グローバルソーシング、4つの成功条件:すご腕アナリスト市場予測(3/4 ページ)
日本でも広がりつつあるオフショア開発だが、本来の目的に達しないケースも。そんなグローバルソーシング成否の分かれ目とは?
賢いグローバルソーシング4つの成功条件
では、グローバルソーシングでメリットを得るには、具体的にどのような点に注意が必要なのだろうか。以下に4つのポイントを挙げてみる。
【ポイント1】コスト削減には3年の忍耐が必要
グローバルソーシングの中でもオフショア開発についていえば、学習と経験量が結果に明確に表れるのが特徴だ。現在グローバルソーシングへの投資を拡大している日本企業には大手の製造、IT、金融などの企業が多く、その一部は中間業者を通さず直接海外に業務委託を行い、十分なリスク管理を行ったうえでコスト削減効果を実現している。
コスト削減効果を生み出す1つのカギは、類似したプロジェクトを継続して発注し、現地企業の経験値を上げていくことだ。おおよそ3年間はむしろ管理コストが予算を圧迫するかもしれないが、その期間を我慢すれば、その後は現地のスキルが1ステップ上がると思ってよい。3年でコストの3割が削減できるようになったという会社もある。
一方で、それほど類似したプロジェクトが継続して委託できない企業もあり、3年継続する前に負担に耐えられず止めてしまう企業もある。これにはスケールメリットもからんでおり、おおよそ20〜30人/日程度の業務量を境に、それ以下では管理オーバーヘッドの割合が大きくなってうまみがないのだ。実際に中小企業ではよほど昔からの関係がなければ海外への委託は難しい状況だ。
継続した発注を行うもう1つの意義
なお、当然ながら海外業者は発注量や金額が高い顧客を優先してリソースを割り当てる。日本企業は彼らからしてみると、それほどの上得意というわけではない。
図2に主なグローバルソーシング先である中国とインドについての日本およびアメリカのシェアを示すが、日本の存在感は地理的な近さや経済規模のイメージに比べてずいぶんと小さいと言わざるを得ない。
しかも日本企業が求める品質は世界最高クラスなので、現地企業にしてみると採算が合わない場合もあり、良質なリソースが他国の企業へのサービスへと振り向けられる可能性がある。信頼できる現地企業にできるだけ投資を継続して集中し、その企業が利益を得られるようにしてよい関係性を保つことが、軽んじられずに済む1つの策になるだろう。
また、前述したように、国内事情や為替変動などにより現地企業の倒産やリソース低下が起きそうな時には、例えばオフショア比率を1〜2割増やしたり、設計段階の業務も同時にアウトソーシングしたりして取引規模を増やし、相手先の利益を生むように協力して関係性を保つ工夫も必要かもしれない。
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