1枚で300GB超、Blu-rayの後継規格「Archivel Disc」とは?(2/3 ページ)
従来のレーザー読み書きヘッドの仕様のまま1枚当たり1TB記録を視野に入れる新規格「Archival Disc」。その規格概要を探る。
大容量化に使われた技術は?
Blu-rayディスク規格の最大容量を超える大容量の実現のための研究開発は、(1)記録面を多層化するか、(2)記録面の記録密度を上げるかという方向性を持つ。
(1)の方向で実用まで行き着いたのは片面4層記録方式まで。だが、富士フイルムが2012年に20層(将来的には100層を見込む)の多層化技術を開発したように、さらなる多層化に向けた研究開発が進む。
Archival Disc規格は、(2)の方向で研究を進めた成果の1つだ。「世代互換性」を強く意識し、既存光ディスクドライブのレーザーモジュールを利用できるように開発された点が大きな特長だ。図3は、記録方式の模式図だ。
両面記録で容量は倍に
大容量化のための第一の仕様は、両面記録方式とすることだ。取り扱いは不便にはなるが、カートリッジに入れた状態での移動やセットを前提にすれば問題はない。両面構造にすることで容量は2倍になる。
トラックピッチをグッと縮めて高密度に記録
従来は記録面にトラック(凹凸形状)を形成し、その凸部分(Groove)にレーザーで小さなスポットの相変化(結晶構造の変化)を起こすことでビットを記録する方法をとっていたが、Archival Discでは、図2右側のように凹部分(Land)にもビットが記録できるようにした。
もともとのトラック間ピッチはGrooveとLandの間隔と同じ0.32μmだったが、Landに新しいトラックができたことで約3分の2となる0.225μmまで縮めた。それだけ記録密度が増すことになる。
ノイズとなる隣接トラックのデータを拾わない技術
図2から分かる通り、従来のレーザースポットの大きさでは隣のトラックのビットまで入ってしまう。このため、読み出し時に拾った隣のトラックの信号がノイズになり、エラーにつながる可能性がある(クロストーク)。だからGooveだけにデータを記録したのだ。
しかし、Archival Discでは世代互換性を保つため、レーザーではなく信号処理の仕方を変えた。狭トラックピッチに対応するクロストークキャンセル技術を開発し、新規格に盛り込んだ。
さらに、再生光スポットの分解能を補正する信号処理技術も加え、大容量化しながらも高い再生信号品質を確保した。主な仕様をまとめると次の通りだ。
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