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データセンター最新事情、強固セキュリティに省電力は利用しなきゃ損?IT導入完全ガイド(3/4 ページ)

サーバ運用管理やパブリッククラウドとの連携、データセンター間の連携による災害対策、セキュリティ対策、省電力化など最新技術が続々投入されるデータセンター。最新動向を追う。

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局所冷却が可能なソリューションも登場

 発熱量の大きいラックをたくさん並べて利用したい場合、施設の冷却システムだけでは十分でない場合があり得る。ラックの持ち込みが自由なデータセンターの場合、ラックの列(Row)内に設置するモジュール方式の冷却システムを用いて、効率的な冷却を図る局所冷却システムが登場した(図5)。

局所冷却システム
図5 局所冷却システム(InRow OA)の例(出典:シュナイダーエレクトリック)

 図のようにラック(既存ラックでもよい)に屋根やドアを付けて囲い込む形で、ホットアイルの天井に当たるところに冷媒を用いた高効率の冷却モジュールを設置して冷却した空気をコールドアイルに流す仕組みだ。

 ホットアイルとコールドアイルとは厳格に分離され、気圧を調整して暖気がコールドアイルに流れ込まないようにしている。圧力や温度などは常時センサーで監視され、ファンの回転数などを自動制御する。

自社用エリアに「空調機械室」「変電室」を別に設ける施設

 一定本数以上のラックを利用するユーザー企業に向けて、フロアの1区画を丸ごと提供するデータセンターもある。そこではデータセンターエリアと専用の空調機械室、サブ変電室を別途設けて、フロアの他の区画の影響を受けずに自社独自の電力や空調システムを構築できる。データセンターの仕様をベースにはしながら、自社独自の運用管理法を貫ける。

他の区画の電力、空調システムの影響を受けないデータセンター
図6 他の区画の電力、空調システムの影響を受けないデータセンターの例(出典:KDDI)

データセンター全体の監視と制御を行う「DCIM」

 データセンターの効率的運用のための「DCIM(Data Center Infrastructure Management)」が備えられるようになったのも1つのトレンドだ。

 ラックなどに備わる各種センサーからの情報を基に、(1)各機器の消費電力、(2)ラックの温度、湿度、(3)空調温度設定、風量、風向の測定や制御、(4)電源の状態監視と制御、(5)機器の稼働状況モニターと異常検知を集中的に行い、ファシリティの最適化を図る仕組みだ。

DCIMのモニター画面例DCIMのモニター画面例 図7 DCIMのモニター画面例(出典:シュナイダーエレクトリック)
DCIMを導入したデータセンター
図8 DCIMを導入したデータセンター(左)とその運用監視室(エフコム福島データセンターの例)(出典:シュナイダーエレクトリック)
DCIMを利用した施設全体の電力効率管理
図9 DCIMを利用した施設全体の電力効率管理のイメージ(出典:ニスコム)

 こうした合理化は業者内部の取り組みではあるが、運用管理とサポートに密接に関連する部分でもある。業者側からの改善提案精度、品質にもかかわり、コストへの影響、可用性への影響もあるはずだ。ユーザー企業としても取り組み方を注視したい。

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