検索
連載

「Copilot in Excel」使ったことある? 読者に聞いた、生成AIでExcelを時短する方法「Excel」の活用状況に関する調査(2026年)/後編

いまだ多くの人に利用されている「Excel」も、ここ最近の生成AIの普及により活用の方法には大きな変化が訪れている。果たして、ユーザーはExcelと生成AIをどのように組み合わせて利用しているのか探った。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

 前編では、「Microsoft Excel」(以下、Excel)の利用状況に焦点を当てた。いまだ多くの企業で利用されているExcelではあるものの、その利用の方法はここ最近変化が起きている。最も大きい変化と言えるのが、生成AIによるデータの活用だ。

 後編となる本稿では、引き続き「『Excel』の活用状況に関するアンケート」(実施期間:2026年6月22日〜7月8日、回答件数:333件)を基に、Excel利用者がどのように生成AIを活用しているかを分析した。調査から見えてきたのは、まだ普及しているとは言いづらい、Excelと生成AIとの組み合わせ活用の実態だ。

Copilot in Excel機能、7割が「利用したことがない」 Microsoftが推すも普及には至らず

 Excelや「Microsoft Word」などの「Microsoft 365」アプリと連携し、効率化を促進するAIエージェントとして注目されている「Microsoft 365 Copilot」。2024年頃からは「Copilot in Excel」が一般リリースされ、Python連携による高度な分析が可能となったことで注目を集めた。

 現在では複数のシートやアプリを跨いだデータ集計や分析、レポート生成などの自動化機能の強化も進んでいる。そこではじめにCopilot in Excelの利用状況を調査したところ「利用したことはない」(66.1%)が過半数となり、利用者の「データ分析(集計、グラフ作成など)」(21.0%)や「関数や数式の作成」(21.0%)、「表や資料作成の効率化」(15.0%)を大きく上回る結果となった(図1)。


図1:Copilot in Excelの利用状況※業種別、従業員規模別

 従業員規模別で見ると「利用したことがない」が半数を下回ったのは、前編でExcelなどの表計算ツールの利用率が最も低かった1万人以上の大企業のみで、その他の企業帯では7割近くが利用したことがないというのが実態だった。

 大企業帯では「関数や数式の作成」や「データ分析(集計、グラフ作成など)」「データ整理(分類、整形、不要データの整理など)」で利用される傾向にあることから、前編で触れたように利用しているBIツールの”補助的役割”や日常利用として、表計算ツールのAIエージェントを活用していると見られる。

Copilot in Excel利用者に聞く、業務に役立つ“2大活用法”

 実際、Copilot in Excel機能は業務に役立っているのだろうか。利用者に聞いたところ「非常に役立っている」(23.0%)と「やや役立っている」(40.7%)を合わせ63.7%が役に立っていると回答した。


図2:Copilot in Excel機能は業務に役立っているか

 では、利用者はCopilot in Excel機能をどのように役立てているのだろうか。その理由をフリーコメントから探ったところ、大きく2つに整理できた。

 1つ目は“時短につながる”との声だ。「数式仕様などを調べる必要がなく、失敗も少なくなるから」や「関数の修正作業においてわざわざ調べる必要が無く修正された関数がセルに反映されるため、時短かつミスなく作業できた」のように、関数やエラーの解決法を検索エンジンなどで調べていた従来と比べ、ExcelでAIエージェントに聞くだけで解決できたという意見が多い。

 2つ目は“作業効率の向上”だ。「VABマクロは簡単なプロントから優秀なマクロを作成してくれ、更に改良にも非常に役に立つ。その後マクロの説明もしてくれるので非常に助かっている」や「以前はCSVデータを解析するpythonスクリプトをCopilotに出力させて解析していたが、CSVを直接Copilotが解析できるようになり、効率が格段に上がったから」といった、専門性の高い業務領域のサポート役として十分に活用できるとの評価が見受けられた。中には「思っていたより簡単にグラフができた」との声もあり、機会があれば試用してみることをお勧めしたい。

 一方、1割ほどとわずかではあるが「あまり役立っていない」(4.4%)や「役立っていない」(8.8%)と感じる方も存在する。そうしたユーザーから聞かれる理由のほとんどは「関数やピボットテーブルを簡単に使おうとしたが、こちらの意図と異なる結果になることも少なくなかった」「プロンプト入力が考え文章では答えが違う事が多く何度も入力している」に見られる”プロンプトの難しさ”や”精度の低さ”に対する不満であった。

 複雑な処理になればなるほど直面しがちな課題でもあり、中には「一回では希望する資料が作成できない」と諦め半分の感想を持つ方もいた。自身が望むアウトプットを出すためには、個人のリテラシーに左右されるところも大きいがAI利用者側の鍛錬もポイントになりそうだ。

Copilot in Excelと生成AIサービスの”使い分け”や”併用”も進む

 キーマンズネットが2026年4月に実施した調査では、企業における生成AIサービスの利用状況は約7割と年々増加傾向にあることから、Excel業務においてもCopilot in Excel”以外”の生成AIを利用するシーンもあるだろう。

 調査の結果「使用していない」(53.5%)は全体の半数ほどで、「ChatGPT」(33.2%)や「Gemini」(30.2%)を併用することが多いようだ(図3)。特に5001人を超える大企業群においては、BIツールの導入率が高く補助的にExcelを使用している傾向が強いこともあってか、複数の生成AIを駆使して業務を進めている。


Excel業務において利用している生成AI

 なぜCopilot in Excelだけで完結せず、その他の生成AIを利用するのか。より深堀すべくフリーコメントで理由を聞いたところ2つの傾向が見て取れた。

 1つ目は、前項の不満にも上がっていた精度の低さへの対応で、他生成AIをセカンドオピニオンのように活用しているケースだ。具体的には「ハルシネーションを考慮して複数のAIの回答を比較したいから」や「claudeの方が相談する内容の理解が深い」「やりたいことをくみ取ってくれる能力が高い」など、望んだアウトプットの精度を高めるために生成AIを使い分けたり併用することは今や常識になってきている向きさえ感じられる。

 2つ目はセキュリティやコスト面での制約があるケースだ。「当社ではGeminiを使用するように指定されているから」や「無償のCopilotではExcelが使えず、Googleだとスプレッドシートが使える」「Copilotは年間契約で高い。またOpenAIを利用しているため」のように、自社のセキュリティ上のルールや導入インフラ起因で他生成AIを使わざるを得ないとの声も少なくなかった。

 以上、後編では”ExcelでのAI活用”に焦点を当て「Copilot in Excel」の利用状況や他生成AIとの使い分け・併用などの現状を紹介した。生成AIの登場により長年業務に根付いてきたExcelもその活用シーンや手法に変化が生じている。今後の動向にも注意したい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る