「廃棄するPCからSSDをはぎ取る」コスト高で追い詰められた、限界情シスの延命テク:「HDD/SSDの値上がり」に関する企業調査
「予算を超えても怒られ、スペックを削っても怒られる」――。HDD/SSD高騰に直面する読者139人の声から、数字だけでは見えない調達現場の苦しさと工夫を探った。
サーバやストレージなど、必要なIT機器を調達すれば予算を超え、調達や更改を先送りすれば障害発生時の責任を問われかねない。HDD/SSDの価格高騰に直面する情報システム部門は、どの選択肢を取っても責められる立場に置かれている。
キーマンズネットは2026年7月、HDD/SSDの値上がりに関するアンケートを実施した(有効回答件数:139件)。このうち107人が自由回答欄に、価格高騰に翻弄される職場の実情をつづった。価格が高いから買うなと言われても、業務上必要な機器は調達しなければならない。予算を確保した後に値上がりすれば、情シスは予算と業務継続の間で板挟みになる――。自由回答には、こうした事情を訴える声があった。
「使い回すしかない」限界情シスが編み出したハード延命ワザ
直近6カ月から1年程度のHDD/SSDの価格変動について尋ねた設問では、「値上がりした」と感じた人はHDDで82.7%、SSDで87.1%だった。このうち「大幅に値上がりした」との回答は、HDDが43.2%、SSDが61.2%に上った。
こうした背景を受け、自由回答欄には「廃棄予定のPCから部品を取り出して再利用している」「容量拡張のために取り外したSSDを別のPCへ転用している」などの声が数多く寄せられた。限られたハードウェア資源を少しでも長く活用するため、各社がさまざまな工夫を重ねていることがうかがえる。
ここからは、「HDD/SSDの値上がりに対して、職場で実施している工夫」について寄せられた読者企業の取り組みを紹介する。
ある回答者は、「倉庫に眠っている古いPCから部品を取り出し、検品した上で再利用している」というコメントを寄せた。容量拡張のために取り外したSSDも、状態を確認してから別のPCの起動ディスクとして転用しているという。手間のかかる作業だが、HDD換装が完了するまでには約1週間かかり、その間に現場から不満が寄せられることもある。
用途に応じて信頼性要件にメリハリを付けるとの回答もあった。「ECC(Error Correcting Code)付きメモリやエンタープライズ向けSSDが必須ではないサーバを洗い出し、構成を見直す」という。こうした延命策は費用を抑える一方、状態確認や再構成、現場への説明といった新たな作業を生む。
他にも、「SSDへの更新を諦めてHDDで当面しのぐ」「SSDに不具合が出たPCをHDDへ戻し、PCの設定をパフォーマンス優先に変更する」「空き容量のある機器へデータを集約する」「保存データを削除して残容量を確保する」といった対応が挙がった。これまでは故障前に交換していたHDDを、高価になったため使い続けているという回答もある。
支出は先送りできても、故障リスクまでなくなるわけではない。延命は「何もしない」ことではなく、手間とリスクを引き受ける判断だ。
壊れるまで使うしかない 先送りで膨らむ故障リスク
壊れていない機器を更新する必要性は、価格が上がるほど説明しにくくなる。しかし、回答者からは「故障するまで使い続ける」「先延ばしにも限界がある」と、延期の裏側にある不安も寄せられた。
現状は問題なく稼働中なのだから、買い替えは必要なのかと問われる
その結果、バックアップ用途や故障対応など、やむを得ない場合を除き、買い替えやスペックアップが難しいという回答もあった。業務への影響を尋ねた設問では「購入費用が増えた」が49.6%で最多だった。ただし、自由回答から見える負担は金額だけではない。故障リスクと予算超過のどちらを選んでも、担当者が説明責任を負う構図そのものが重荷になっている。
10万円を超えると消耗品として購入できない。これ以上値段が上がると買えなくなる
価格上昇は、同じ製品を高く買うだけでは済まない。一定額を超えると、消耗品ではなく資産として扱うなど、社内の購買手続きが変わる企業もある。必要な台数や容量が同じでも、申請経路や承認者、予算区分まで変われば、調達にかかる時間と説明はさらに増える。
見積もりを取る間にも、価格と納期が変わる
見積もりを取り、稟議(りんぎ)を通し、発注する。その普通の手順が、価格上昇の速さに追い付かない。「購入を検討した段階から、購入までのリードが長くなるにつれ、価格上昇のスピードに追い付かない」との声があった。
顧客の稟議(りんぎ)が決まった後に価格が上がり、発注が延期になった案件が数件ある
相見積もりを増やすことも、必ずしも安心につながらない。ある回答者は、上司から相見積もりを増やすよう求められ、普段使わない業者とのやりとりが増えた末、想定より高い価格を理由に購入を見送ったと書いた。別の回答者は「見積価格が短期間で変更となるので、その状況を理解してもらうことが大変」と訴える。
見積もりの有効期間が短くなり、発注後も価格が変動する可能性があると言われている。「発注=契約」の意味がおかしくなっている
価格だけではない。月を追うごとに納期が延び、在庫不足を理由に、必要以上に高いスペックの部品を組み込んだ構成を提示されたという。希望するメーカーや製品が流通しておらず、入手できる別メーカー品から選ばざるを得ないとの声もあった。比較対象を増やそうとしても、実際には在庫のある製品へと選択肢が絞り込まれている。
前回導入したサーバの価格から、3倍近い見積もりが出て驚いた
価格改定前の見積もりで受注した案件が、仕入れ段階では赤字になったという回答もあった。顧客側の予算は既に固まり、値上げ分を上乗せできない。価格変動のしわ寄せを誰が負うのかが決まらないまま、営業、調達、顧客の間で担当者だけが調整を続ける。
対策として「複数の調達先から見積もりを取る」は33.1%、「複数メーカーを比較する」は31.7%だった。数字だけを見れば価格を比較するための対策だが、その裏では見積もりの取り直しと社内説明が繰り返されている。
クラウドへ逃がすか、依存を避けるか
代替策も一方向ではない。部材不足がいつ解消するか分からないため、オンプレミスの更改を抑えてクラウドへ移行するしかないと考える回答がある一方、クラウドストレージの継続費用を警戒し、過度なクラウド依存を避けたいという回答もあった。どちらもコストを抑えるための判断だが、初期費用を避けるのか、将来の固定費を避けるのかで結論は反対になる。
安価な製品への切り替えにも同じ難しさがある。20TBのデータ保管用HDDが1年前の約2倍になり、容量当たりの価格が内蔵型より安かった外付けHDDを選んだという回答があった。価格を優先すれば、メーカーや接続方式、保守性など別の条件を見直す必要が生じる。情シスが選んでいるのは単なる最安値ではなく、どの制約なら引き受けられるかである。
安くなるのを待ちたい。だが、先送りにも限界があり、どこまでコストが上がるのかも分からない。自由回答には、判断の時期を見失う不安が表れていた。「安いうちに買っておけばよかったと後悔」「昔の価格を知っているので買い控えてしまう」という声には、過去の価格が判断の基準になり、決断を難しくする様子がにじむ。
待ってばかりもいられない
今後については7割以上が、価格高騰が少なくとも2027年後半まで長期化する、さらに再上昇する、あるいは以前の水準には戻らないと見通した。この予測の正しさは後にならなければ分からないが、価格が元に戻ることを前提にせず、「予算措置を柔軟に取るように工夫している」という回答は、現場の現実的な着地点を示している。
新しい価格を前提にものを考えるようにする必要がある
更新を先送りした企業にも、次の期限はやってくる。自由回答には「現時点では必要性が低くても、来年度にはサーバOSのサポート終了への対応に向けた予算申請が必要になるため、価格動向を危惧している」という声があった。故障だけでなく、保守期限やセキュリティ対応は待ってくれない。値下がりを待つほど、別の締め切りが近づく。
仕事を離れても「昔の価格」が判断を鈍らせる
値上がりの感覚は、仕事用の調達にとどまらない。プライベートでは、HDDやSSDの購入を延期した人が24.5%、PCの購入や買い替えを延期した人が23.7%だった。セールや値下がりを待つ人も18.7%いる。自由回答には、個人用PCの増設を控えた、欲しい容量を買えなくなったという声が寄せられた。
かつては同じ予算で、次に買うときにはより大容量の製品を選べた。しかし最近は、その感覚が通用しなくなったという長文の回答もあった。過去の価格を知っているほど、現在の価格を割高に感じて決断できない。業務でも私生活でも、価格そのものに加えて、従来の相場観を更新する難しさが表れている。
価格以上に重いのは、説明し続ける負担
自由回答を通して浮かぶのは、ストレージの値上がりそのものだけではない。なぜ今買うのか、なぜこの容量が必要なのか、なぜ見積もりが昨日と違うのか。その都度、社内や顧客に説明し、理解を得なければならない担当者の消耗だ。
「高いのに買うしかない」という短い一言には、予算確保、納期調整、故障リスクの予測、利用部門の不満、見積もりの取り直しなど、さまざまな事情が重なっている。今回寄せられた声は、同じ板挟みに悩む担当者に、それが自社だけの問題ではないと伝えている。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。



