盛り上がるクラウド型CAD、企業の枠を超えたコラボも可能に:IT導入完全ガイド(1/4 ページ)
リーマンショック以降、日本の製造業は非常に厳しい状況だった。アベノミクス効果も手伝い、ようやく設備投資が回復してきた。連動する形でCAD市場も好調だ。
アベノミクスなどの影響により輸出型製造業の業績が改善し、企業も設備投資に前向きな姿勢に転じつつある中、国内のCAD、CAM、CAEシステム市場も回復基調にあるようだ。追い風の吹く中、クラウドサービスとして提供されるCAD関連のソリューションが登場した。
今回は、現在のCAD市場全体の動向を紹介し、続いてクラウド型CAD関連ソリューションの最新事情と活用事例を紹介する。また、サービス選定時の注意点を明らかにしよう。
CAD市場全体の最新動向
2008年のリーマンショック以降、日本の製造業は非常に厳しい状況にあったが、2013年から取り組みが開始されたアベノミクスなどの効果も手伝い、ここ1年ぐらいでようやく設備投資が回復した。それに連動する形で、CAD市場も好調だ。
ただし、CADは利用される業界によって機能も異なり、カテゴリとしては機械系、電機系、土木/建築系の3つに大別される。市場規模として一番大きいのは機械系CADで約64.8%、次に電機系CADで24.8%、そして土木/建築系CADが10.4%だ(2013年度ベース、矢野経済研究所の調査結果から算出)。
市場拡大をけん引するのは主に自動車業界だ。土木/建築関連も好調だが、電機業界は伸び率で見る限り、まだ回復しているとはいえない。
また、2DCADは廉価な製品が非常に増えたこともあり、3DCADとの利用端末数の比較では8対2で2DCADの方が多いが、金額ベースで比べた場合には圧倒的に3DCADの方が大きい。
クラウド型CAD関連ソリューションの最新事情
クラウド型CADという言葉を聞いたとき、まず頭に浮かぶのは「場所と時間の制約にとらわれることなく、設計者がクラウド上のCADデータにアクセスして設計作業を行うことを可能にするサービス」というイメージではないだろうか。
この定義自体は間違いではないが、設計者が作業を行う環境は決まっており、特にクラウドサービスを利用する必然性がないという企業があるかもしれない。一方で生産プロセスの中には、関係各者とコラボレーションできた方がうれしい工程や、あるいは設計図を外に持ち出して生産現場などで確認したいシーンもあり、そこではクラウドサービスの利用価値も大きく高まるだろう。
つまり一口にクラウド型CADといっても、誰の利用を前提とするのか、あるいはどの工程での利用を想定したものなのかによって、ユーザー企業が求める機能も大きく異なるということだ。そのためベンダーによっては、クラウド型CADという単純な打ち出し方をしていないところも多い。
そこで、現在リリースされた実際のサービスを紹介するに当たり、本稿では「クラウド型CAD関連ソリューション」という表現とする。以下、2つのサービスを紹介しよう。
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