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可視光に情報を載せる「情報発信LED照明」とは?5分で分かる最新キーワード解説(3/4 ページ)

物体の状態を一切損なわず、可視光でID情報を付加できる「情報発信LED照明」が登場した。。新たな照明技術がもたらす未来とは。

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情報発信LED照明の仕組みは?

 2つのデモが示す通り、LED照明から直接情報を得るのではなく、光が当たった物体から反射光をカメラで捉えるところがポイントだ。前述したどちらの場合も、スマートフォンのカメラはシャッターを切る一瞬ではなく、LED照明から発せられ、マネキンや浮世絵が反射する光の変化を一定時間キャッチする。

 デモシステムの場合は、ID情報として16ビットの情報量を持たせ、10bpsの通信を行う設定だ。映像をキャッチする時間は最短1.6秒、誤りを修正する時間も含めると数秒かかることがあるものの、ID情報が読み込まれ次第、即座にクラウドサービスに送信され、クラウド側のクラウド側の商品や作品データベースと照合されて、IDにひも付いた画像情報やテキスト情報などがスマートフォンに返される。

 この時間は一般的なWebブラウザ利用の場合と同等なので、体感的には操作から一瞬遅れるだけで情報表示が完了する印象だ。図1、2のような静止画とテキストだけのコンテンツなら、ブラウザによるWebページ読み込みと大差なかった。

 ID情報は、照明を当てる対象ごとにあらかじめ決められ、クラウド上のデータベースに関連情報とともに記録される。スマートフォンなどにインストールされたアプリは、カメラで検知した信号をデータベースに問い合わせ、関連情報を取り出して表示するだけだ。

 動画コンテンツもクラウド側からのストリーミングで表示できるので、ストレージが少ない端末でもさまざまな使い方ができる(図4)。逆に、クラウドへのアクセス時間も惜しいようなコンテンツなら、アプリ側にデータを持たせて、端末側のみでID照合、検索表示を高速に行える。

情報発信LED照明を用いた新情報提供サービスのイメージ
図4 情報発信LED照明を用いた新情報提供サービスのイメージ(出典:富士通)

 技術的に画期的なのは、もちろんLED光に情報を載せる部分だ。その仕組みは図5に見るように、光の各色の成分をごくわずかずつ時間に従って変化させ、「0」と「1」の光の波のパターンを作り出す技術が基本になる。

 デモシステムでは図1、2のLED照明の横に写る白いブックサイズの筐体がその信号を送るコントローラーになっているが、この装置は将来的には照明器具内(例えばLED電球の内部)に格納できる。コントローラーにID情報を格納してLED出力を制御することで、光に信号を載せられる。

 スマートフォンの側では、内蔵のカメラ(一般的な品質のもの)で光の変化を捉え、アプリがID情報に変換する。物体に反射した光を利用するため、照明の色は物体の色などによって影響を受けるが、その影響はアプリ側で補正してからデジタル情報に変換する。

LED照明の光に情報を載せ、スマートフォンで復元する仕組み
図5 LED照明の光に情報を載せ、スマートフォンで復元する仕組み(出典:富士通)

従来の近距離情報通信技術との違いは?

 このように商品や展示物からID情報などを受け取る技術には、NFCタグ(RFIDタグなど)、QRコード、光の点滅でデジタル情報を表現する可視光通信、Bluetoothなどがある。これらと「情報発信LED照明」技術との違いは主に3つだ。

 特別な読み取り装置が不要で、タグやシールの貼付などにより対象物の美観を損ねることなく、また照明個別に異なる情報を付与できる。従来技術との比較を表1に示すが、店舗や美術館、博物館などでの利用が進まなかった欠点をクリアする特徴を持つ。

「情報発信LED照明」と従来技術との違い
表1 「情報発信LED照明」と従来技術との違い(出典:富士通)

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