す語が伸びた。4位の「人材育成」、7位の「健康経営」、12位の「ウェルネス」、13位の「人的資本経営」、16位の「福利厚生」は、働き方と企業人事の変化を映す。地域関連では8位に「地域活性化」が入った。18位の「官民連携」の発信のうち約22%は「地域活性化」も併用しており、19位の「産学連携」も増加した。企業が外部の組織と組んで価値創出を図る発信が広がった形だ。
AI関連語の分析において、同社は段階的な変化を指摘した。「AI」は1万1920件、「生成AI」は5386件と発信数が多い。前年同期比では「AI」が1.64倍、「生成AI」が1.34倍で、伸びは落ち着きつつある。ただ、これはAIを用いた商品やサービスの発表が企業活動の基盤として定着した結果とみられる。「AI活用」は1068件で、前年同期比2.73倍となり、AIを使うこと自体が特別な訴求点ではなくなりつつある。
次の段階として目立つのが、AIに業務を任せる動きだ。「AIエージェント」は前年同期比2.77倍、2413件で急上昇ランキング2位に入った。人が目的を与え、実行や判断の過程をAIが担う形が広がり、AIは相談や対話の相手から、業務を代替する存在へ移りつつある。こうした変化は、2025年以降に件数を増やしてきた流れを引き継ぐものだ。
AIに任せる範囲は、物理空間にも広がり始めた。「フィジカルAI」は前年同期比46.38倍で、371件となり、AI関連語の中でも突出した増加率を示した。ロボットや自動運転など現実の作業をAIが担う領域を指し、AI分野の有力企業が注目する領域として、日本企業の発信にも使われている。発信内容ではセミナーや展示会に加え、実際の製品発表も目立つ。新語が認知を広げる初期段階を越え、商品化の動きも出てきた点が特徴だ。
生成AIに参照されやすい情報発信を意識したキーワードも増えた。「LLMO」は前年同期比11.14倍の390件、「GEO」は21.73倍の239件、「AIO」(AI検索最適化)は6.94倍の229件、「AI検索」は13.08倍の157件となった。生成AIを活用した検索や回答生成が広がる中で、自社情報がAIに引用、参照されるよう工夫する動きが反映された。2025年の年間ランキングでも触れられた「AIO」に加え、生成AI検索への対応を示す複数の語が頻出するようになった。
総合ランキングでは「AI」が1位となった。月別でも1月から5月まで全月で「AI」が1位に並び、存在感を示した。「生成AI」は総合5位に入り、5月に14位だった「AIエージェント」も総合23位まで上がった。15位の「業務効率化」は前年同期比1.42倍で、「AI」や「DX」と併用される例が多く、順位を押し上げた。20位の「地方創生」は2026年ランキングから登場したキーワードで、移住や関係人口、観光、官民連携を含む幅広い発信が続いている。
制度や政策を起点にした新市場も浮かび上がった。生成AIの普及は大量の計算資源と電力需要を生み、受け皿となる「データセンター」は前年同期比2.03倍、270件に増えた。政策面において、2025年に経済産業省が「GX戦略地域制度」を創設し、地域類型の一つに「データセンター集積型」を位置付けた。2026年4月には自治体から提案された有望地域38地域が選ばれた。発信内容において、AIに適した設備や電力消費増に対応する冷却や省エネ関連のソリューションが目立った。
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