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開けば何かが起こる「Excel」 25年間も読者を悩ませた"厄介な問題"

「Excel」などの表計算ツールには、「触ると何かが起こる」など不満の声が絶えない。それでも現場で使われ続けるExcelと、ユーザーはどのように向き合っているのだろうか。

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 多くの企業で利用されている「Excel」や「Google スプレッドシート」。業務を支える身近なツールである一方、「動作が重い」「突然固まる」「ファイルが壊れる」といった不満の声は絶えない。

 本稿では、キーマンズネットが実施した「『Excel』の活用状況に関するアンケート」(実施期間:2026年6月22日〜7月8日、回答件数:333件)を基に、表計算ツール利用者が抱える課題やトラブル、そしてBIツールが普及する中でもExcelやGoogle スプレッドシートに頼らざるを得ない理由を探る。

あるユーザーが漏らした、長年解消されない"厄介な問題"

 今回の調査では、Excelの使い勝手や機能について、不便に感じている点や改善を望む点をフリーコメントで尋ねた。「また読み取り専用になった」「勝手にデータが変換される」といった、Excel利用者なら思わず共感してしまう"あるある"の声が数多く寄せられた。特に気になったのが「四半世紀も解決しない」と、長年解消されないExcelの課題を指摘するコメントだ。

 まず1つ目は、データ処理時の重さやクラッシュについてだ。「容量が増えてくると動作が重くなり、突然ハングすることがある。また過去のバージョンに戻せないときがある」といった意見や、「ファイル容量が大きくなりやすい。組み込み関数を多用すると動作が如実に重くなる」のように、増加するデータに使用ツールが追い付かないとの嘆きが多かった。Excelと比較されやすいBIツールでは、データ処理構造の違いにより解消される課題の1つだが、表計算ツールには前出の使い勝手やコスト面でのメリットもあり“トレードオフ”と受け止める現場も少なくないのだろう。

 続いて2つ目は、印刷のズレや自動データ変換機能による誤変換を指摘する声だ。「四半世紀経ってもモニター画面表示とプリンター出力とが合わない。もしも美しいアウトラインフォントが実現できるなら便利」や「印刷イメージが画面プレビューと印刷物でずれる」といったコメントから、長きにわたりExcel出力のズレに苦労している実体験がうかがえる。

 また、「CSVファイルを勝手にゼロ前詰めとか、オリジナルデータを損なうような編集をやってしまうのが、困る。CSVはそのまま何らの手を加えず、テキストエディターのように使えて欲しい」「分数を入力すると日付になったり、ゼロパディングが消えたり、勝手な変換が邪魔」のような自動データ変換機能による”誤変換”を指摘する声だ。現在では自動データ変換機能をオフにすることもできるため、お困りの方は切り替えておくと良いだろう。

 そして3つ目は、以前から多くの企業で問題視されてきた”属人化”への不満だ。「他人が使用しているマクロや入力規制などの内容の理解が出来ない」や「手軽ではあるが、それゆえに属人化になりやすい」「業務改善に関数より主にVBAを利用しているが、エラーの説明などが不十分でAI回答を利用する機会が多い。また最近はセキュリティが厳しくなって、マクロ実行の設定が煩雑になって使いづらくなってしまった」といった意見があった。

 マクロの手軽さゆえ、個人でも作成しやすくファイルが運用され続けてきた結果ブラックボックス化してしまう問題や、VBAがセキュリティ強化されたことにより使いにくくなったという声も見受けられる。

 最後に4つ目は、主にスプレッドシートとの対比で挙げられた不満だ。「週に1回程度、常に開いている共有ファイルが突然”読み取り専用”になったりExcelが固まったりすることが不便である」や「複数人で同時に編集すると整合性が取れにくい」「強いて言えば移行の理由にもなったライセンス費用の高さです」など”共同編集や互換性の弱さ”に合わせて”コスト”に対する意見も多く寄せられる結果となった。

未だ97.6%の利用率を誇る表計算ツール、一方で「利用用途」には変化の兆しも

 ここまでは、Excelに関する不満や意見などを紹介した。では、実際にどのくらいの人が、Excelやスプレッドシートのような表計算ツールを利用しているのだろうか。利用される理由や活用シーンについて調査の結果をまとめた。

 はじめに、Excelやスプレッドシートなどの表計算ツールを勤務先でどの程度利用しているかを聞いたところ、「ほとんどExcel、スプレッドシートで完結している」(42.6%)、「Excel、スプレッドシートをメインにBIも使っている」(27.3%)、「BIツールを使用せず、Excel、スプレッドシートのみ使っている」(21.9%)が上位に続いた(図1-1)。

 注目すべきは「全く使っていない」(2.4%)は極めて少数で、補助的利用も含めると全体の97.6%は表計算ツールを利用していることだろう。従業員規模や業種別で見てもほぼ全ての企業帯で利用されており、BIツールをメインとして補助的利用しているのは一部の大企業帯のみというのが現状だ。


図1-1:表計算ツールを勤務先でどの程度利用しているか

 続いて、表計算ツールは主にどのような用途で活用されているのだろうか。調査の結果「表計算、集計業務(財務会計など)」(81.8%)という本来の使途以外にも「資料作成」(69.5%)や「データ分析、レポーティング」(65.2%)、「帳票作成」(48.3%)に「進捗管理(ガントチャート作成など)」(44.9%)で多く活用されている(図1-2)。

 特に1001人を超える中堅以上の企業帯では「データ収集」や「データ分析、レポーティング」などの分析領域での利用割合が高く、BIツールの代替や併用のケースも少なくないとみられる。また「進捗管理」や「フローチャート作成」「議事録作成」といったプロジェクトの管理や推進にも一役買っている様子で、使い勝手の良さやコストメリットの高さも相まって利用頻度の高い業務で活用されているようだ。


図1-2:表計算ツールの利用用途

BIツールより「Excel」「スプレッドシート」が重宝される理由

 表計算ツールを使用している人を対象に、なぜBIツールではなく表計算ツールを利用するか、その理由を聞いたところ、ほぼ半数が「BIツールよりもExcel、スプレッドシートの方が手軽だから」(45.5%)と回答した。

 「扱うデータ量が少なく、BIを使うほどではないから」(18.8%)や「最終的なレポーティングや細かな調整はExcel、スプレッドシートの方が柔軟だから」(11.1%)、「データ共有先(上司、取引先など)がExcel、スプレッドシート形式を要求するから」(9.2%)が後に続いた(図2-1)。

 確かにダッシュボードによる定型的なレポート作成はBIツールが得意とする領域だ。しかし、上長や取引先の形式に合わせてコメントを入れたり、特定行の色を変えるなどの柔軟性を持たせられるという点においては、まだまだ表計算ツールに分がありそうだ。また、チームや部署単位でのデータ活用であれば表計算ツールの処理能力で十分に事足りることもあり、コストメリット面でも重宝されるようだ。


図2-1:Excel、スプレッドシートを使う理由(表計算ツールを使用している人を対象にした設問)

 関連して、業務でよく使われている関数を聞いたところ、上位には、「SUM(合計)」(91.4%)、「IF、IFS(条件分岐)」(61.5%)、「COUNTIF、COUNTIFS(条件を満たす値の数をカウント)」(58.8%)、「AVERAGE(平均値)」(58.5%)、「VLOOKUP(値の検索・表示)」(56.9%)などが挙がった(図2-2)。上位の関数は半数以上で使用されており、通常業務での利用頻度も高いと予測される。この中では比較的新しい「IFS関数」や「XLOOKUP関数」も現場に根付いてきている様子で、こうした関数やショートカットキーの存在も表計算ツールの使い勝手を向上させ、身近に感じる1つの要素となっていると言えよう。


図2-2:業務でよく使うExcel、スプレッドシートの関数

 以上、前編ではExcelやスプレッドシートなどの表計算ツールの利用実態を紹介した。特にExcelはその使い勝手の良さから多くの組織で重宝される一方、大規模データの処理や同時編集、互換性に関する不満も挙がり、今後BIツールやクラウドツールへの移行や併用を検討するきっかけにもなりそうだ。

 Excelへの要望では「インターネット上から逐次変化するデータを自動取得して、データ分析をリアルタイムに実行してくれる機能が欲しい」や「Copilotなどを利用した、Power AutomateやPower Query、Power Pivotの活用」「AIエージェントと連携してワークフローを完結したい」との声もあり、後編では”ExcelでのAI活用”に焦点を当て現状を取り上げたい。

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