MDMとは何が違う? 「MCM」が注目されるワケ(1/4 ページ)
MDMに付随した機能として捉えられてきたMCMだが、その特徴的な機能や導入メリットはどのような点にあるのか。MDM、MAM、MCMのすみ分けポイントとは? 基礎から選定時の注意点まで徹底解説する。
スマートフォンやタブレット端末の利用が進んだことで、企業における情報活用の利便性は劇的に高まった。一方、モバイルデバイスでの閲覧を前提とした情報提供形態が求められるようになり、コンテンツのキメ細かな管理も求められる。
そこで有用となるITソリューションがMCM(モバイルコンテンツ管理)だ。ただし、これまでMCMは、MDM(モバイルデバイス管理)に付随した機能として捉えられてきたという背景があり、国内ではMCM製品に対する認知は進んでいない。今回は、MCMの具体的な機能と導入メリットを紹介する。
「MCM(モバイルコンテンツ管理)」とは?
PC、スマホ、タブレットなど、さまざまな端末を利用するシーンが増えたことから広まった「MDM」(モバイルデバイス管理)。しかし、モバイル端末全体(ハード、ソフト、データ)を管理するといった点から、個人所有の端末、つまりBYOD(Bring your own device)端末に導入する場合にはプライバシーの問題が懸念される。
そこで、登場したのが「MAM」(モバイルアプリケーション管理)や「MCM」(モバイルコンテンツ管理)だ。MAMは、ソフトとデータを管理し、MCMはデータのみを管理する。このため、「個人の持ち物まで会社に管理されたくない」といったプライバシー問題の克服につながるものと期待される。
MCMは、スマートフォンやタブレット端末などモバイルデバイスで利用するコンテンツを管理し、モバイル環境下でのコンテンツ閲覧や編集を可能にするITソリューションだ。Active Directoryなどのディレクトリサービスと連携してユーザーのアクセス制御を行い、セキュアな環境を構築した上で、モバイル環境から社内コンテンツへのアクセスを実現する。モバイルデバイスに特化したCMS(コンテンツ管理システム)と考えれば、分かりやすいだろう。
実際の製品には、オンプレミスで導入するものとクラウドサービスとして提供されるものとがある。オンプレミスで導入する場合には、MCMサーバを立て、利用するモバイルデバイス側には専用アプリをインストールして、IDとパスワードによるユーザー登録を行う。ユーザー認証には、LDAP連携機能を利用して、Active Directoryなど既存ディレクトリサービスが使える。
MCM製品が提供する基本機能として、コンテンツの登録、保存、編集、配信やコンテンツ閲覧期限の設定、アクセス権限管理機能が挙げられる。製品によっては、エンドユーザーの操作ログや各コンテンツへのアクセスログを取得し、分析する機能まで提供する。
MDM、MAM、MCM、すみ分けのポイント
MDMは、モバイルデバイス自体を管理するためのソリューションだ。端末が紛失や盗難に遭ったときに、遠隔操作によるデバイスの初期化を行う。GPS機能を利用することで、その端末が今どこにあるのかを把握できる。デバイスで利用できるアプリケーションに制限をかけることも可能だ。
MAMは、MDMではできなかった細かいアプリケーション単位の制御を可能する。エンドユーザーは利用したいアプリケーションを個別に導入し、企業側も自社のポリシーに反しない限り、利用を認めることが可能となる。
また、業務使用のアプリケーション領域と個人使用のアプリケーション領域とを分けて管理することができるので、BYOD導入のハードルが低くなる。端末を紛失した際にも、業務使用のアプリケーション領域だけを遠隔操作で初期化できる。
つまり、ベースとしてMDMがあり、その上にMAMが乗っていると考えれば理解しやすいだろう。さらにその上に乗るのが、モバイルコンテンツの管理のみに特化したソリューションのMCMだ。
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