2014年、ネットワーク機器進化論:すご腕アナリスト市場予測(2/5 ページ)
モバイルやソーシャルなどが全盛の今、スイッチやルーターなどネットワーク機器の市場はどう変化したのか。動向を探る。
トップベンダーは急成長、コアスイッチをボックス型にする傾向も
イーサネットスイッチ市場全体でベンダー別に見ると、LTEサービスネットワークの拡張とクラウド/データセンター向け需要を獲得したベンダーが売上を伸ばしており、シスコシステムズ、富士通、日立金属、NECというトップベンダーが高成長を達成している。特に富士通は、通信事業者向けスイッチで大きく売上を拡大し、シェアを6ポイント以上伸ばした。
製品の形態で特に変化が見られるのがL3スイッチだ。従来、大規模ユーザーに利用されてきたシャーシ型製品のシェアが減少傾向にあり、ボックス型製品への移行が起きているようだ。日立金属が打ち出したボックス型をコアスイッチに使用する「BoxCore」に代表されるコンセプトが浸透し、また他のベンダーもコア用途に使えるボックス型スイッチを出したことが理由と思われる。同じポート数と性能なら、ボックス型の方が低コストだ。冗長性や信頼性への不安がなくなってきたことの表れと見ることができよう。
イーサネットスイッチ市場全体では、2013年〜2018年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を1.5%と予測している。そのうち企業向け市場は、成熟してコモディティ化が一層進展するオフィスLAN向けスイッチは今後減少していくものの、データセンター向けスイッチの成長が補い、2013年〜2018年のCAGRは2.4%と予測する。
通信事業者向けスイッチの市場は、モバイルトラフィック増加に伴う設備強化に固定通信事業者の設備更改需要も加わって、2013年〜2018年のCAGRは、マイナス0.2%と2018年も2013年並みの市場規模に達すると思われる。
ルーターは一般企業向けがプラス成長、通信事業者向けがマイナスに
ルーター市場では、企業向け製品は多機能化を通して技術開発の余地が少なくなって、ベンダーにとっては新製品開発にやや苦しむ状況になっている。通信事業者向け市場は、固定通信事業者向け売上が減少しているのに加え、移動体通信事業者向けコアルーターの需要が一巡した状況にあるため、2013年は前年比マイナス15.6%、744億1700万円の売上となった。移動体通信事業者向けエッジルーター需要が下支えしていなければもっと減少していたかもしれない。
一方、企業向けルーターは、2013年はプラス成長になり、通年で前年比9.8%の増加、348億7300万円の売上を記録した。これは国内景気の回復と円安の進行が寄与したと考えられよう。
両市場を合わせると、前年比成長率マイナス8.8%の1092億9100万円の売上になった。トップベンダーはシスコシステムズ、2位は移動体通信事業者への導入が多かったアルカテル・ルーセント。一般企業向けルーターはヤマハ、富士通、NECがシェアを拡大している。
2014年はやや回復して前年比成長率マイナス2.2%の1069億1100万円になると予測しているが、2015年以降は、通信事業者向け市場が好調だった2011年〜2012年並みに回復していくとみており、2013年〜2018年の年間平均成長率(CAGR)は、2.3%と予測する。
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